デザインカンプとは?Webデザインにおける目的や作り方・便利ツールを紹介

Webデザインの設計プロセスにおいて、デザインカンプは重要な役割を果たします。

しかし、目的や作り方を理解していなければ、プロジェクトもスムーズに進行できません。

そこで本記事では、デザインカンプの目的や作り方を解説します。

効率的なデザイン作業に役立つ便利なツールも紹介していますので、Webデザインの品質向上の参考にしてください。

デザインカンプとはデザインの完成見本

デザインカンプは、Webデザインにおいて完成形となるデザインの見本です。

色彩やレイアウト、タイポグラフィ、画像などの要素が具体的に示され、実際の開発やデザインの実装前にデザインの全体的なイメージを固めるのに役立ちます。

実際のWebサイトがどのように見えるかを示すので、最終的な製品の品質を高めるために不可欠なプロセスです。

デザインカンプを作成する目的

デザインカンプを作成する目的は、主に2つあります。

  1. クライアントとの認識のズレを防止する
  2. コーディング作業をスムーズに行う

クライアントとの認識のズレを防止する

1つ目の目的は、クライアントとデザイナー間の認識のズレを防止することです。

デザインカンプは、クライアントに対してデザインの方向性やビジュアルの要素を具体的に伝えるために作成されます。

クライアントが望む結果とデザイナーが提案するビジョンが一致しなければ、何度も修正することになりかねません。

デザインの具体的なビジュアルを事前に明確にすることで、後の修正作業を最小限に抑え、プロジェクトの効率化を図れます。

コーディング作業をスムーズに行う

2つ目は、コーディング作業をスムーズに行うためです。

デザインの各要素が具体的に定められているため、開発者がコーディングする際に具体的なビジュアルに沿って進められます。

デザインカンプに基づいて進められるので、効率的かつ正確なコーディングが可能です。

デザインカンプとモックアップ・ワイヤーフレームとの違い

デザインカンプとモックアップ・ワイヤーフレームとの違いについて解説します。

  1. デザインカンプとモックアップの違い
  2. デザインカンプとワイヤーフレームの違い

デザインカンプとモックアップの違い

デザインカンプとモックアップは混同しがちですが、重要な違いがあります。

デザインカンプは、最終的なデザインの詳細なビジュアル表現です。色やレイアウト、タイポグラフィ、画像などの具体的なデザイン要素が含まれます。

一方、モックアップは、デザインの概念をよりリアルに表現したものです。

デザインの見た目だけでなく動作も示すため、より実際の完成品に近い体験を提供します。

デザインカンプとワイヤーフレームの違い

デザインカンプとワイヤーフレームも異なります。

ワイヤーフレームは、Webサイトの基本的な構造を示すために使用され、主にレイアウトと機能に焦点を当てています。

ページ要素の配置やナビゲーションの流れが含まれますが、具体的なデザイン要素(色やフォント、画像)は含まれません。

デザインプロセスの初期段階で使用され、ページの基本的な骨組みを構築するのに役立ちます。

デザインカンプは、ワイヤーフレームを基にして作成され、最終的なデザインの詳細な見た目を具体的に示すものです。

デザインカンプの作り方7ステップ

それでは、デザインカンプの作り方を7ステップに分けて解説します。

  1. Webサイトの目的を決める
  2. Webデザインの参考サイトを見つける
  3. サイトイメージを下書きする
  4. ガイドを引く
  5. パーツを作成・配置する
  6. カラー・フォント・フォントサイズ・レイアウトを調整する
  7. レスポンシブデザインのカンプを用意する

