近年、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが、企業の成長にとって重要な要素となりつつあります。
採用活動にもSDGsを取り入れる動きが広がる中で「何をどう実践すればいいのか?」と悩む採用担当者は多いでしょう。
そこで本記事では、SDGs採用の基本的な概念から、企業が得られる効果や実際にSDGs採用を導入して成功している事例を紹介します。
SDGs導入に向けての社内体制の整備も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の内容
SDGsとは?
SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳します。
この「持続可能な開発」とは、将来の世代が必要とする資源や環境を損なわずに、今の世代のニーズを満たす社会の構築を意味します。
SDGsが国連で採択されたのは、2015年。2030年までの間に人類が直面するとされる「社会」「経済」「環境」の課題を解決する国際目標として掲げられました。
「誰一人取り残さない」ことを誓っている
SDGsの特徴は「誰一人取り残さない」ことを誓っている点。この理念が、SDGsの根幹にあります。
「誰一人」というのは、目に見えた貧困や格差に直面する人々だけに限りません。年齢や性別、国籍を問わず、すべての人が公平に生きられるように、という強い意志があります。
そのため、発展途上国だけでなく先進国の社会課題にも目を向けている点が、SDGsの大きな特徴といえるでしょう。
SDGsには17の目標がある
SDGsで設定される17の目標は、達成ゴールである2030年のあるべき姿を示しています。さらに、それらを達成するための具体的な目標として、169のターゲットが設けられています。
ここでは、17の目標とその概要を確認していきましょう。
17の目標 | 概要 |
---|---|
1.貧困をなくそう | すべての国や地域で、あらゆる形態の貧困を終わらせる |
2.飢餓をゼロに | 飢餓を終わらせ、食料の安定確保と栄養状態の改善を実現する 持続可能な農業発展も促進する |
3.すべての人に健康と福祉を | すべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を受けられるようにする |
4.質の高い教育をみんなに | すべての人々に、だれもが受けられる公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する |
5.ジェンダー平等を実現しよう | 性別に関係なく、あらゆるジェンダーの人が平等である社会を目指す |
6.安全な水とトイレを世界中に | すべての人々が衛生的な水や施設を利用できるようにする |
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに | すべての人が電力を使えるようにする。再生可能エネルギーの普及を目標とする |
8.働きがいも経済成長も | すべての人々が、働く機会に恵まれ、やりがいのある人間らしい仕事に就けることを目指す |
9.産業と技術革新の基盤をつくろう | さまざまな産業が発展し、価値ある商品を創り出せる政策を実施する |
10.人や国の不平等をなくそう | あらゆる国籍や地域の人々の平等を目指す |
11.住み続けられるまちづくりを | すべての国や地域で、だれもが参加できる持続可能なまちづくりを計画する それを実行する能力のあるまちにする |
12.つくる責任つかう責任 | 限りある地球資源を守るため、持続可能な消費と生産を構築する |
13.気候変動に具体的な対策を | 地球温暖化による気候変動がこれ以上進行しないよう、CO2排出量を削減し、カーボンニュートラルを目指す |
14.海の豊かさを守ろう | 海の生物や資源を守るために、海洋ごみや海洋汚染の防止や海洋資源の管理を徹底する |
15.陸の豊かさも守ろう | 陸の生態系を保護・回復するとともに、持続可能な森林管理を実施する。土地の砂漠化や土地劣化を阻止・回復し、生物多様性の損失を止める |
16.平和と公正をすべての人に | 世界中の人々が平等に守られ、安全に暮らせる社会を目指す |
17.パートナーシップで目標を達成しよう | SDGsの目標を達成するために、世界中のあらゆる人たちが協力する |
参考:朝日新聞デジタル
SDGsの各目標は、相互に関係しています。
たとえば「雇用や働きがい」(目標8)の推進は、女性が参加しやすい多様な雇用を生み出す「ジェンダー平等」(目標5)にもつながるでしょう。
