プロトタイプとは?Webサイト制作での意味や種類をわかりやすく解説

プロトタイプは、システムを設計するに当たって欠かせない重要な工程です。

とはいえ、プロトタイプにも種類があり、さらに似た手法もいくつかあるため、意味や違いがよくわからない担当者は少なくないでしょう。

そこで本記事では、Webサイト制作におけるプロトタイプの意味や種類についてわかりやすく解説します。メリットや注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

>>ホームページ制作の流れ5ステップ!各工程について分かりやすく紹介

プロトタイプとは試作モデルのこと

プロトタイプ(prototype)は、原型という意味を指します。中でもWebサイト制作においては、「試作モデル」の意味で使用されています。

Webサイト制作を始めるにあたって、さまざまなアイデアやイメージを織り交ぜますが、具体化するのは容易ではありません。

そこでプロトタイプを活用すれば、アイデアを具体化できます

開発前や開発中でも、プロトタイプがあれば、クライアントや関係者間でイメージを共有し、認識のズレを防げるのもメリットです。

プロトタイプは3種類 !

プロトタイプには、ファンクション・デザイン・コンテクスチュアルの3種類があります。

  1. ファンクションプロトタイプ
  2. デザインプロトタイプ
  3. コンテクスチュアルプロトタイプ

それでは、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

ファンクションプロトタイプ

ファンクションプロトタイプには、動作を確認する目的があります。

Webサイト制作では、ボタンやスクロールが正常に動作するかを確認するのが主な目的です。

また、動作確認により、ユーザビリティの確認も可能になるため、デザインの確認や共有にも役立つでしょう。

デザインプロトタイプ

デザインプロトタイプは、完成形に近いものです。

ほぼ完成している状態を再現するため、見た目は実際のWebサイトと遜色ありません。

デザインプロトタイプによって、最終的な検証を実施します。

コンテクスチュアルプロトタイプ

コンテクスチュアルプロトタイプは、動画を作成し完成イメージを共有する目的があります。

Webサイトの場合はLPを確認しながら、疑似体験できるのがポイントです。

疑似体験により、問題点の洗い出しや、クライアントの反応を確認することもできます。

プロトタイプを作成するメリット4つ

それでは、プロトタイプを作成する4つのメリットについて解説します。

  1. ユーザーにテスト体験してもらえる
  2. 関係者内の認識を統一できる
  3. 制作工程の早い段階で完成形を確認できる
  4. 製品・開発の品質が向上する