ステップ1:Webサイトの目的を決める

デザインカンプの作成を始める前に、まずWebサイトの目的を明確に定めます。

Webサイトの目的が明確でないとデザインの方向性も決まりません。

サイトが達成すべき目標、ターゲットオーディエンス、提供する価値を理解することが重要です。

デザインの全体構造やコンテンツの種類を明確にするためにも、時間をかけて決めましょう。

ステップ2:Webデザインの参考サイトを見つける

次に、参考となる優れたWebデザインのサイトを探しましょう。

他のサイトを参考にすることは、デザインのアイデアやトレンドを理解するためにも有効です。

同じターゲットや製品・サービスを扱っているサイトを探すことで、デザインの様式、ナビゲーションの流れ、レイアウトのアイデアなどを把握できます。

ステップ3:サイトイメージを下書きする

続いて、サイトのイメージを具体化するために、手書きの下書きや簡単なスケッチを作成します。

ページの基本的なレイアウトや主要な要素の配置を考えましょう。

アイデアを視覚化し、初期段階でのデザインの方向性を決定するのに役立ちます。

いくつか複数のパターンを作成して、見比べることがおすすめです。

ステップ4:ガイドを引く

さらに、Photoshopなどデザインソフトウェアを使用して、ページのガイドラインを引きます。

ガイドはデザインのバランスを取り、全体の印象を整えるのに役立ちます。

要素の整列や配置を整理し、一貫性のあるレイアウトを確保しましょう。

ステップ5:パーツを作成・配置する

その後は、ヘッダーやフッター、コンテンツブロックなどの各パーツを作成し、デザインに組み込みます。

各要素は、サイトの目的とユーザーのニーズに合わせてデザインしましょう。

ビジュアルの魅力と機能性のバランスが重要です。

ステップ6:カラー・フォント・フォントサイズ・レイアウトを調整する

そうしたら、デザインの細部を詳細に調整します。

色彩、フォント、フォントサイズ、レイアウトなどの要素は、サイトのブランドとユーザビリティを加味して反映しましょう。

サイトの全体的な雰囲気と使いやすさに大きく影響します。

ステップ7:レスポンシブデザインのカンプを用意する

最後に、レスポンシブデザインのカンプを用意します。

レスポンシブデザインは、ユーザーがどのデバイスを使用していても最適な体験を提供するために不可欠です。

デバイスの種類に関係なく一貫したユーザーエクスペリエンスを提供できます。

デザインカンプを作成するときのコツ

デザインカンプを作成するときのコツを5つご紹介します。

  1. ユーザー視点を第一に考える
  2. 構成案を細部まで検討して作成する
  3. 作成しやすいところから着手する
  4. コーディングを意識しながら作成する
  5. オリジナリティを求め過ぎない

ユーザー視点を第一に考える

ユーザーの視点を常に第一に考えて、デザインを展開しましょう。

Webサイトは、最終的にはサービスの利用を検討している方や求職者などのユーザーに利用されます。

ユーザーのニーズや嗜好、行動を深く理解することで、効果的なサイトが設計できます。

ユーザビリティを高めるために、直感的なナビゲーション、読みやすいフォント、アクセスしやすいレイアウトは欠かせません。

構成案を細部まで検討して作成する

デザインカンプの構成案を作成する際には、細部に至るまで丁寧に検討することが大切です。

全体のレイアウトや色使い、フォントの選定、画像の配置など、各要素が全体のデザインと調和し、目的に合致しているかを確認します。

細部まで気を配ることで、統一感のあるプロフェッショナルなデザインが実現できるでしょう。

作成しやすいところから着手する

デザインカンプは、作成しやすいところから着手しましょう。

必ずしも一つのセクションから順番に進める必要はありません。

例えば、フォントや色の選定から始める、あるいは特定のセクションのレイアウトを先に決定するなど、自分の作業スタイルに合わせて柔軟に進めましょう。

作成しやすいところから着手することで、作業の流れをスムーズにし、効率も上がります。

コーディングを意識しながら作成する

コーディングを意識しながら作成することも重要です。

デザインがどのように実装されるかを考えながら作業を進めることで、開発者がコーディングをしやすいデザインになります。

例えば、レスポンシブデザインや画像サイズの最適化、インタラクティブ要素の実装可能性などを考慮しましょう。

コーディングを意識することで、後の作業もスムーズに進めることが可能です。

オリジナリティを求め過ぎない

デザインにおいてオリジナリティは重要ですが、求め過ぎてはいけません。というのも、開発時間とコストの増加はもちろん、奇抜過ぎるとかえってユーザーにとって使いづらいサイトになる恐れがあるからです。