ほかにも「エネルギーをクリーンに」(目標7)に向けた取り組みが進むことで、再生可能エネルギー分野での新規事業が増え、経済成長(目標9)も見込めます。
SDGsの目標は、社会・経済・環境の課題を包括的に解決するために統合されているのが特徴です。
SDGsが注目される理由
SDGsが世界で注目される背景として「経済」「社会」「環境」の課題を統合的に解決する初の国際目標である点が挙げられます。
これまでも環境問題や経済開発は議論されてきましたが、先進国と途上国の間で対立することが多く、一体的に解決するのは困難でした。
たとえば、1972年の「ストックホルム会議」(※1)では、環境保護を優先する先進国と、経済成長を求める途上国が対立しています。
その後、2000年に採択されたMDGs(ミレニアム開発目標)(※2)では、主に開発途上国の問題に焦点が当てられ、先進国の関与が限定的だったという課題が残りました。
こうした反省を踏まえて策定されたのが、SDGs。発展途上国と先進国が協力できる目標が掲げられています。
これにより、すべての国が、自国の課題としてSDGsに取り組む必要性が強調され、世界的に注目されるようになりました。
参照
(※1)ストックホルム会議
(※2)(ODA) ミレニアム開発目標(MDGs) | 外務省
SDGsを知る人は増えたものの、環境問題や発展途上国への支援といった「自分とはあまり関係のない話」というイメージを持つ方も多いでしょう。
しかし、環境や貧困問題だけでなく、雇用やジェンダー問題も含まれるため、企業の採用活動にも深く関わっています。
SDGsを採用活動に導入すべき理由
企業の採用活動においても、SDGsへの取り組みが重要な要素となりつつあります。
具体的に、SDGsが採用活動においてどのような影響を与えているか見ていきましょう。
2026年卒業予定の学生約9割が「SDGsに取り組む企業は好感が持てる」と回答
株式会社学情が実施した調査によると、2026年卒業予定の学生の約9割が「SDGsに取り組む企業に好感を持つ」と回答したことが分かりました。
これは、若い世代が企業選びの基準として単なる企業ブランドだけでなく、社会貢献や環境への配慮といった姿勢を重視していることを示しています。
さらに、普段の生活でもSDGsを意識している学生が約6割にのぼり、環境や社会課題に対する関心の高さがうかがえます。
最近では、大学でもSDGsをテーマにしたゼミや授業、課外活動が実施されているので、SDGsは単なる教養だけに留まりません。
就職活動においても、企業の社会的責任やサステナビリティの姿勢が応募の判断基準の一つになりつつあります。
企業のSDGs活動が具体的であればあるほど、その企業への共感や信頼が高まり、就職先としての魅力が増していくでしょう。
特に重視する目標は「持続可能なまちづくり」「ジェンダー平等」
同調査によると、学生が特に関心を寄せるSDGsの目標として「持続可能なまちづくり」(目標11)と「ジェンダーの平等」(目標5)が挙げられました。
気候変動や自然災害への対応が求められる現代において、未来を見据えた都市開発や街づくりに対する若者の期待の表れといえるでしょう。
「ジェンダー平等」に関しては、性別に関係なく平等にキャリアアップの機会を得られることに好感を持っているといえます。
近年の社会では、多様性の尊重やダイバーシティ推進が重要視されています。企業においても、ジェンダー平等の実現は大きなテーマといっても過言ではありません。
こうした背景から、学生は社会貢献や働きやすさを重視し、SDGsに取り組む企業に強い関心を寄せていることが分かります。採用活動においても、優秀な人材が集まりやすいでしょう。
SDGsを採用活動に取り入れる5つのメリット
企業が採用活動にSDGsを取り入れることは、優秀な人材の確保や企業価値の向上にもつながる有効な手段です。
ここでは、SDGsを活用することで得られる5つのメリットを詳しく解説します。
- 企業イメージの向上につながる
- 採用ブランディングの強化につながる
- 社員のモチベーション向上が期待できる
- 経営の持続可能性を高められる
- ESG投資の資金調達が有利になる
企業イメージの向上につながる
SDGsに積極的に取り組む企業は、社会貢献に力を入れていると評価され、社会的な信頼や認知度が向上します。
消費者や投資家からも「持続可能な経営を行う企業」としてポジティブな印象を持たれやすく、ブランド価値の向上が期待できるでしょう。