ユーザーにテスト体験してもらえる

ユーザーにテスト体験してもらえるのは、プロトタイプを作成する最大のメリットです。

ユーザーに商品やサービスを提供するにあたって、プロトタイプなしでは、認識のズレが生じる恐れがあります。

プロトタイプを作成して、ユーザーにテスト体験してもらえば、伝えたいイメージも共有しやすくなるでしょう。

また、「完成してからイメージと違う」といったトラブルも回避できます。

関係者内の認識を統一できる

関係者内の認識を統一できるのもメリットです。

商品やサービスを作り出すには、さまざまな人が携わります。念入りな打ち合わせをしても、口頭や書面では全てを伝えきれません

プロトタイプは、言語化しづらいイメージの具体化も可能です。

仮に関係者内での認識にズレが生じても、プロトタイプを実施した段階で統一化できるでしょう。

制作工程の早い段階で完成形を確認できる

製作工程の早い段階で、完成形を確認できるのもメリットです。

制作工程がかなり進んだ状態で改善点が見つかった場合は、修正や改善に時間と手間がかかる恐れがあります。

修正に時間がかかり納期に間に合わなければ、企業の信頼を落としかねません

プロトタイプを実施すれば、早い段階で完成形を確認できるため、修正や改善もしやすいでしょう。

製品・開発の品質が向上する

そして、製品や開発の品質が向上するといったメリットもあります。

製品や開発の工程において、節目にプロトタイプを実施すれば、継続的な品質向上が可能です。

製造過程では、思わぬトラブルや改善点が見つかることもあるでしょう。その都度対処していけば、最終的に製品や開発の品質は向上します。

プロトタイプを作成するときの注意点

次に、プロトタイプを作成する際の注意点を2つ紹介します。

  1. 丁寧に作ろうと時間をかけ過ぎない
  2. 常識にとらわれ過ぎない

丁寧に作ろうと時間をかけ過ぎない

まず、丁寧に作ろうと時間をかけ過ぎないようにしてください。

こまめにプロトタイプを実施すれば、品質が向上する反面、完成までには時間がかかります。

特にシステム開発においては、長期化しやすい傾向があるので注意が必要です。

丁寧に作ることも大切ですが、徹底したスケジュール管理も意識しましょう。

常識にとらわれ過ぎない

常識にとらわれすぎないことも重要です。

プロトタイプで検証する際、常識にとらわれすぎると、新たな視点での開発ができなくなる恐れがあります。

また、プロトタイプは顧客目線で実施することも大切です。

常識にとらわれすぎず、さまざまな視点から検証すれば、顧客が求める体験を提供できるでしょう。

プロトタイプモデルと類似する6つの手法

では最後に、プロトタイプモデルと類似する6つの手法を紹介します。

  1. ワイヤーフレーム
  2. モックアップ・カンプ
  3. アジャイル
  4. ウォーターフォール
  5. スパイラル
  6. スケッチ

ワイヤーフレーム

ワイヤーフレームは、Webサイトの設計図の役割があります。主に線とテキストで、Webサイトの大まかなレイアウトを設定するものです。

ワイヤーフレームは、主にヘッダーやコンテンツ、サイドバー、フッターといった要素で構成されます。

  1. ヘッダー:メニューや検索フォームの配置
  2. コンテンツ:テキスト・画像・動画・表などで伝えたい情報を提示
  3. サイドバー:ナビゲーションや広告など
  4. フッター:コピーライトの表記やサイトマップなど

プロトタイプはデザインや動作を具体化するのに対して、ワイヤーフレームはページのレイアウトを可視化します。

モックアップ・カンプ

モックアップ・カンプとは、フレームワークに色やマーカーなどの装飾を施す工程を指します。

フレームワークで決めたレイアウトに肉付けすることで、デザインも含めた見栄えや完成イメージを検証する役割があります。

主に、プロトタイプの1つ前段階に行う業務とおさえておきましょう。

アジャイル

アジャイルは、機敏・素早いといった意味があり、システムやソフトウエア開発で採用される手法です。

アジャイル開発とも呼ばれており、「計画・設計・実装・テスト」の工程を繰り返します

顧客の要望を優先しながら、反復的なアジャイル開発を進めるのが特徴です。

ウォーターフォール

ウォーターフォールは、滝の意味を持つ手法です。

滝のように上から下へ流れるような工程を進めます

ウォーターフォールは、立ち上げから完了までの工程を細かく分類し、上流工程から加給工程まで順番に進めていくのも特徴です。

スパイラル

スパイラルは、機能ごとに分類した後、重要度の高い機能から構築します。

機能ごとに「設計・開発・テスト・レビュー」を複数回繰り返し、さらに1回ずつプロトタイプを作成するのが特徴です。

細かい工程に分けていく様子が、螺旋状をイメージさせることから、スパイラル開発と呼ばれるようになりました。

スケッチ

スケッチは、製品やサービスの大まかなイメージを絵にすることです。

Webサイトのデザインや製品のイメージなど、具体的なコンセプトが決まっていない段階で実施します。

なお、スケッチはあくまでもイメージを可視化するものなので、決まりは特にありません。

後からアイデアスケッチを行うため、初期段階ではイメージスケッチと呼ばれています。

まとめ:プロトタイプの作成で製品・サービスの品質向上を目指そう

プロトタイプを作成することで、関係者間の認識のズレをなくし、完成イメージを疑似体験できます

プロトタイプを作成すれば、開発過程での修正ができるため、手戻りリスクを軽減できます。

プロトタイプにも種類がありますが、本記事で紹介した内容を元に、目的にマッチしたプロトタイプを活用し、製品やサービスの品質向上を目指してください。