参考にしたサイトのレイアウトやデザインパターンを適切に活用して、ユーザーの使いやすさを最優先させましょう。

ユーザビリティを損なわない範囲で独自性を加えることが、効果的なデザインにつながります。

デザインカンプの作成におすすめの便利ツール5選

では最後に、デザインカンプの作成におすすめの便利ツールを5つご紹介します。

  1. Photoshop
  2. Illustrator
  3. XD
  4. Figma
  5. GIMP

Photoshop

会社名 Adobe Inc
月額料金 2,728円
機能 レイヤーベースの画像編集
フォトレタッチ
ベクトルグラフィック編集
3Dデザイン機能
フィルター・エフェクト機能
URL https://www.adobe.com/jp/products/photoshop.html

Photoshopは、Adobeが提供する業界標準の画像編集ソフトウェアです。

高度な画像処理機能、豊富なブラシやフィルター、レイヤーを使った複雑なデザイン作成ができます。

Webデザインの細部の編集や合成に最適で、プロフェッショナルなデザイン制作に幅広く用いられています。

Illustrator

会社名 Adobe Inc
月額料金 2,728円
機能 ベクトルベースのグラフィックデザイン
イラストレーション作成
テキストレイアウト
複数のアートボード作業
URL https://www.adobe.com/jp/products/illustrator.html

Illustratorは、Adobe製のベクターベースのグラフィックデザインソフトウェアです。

ベクターベースであるため、拡大縮小しても画質が劣化しない高品質なデザインを作成できます。

細部まで精密なデザインが求められるロゴやアイコン、タイポグラフィの制作に適しているでしょう。

XD

会社名 Adobe Inc
月額料金 1,298円
機能 プロトタイプデザイン作成
3D変換機能
アニメーション作成
リピートグリッド
リアルタイムコラボレーション
URL https://helpx.adobe.com/jp/support/xd.html

Adobe XDは、WebデザインやモバイルアプリのUI/UXデザインに特化したツールです。

直感的な操作で、ユーザーインターフェースの設計、プロトタイピング、ユーザーエクスペリエンスデザインが可能です。

リアルタイムでのデザインプレビューや共有が可能であり、クライアントやチームメンバーとの連携にも優れています。

Figma

会社名 Figma, Inc.
月額料金 無料~
プロフェッショナル:1,800円
ビジネス:6,750円
エンタープライズ:11,250円
機能 インターフェースデザイン作成
プロトタイピング作成
リアルタイムコラボレーション
プラグイン機能
インテグレーション機能
URL https://www.figma.com/

Figmaは、ブラウザ上で操作できるデザインツールです。

ユーザーインターフェースのデザイン、プロトタイピング、グラフィックデザインの作業がブラウザ上で直接行えます。

複数のデザイナーが同時に1つのプロジェクトに取り組み、リアルタイムでのフィードバックと更新が可能です。

GIMP

会社名 オープンソース
月額料金 無料
機能 画像編集
レイヤー作成
マスク機能
写真補正
URL https://www.gimp.org/

GIMPは、無料で使える画像編集ツールです。

オープンソースで提供されているため、特にコストを抑えたい場合におすすめです。登録も不要なため、気軽に利用できるでしょう。

なおGIMPには、レイヤーやカスタマイズ可能なブラシ、フィルターなどの機能が含まれています。

まとめ:デザインカンプにこだわってより良いWebデザインに仕上げよう

デザインカンプにこだわることで、より良いWebデザインに仕上げられます。

ユーザー視点を第一に考えたデザインを実現して、最終的な品質を高めることが可能。クライアントがイメージするデザインとのすり合わせや、スムーズなコーディングにも役立ちます。

デザインカンプを活用して、効果的で魅力的なWebデザインを作成しましょう。