社会全体でサステナビリティへの関心が高まっている今、SDGs活動は企業の社会的責任(CSR)を具体的に示す手段としても有効です。
採用ブランディングの強化につながる
採用ブランディングの強化につながることも、メリットの一つ。社会貢献に関心が高い人材の共感を呼び、応募者の質向上につながります。
SDGsの認知度は高まりつつあり、企業の社会的取り組みを志望企業選びの判断基準として捉えているケースは多いでしょう。
採用活動にSDGsの取り組みを掲載することで、採用活動そのもののブランディングが強化されます。企業の魅力をより効果的に伝える手段として、有効といえるでしょう。
社員のモチベーション向上が期待できる
SDGsの取り組みを採用活動に導入するメリットは、優秀な人材確保だけに留まりません。
既存社員にとっても、自分の仕事がどのように社会貢献できているかを理解するきっかけになります。
社会的な意義を感じられる仕事は、社員のエンゲージメントを高め、離職率防止にもつながるはずです。
社員一人ひとりが「自分の業務が環境や社会に貢献している」と意識することで、社内全体の士気向上が期待できるでしょう。
経営の持続可能性を高められる
SDGsへの取り組みは、環境や経済、社会に配慮した経営モデルを確立するものです。企業の長期的な成長につなげる要素として欠かせません。
たとえば、資源の効率的な活用は、コスト削減と地球資源の保護に貢献します。また、多様性の尊重や公平な雇用促進は、人材の定着やモチベーション向上につながるでしょう。
これにより、競争力のある経営基盤を構築でき、社会の変化にも柔軟に対応できる企業に成長できます。
ESG投資の資金調達が有利になる
SDGsに基づく持続可能な経営は、ESG投資の対象になりやすく、資金調達が有利になる傾向があるでしょう。
ESG投資とは、環境や社会、ガバナンスに配慮した企業を重視する投資手法を指します。
ESG投資家は、企業の持続可能性や社会的な責任を重視するため、SDGsに真摯に取り組む企業には長期的な投資が期待できるでしょう。
こうした資金調達の強化は、企業の成長を支え、競争力のある経営を実現する重要な要素となります。
採用活動と関連が深い目標と手法
SDGsの目標には、企業の採用活動に取り入れることで人材確保や組織の価値向上につながる要素が含まれています。
具体的に、採用活動と特に関連の深い目標について、概要と目的、採用活動で取り入れられる具体的な手法を紹介します。
- 目標3:すべての人に健康と福祉を
- 目標5:ジェンダー平等を実現しよう
- 目標8:働きがいも経済成長も
- 目標10:人や国の不平等をなくそう
目標3:すべての人に健康と福祉を
SDGsの目標3では、すべての人が健康で幸福な生活を送れることを目指しています。
この目標を採用活動に取り入れるためには、従業員の健康を維持・向上させるための取り組みが欠かせません。
単に法令遵守を守るだけでなく、健康や福祉に関する福利厚生の充実が求められています。
採用活動では、以下の内容に取り組んでみてください。
過度な残業の防止と休暇取得の推進 | ・労働基準法を上回る過剰な労働を強いていないかを常に確認する ・有給休暇の取得を推奨することで、社員が心身をリフレッシュできる環境を提供する |
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福利厚生の充実 | ・育児・介護休暇制度を充実させ、誰もが働きやすい職場環境を整える |
健康診断や人間ドックの費用負担 | ・社員の健康管理のため、定期的な健康診断や人間ドックの費用を会社が負担することを推奨 ・疾病の早期発見につながり、安心して働ける環境が整う |
フィットネスクラブや運動プログラムの支援 | ・健康促進の一環として、フィットネスクラブやスポーツジムの費用を補助する制度があると効果的 ・社員の運動習慣を促すことで、生活習慣病の予防やメンタルヘルスの改善に寄与する |
メンタルヘルス支援窓口やカウンセラーの配置 | ・社内に専任のカウンセラーや相談窓口を設けることで、社員がストレスや悩みを気軽に相談できる環境を提供する ・メンタルヘルス支援は、精神疾患の予防にもつながる |
社員食堂やヘルシーな食事の提供 | ・社員食堂を設置し、栄養バランスの取れた食事を提供する ・食生活の改善は、社員の集中力や仕事へのモチベーションにも良い影響を与える |
こうした取り組みの実施で「従業員の健康を大切にする企業」というイメージを採用活動で訴求できます。
また、社員一人ひとりが健康で働けることは、企業全体のパフォーマンス向上にも直結するでしょう。
目標5:ジェンダー平等を実現しよう
目標5にある、ジェンダー平等の実現も、採用活動で欠かせない要素です。
日本では、男女雇用機会均等法により、性別を限定した採用や待遇が禁止されています。
男女どちらかを優先したり、仕事内容や条件を性別で区別することは認められません。
以下のような表現は違法になるため、求人掲載では注意してください。
- 「男性3名、女性5名を募集します」
- 「女性からのご応募、歓迎します!」
- 「接客がメインなので、主に女性を採用します」
ジェンダー平等の実現には、性別に関わらず公平な雇用機会を提供し、多様な人材が働きやすい環境を整えることが求められます。
具体的に、企業がジェンダー平等を実現するために取り組める具体的な方法を紹介します。
採用プロセスにおける性別の偏りをなくす | ・求人票や面接において、性別や年齢による制限や偏見を排除する。労働施策総合推進法では「30歳以下の男性限定」や「女性のみ応募可」といった記載は禁止されている ・特定の人材層をターゲットにする場合でも、性別を制限せず「多様な働き方を推奨」「ダイバーシティを重視する」など、企業の魅力を訴求する表現が効果的 |
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公正な賃金や待遇の提供 | ・採用後も、性別による賃金格差や待遇の違いがないような評価基準を整える ・すべての社員が同じ条件で昇進・昇給できるよう、透明性の高い評価制度を構築する |
ハラスメントの防止と職場環境の整備 | ・セクハラをはじめとするハラスメントの防止を徹底 ・たとえば「結婚しないの?」「恋人はいるの?」といった質問は、相手を傷つける可能性があるため、全社員に対してこうした無意識の偏見に気をつけるよう教育を実施する |
LGBTQ+の人材が働きやすい環境を整える | ・LGBTQ+の人々を含め、あらゆる人が働きやすい職場づくりを徹底 ・従業員だけでなく、顧客や取引先にも性的少数派がいる可能性を意識し、偏見や差別のない対応を心がけるよう全社員に教育 ・社内に相談窓口を設置したり、制度面で同性パートナーを配偶者と同等に扱う仕組みを導入するなど、多様性を尊重したルールを整備する |
このように、性別や価値観にとらわれない公平な評価制度を整えることで、働きやすい環境が実現します。求職者にとって「安心して働ける企業」という魅力的な選択肢になるでしょう。
目標8:働きがいも経済成長も
従業員が働きがいを感じられる職場環境を整備することは、人材の定着と企業の成長につながります。
特に、人事部門が透明性のある評価制度に取り組むことで、社員のモチベーションを高め、組織全体の生産性を向上できるでしょう。
採用活動においては、以下を意識してみてください。
透明で公平な人事評価制度の導入 | ・社員の努力やスキルを正当に評価し、それを待遇に反映する仕組みを整備し、求人に掲載する ・評価が曖昧で人によって基準が異なる場合、従業員のモチベーションが下がるため注意する |
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キャリアパスの明確化と成長支援 | ・社内研修やスキルアップ支援の制度を実施し、求人に掲載する ・入社後のキャリアパスが明確であれば、将来像が描きやすくなり、求職者の応募意欲も高まる |
ワークライフバランスの推進 | ・フレックスタイム制やリモートワークの導入により、社員が自分に合った働き方を選択できる環境を整備する ・求人サイトで、プライベートと仕事を両立する従業員インタビューがあると効果的 |
働きがいのある職場環境は、企業の生産性向上と経済成長を支える基盤として欠かせません。
従業員一人ひとりが意欲を持って働ける環境を整備することで、持続的な成長を実現できるでしょう。
目標10:人や国の不平等をなくそう
企業の採用活動では、国籍や個人の特性を理由とする従業員間の不平等を是正し、公平な待遇を提供する具体的な取り組みが求められます。
採用活動においては、以下を意識してみてください。
男女の均等な採用と昇給・昇格の促進 | ・性別に関わらず、同じ評価基準で採用・昇給・昇格の機会を提供する ・採用基準や評価制度の透明性を高め、平等なキャリア機会を提供する仕組みを整備する |
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雇用形態による待遇格差の是正 | ・正社員と契約社員、パートタイムなど異なる雇用形態間での不平等を是正 ・仕事の内容や責任を同等にし、給与や福利厚生を同じ水準に設定する |
外国人労働者と日本人労働者の公平な待遇 | ・外国人労働者の雇用が増加する中で、国籍に関わらず同等の待遇(給与、福利厚生、昇進の機会)を提供する ・多文化共生の促進のため、言語サポートや異文化理解を深める研修の実施も効果的 |
障がい者雇用の促進 | ・障がいを持つ人が自分の能力を活かして働ける環境を整備する ・職場のバリアフリーや業務範囲の調整、言語サポート体制の構築などを実施 |
職場での不平等をなくすためには、企業全体の抜本的な改革が求められるため、一朝一夕での解決は難しいかもしれません。
まずは企業が取り組める施策を一つずつ整理し、着実に改善を進めていくことが重要です。
SDGs採用を実践するための具体的な7つの戦略
SDGs採用を実践するための具体的な戦略は、以下の7項目です。
- 社内でSDGsの理解を深める
- 採用課題を明確にして目標を設定する
- SDGsを実践するための社内制度や福利厚生を見直す
- SDGsの取り組みを採用サイトやSNSで発信する
- SDGsに関連する採用イベントやインターンシップ制度を実施する
- SDGsに基づく人材評価基準を導入する
- 実施結果に基づいて新たな目標を設定する
社内でSDGsの理解を深める
SDGsを効果的に採用活動に取り入れるためには、まず全従業員が意義を理解しなければいけません。
社内研修や社内報を通じて、SDGsの基本的な考え方と自社の事業との関わりを学ぶ機会を提供しましょう。目のつくところに、SDGsに関する張り紙を掲示するのも有効です。
また、社内でSDGs推進の担当者や専門チームを設置することで、全社的な理解を促せるでしょう。
採用課題を明確にして目標を設定する
SDGsを採用活動に取り入れるためには、採用活動の課題を分析し、どの目標と関連させるかを明確にしましょう。
たとえば、応募者数が不足して母集団形成に課題がある場合は、採用ターゲットの範囲を見直す必要があります。
SDGsの目標には、ジェンダー平等や国籍や障がいによる不平等の解消が含まれます。
これまで採用ターゲットを限定していた場合は、多様なバックグラウンドを持つ人材にアプローチし、応募者層を広げてみましょう。
また、性別や国籍に関わらず公平な評価と待遇を保証することで、多様性のある職場環境を魅力として求人を発信できます。
SDGsを実践するための社内制度や福利厚生を見直す
SDGsの理念を反映させるためには、既存の福利厚生制度や社内制度の見直しが欠かせません。
たとえば、育児や介護を支援する休暇制度の導入は目標5(ジェンダー平等)に寄与し、健康経営やメンタルヘルスサポートの充実は目標3(健康と福祉)を推進します。
従業員のニーズを理解するために、社内アンケートを実施するのも有効でしょう。働きやすい環境の実現は、採用活動にも好影響を与えます。
SDGsの取り組みを採用サイトやSNSで発信する
企業のSDGs活動を求人サイトやSNSで発信することは、求職者の関心を引くための重要な戦略です。環境保護活動や多様性推進の事例を紹介すると、求職者の共感を得るきっかけになるでしょう。
特に、拡散力が強いSNSを活用することで、求める人材像に効率よくリーチする可能性が高まります。
SDGsの取り組みに関して、社員の動画インタビューを独自の採用サイトで掲載しても効果的です。現場の社員が語る「社会貢献できる喜び」や「自分の成長につながる体験談」などは、求職者の共感を呼び、入社意欲の向上につながるでしょう。
SDGsに関連する採用イベントやインターンシップ制度を実施する
自社の取り組みを求職者に広めるため、SDGsに関連したテーマの採用イベントやインターンシップを開催しましょう。
たとえば「気候変動への取り組み」をテーマにしたインターンシップや、地域社会への貢献に参加するプログラムを開催することで、意識の高い人材を引きつけられるはずです。
インターンシップの開催方法や集客のコツは、こちらの記事をご覧ください。
インターンシップ集客の成功手法!学生の満足度が高いユニークな事例も紹介SDGsに基づく人材評価基準を導入する
SDGsの達成には、従業員の適切な人事評価が欠かせません。
人事評価制度が不透明であると、従業員のモチベーションが低下し、離職率が高まる原因になります。
具体的な取り組みとして、以下を参考にしてみてください。
- 社会貢献活動やチームワークなど、SDGsに基づく行動を評価基準に加える
- 上司だけでなく、部下や同僚からのフィードバックを含む360度評価制度を導入する
- 昇給・昇格の基準を社内に公開し、公平な評価が行われていることを従業員に示す
SDGsに沿った人事施策は、このほかにも複数あります。企業価値を高める強力な武器として、自社に合う人事評価基準を導入してみてください。
実施結果に基づいて新たな目標を設定する
SDGsを取り入れた採用活動を定期的に評価し、結果に基づいて改善策を講じ、新たな目標を設定しましょう。
たとえば「ジェンダー平等を目指した採用戦略」を実施しても、期待通りの応募者数が集まらなかった場合、ターゲットに響く新しい施策を設計する必要があります。
また、採用課題は社内にあるとは限りません。
企業の外部環境や社会のニーズは常に変化します。従来の採用基準が時代に合わなくなることもあるでしょう。
効果が十分でなかった点や改善の余地を見つけて次の目標を設定することで、より効果的な採用活動が可能になります。
SDGs採用の成功事例
SDGs採用の成功事例を、3社紹介します。
- ギンガシステム株式会社
- 株式会社吉村
- 日産化学株式会社
ギンガシステム株式会社
ギンガシステム株式会社は、経営戦略と人材戦略を融合した取り組みが注目される「働きがいのある会社」認定を受けた会社です。
同社は、リモートワーク推進のため、クラウドやSaaSシステムを導入し、紙のタイムカードやハンコ文化を改革。東京と大阪のオフィス、自宅環境を65型モニターで常時接続することで、円滑なコミュニケーション体制を構築しました。
この社内改革によって、営業活動で自社製品を誇りを持って提案できる環境が実現。「働きがい認定」をきっかけに、開発職などの応募が増えたことも成果の一つです。
今後は「空間的な自由」だけでなく「心理的な自由」や「権限の自由」を広げ、社員が自ら考え行動できる環境を目指しています。
株式会社吉村
株式会社吉村は、経済産業省の「新・ダイバーシティ経営企業100選」(2017年)に選ばれた企業で、多様な人材の活用に成功した事例として注目されています。
同社は、女性や障がい者、高齢者、外国人など、多様な人材を積極的に採用し、それぞれの特性を活かして成果を生み出しています。
特に評価された取り組みの一つが、女性社員の生活者視点を活用した新たな顧客需要の創造。職域を超えた「多能工」の推進によって、生産性の向上も実現しました。
さらに、定年を迎えた社員を再雇用するための派遣会社「正雄舎」を設立し、退職後も社員がもとの職場で活躍できる仕組みを整えています。
同社のSDGs採用活動は、企業価値の向上と社会的責任の両立を実現する成功事例といえるでしょう。
(※)参照:経済産業省 新・ダイバーシティ経営企業100選
日産化学株式会社
日産化学株式会社は、学生向けに「未来創造×SDGs」をテーマにしたワークショップ型インターンシップを実施し、成果を上げています。
このプログラムは、以下の全3日間。日産化学の若手社員も参加し、学生とともに未来の社会を共創するアプローチが特徴です。
- DAY 1:社会をとらえる(スキャニングセッション)
- DAY 2:ジブンと日産化学を知る(アイデアセッション)
- DAY 3:未来・社会を描く(ストーリーセッション)
このプログラムは、単なる「仕事体感」ではなく、SDGsをテーマにした未来志向のワークショップという点で学生から高い評価を得ています。
参加者からは「SDGsをテーマにした新鮮なインターンシップ」との声があり、興味を引き、学びのある機会として高く評価されました。
ワンページの採用支援サービスではSDGs採用を実現
私たちワンページ株式会社は「誰一人取り残さない」採用活動を意識し、企業の採用支援と就労機会の提供に取り組んでいます。
具体的な取り組みとして、一次面接で不合格となった応募者をリスト化し、他の企業へ紹介。当社に応募したすべての求職者が、就労のチャンスを獲得できるよう仕組み化しています。
実際に、人手不足に直面している中小企業は多いでしょう。このような課題に対応し、すべての人が働きがいを感じられる社会を実現することで、SDGsの目標達成に貢献しています。
また、当社独自で展開する採用支援サービス「リクルートマスター」は、時代に合った採用サイトを構築し、応募数を最大化する強みを持っています。
自社の魅力を届ける採用サイトの構築や、採用ミスマッチを軽減させたい方は、ぜひご相談ください。
まとめ:SDGsを採用活動に取り入れて優秀な人材を確保しよう
SDGsを採用活動に取り入れることは、企業にとって持続的な成長と社会的責任を果たす重要な手段です。
多様性を尊重した公平な就労機会の提供により、ジェンダー平等や不平等の解消といった目標を実現し、求職者からの共感を得やすくなるでしょう。
優秀な人材を確保するために、SDGsの理念に基づいた戦略を取り入れてみてください。