採用の売り手市場を味方に!企業が取り組むべきポイント・戦略とは?

採用市場が売り手へと大きく傾き、優秀な人材の確保がますます難しくなっています。
従来の採用手法では、なかなか成果を上げられないと悩む企業担当者は多いでしょう。

売り手市場において企業が勝ち抜くためには、他の企業との差別化が重要です。

そこで本記事では、売り手市場をチャンスに変え、自社に最適な人材を惹きつけるための具体的な戦略を解説します。

採用の売り手市場はなぜ?いつまで?現状と2025年卒の見込み

近年、日本の新卒採用市場は「売り手市場」と呼ばれる状況が続いています。

以下のグラフは、リクルートワークス研究所「第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)」の調査によるもので、2025年卒の大卒における求人倍率を示しています。

2025年卒の大卒における求人倍率は、1.75倍と予測されています。

つまり、1人の求職者に対して1.75社の求人があるということです。就職希望の就活生よりも求人数が上回ることで、企業にとっては採用活動が困難になる状況とわかるでしょう。

2021年から2022年にかけて、コロナ禍による景気悪化の影響で一時的に求人倍率が低下しています。ただ、それ以降の大卒求人倍率は、徐々に上昇していることが分かります。

売り手市場が続いている主な理由

なぜこれほどまでに求人倍率が上昇し、売り手市場が続いているのでしょうか。

主な要因として考えられるのは、労働力人口の減少や働き方の多様性です。

日本の労働力人口は、少子高齢化の影響で減少しています。そのため、企業は少ない求職者を取り合う状況になりました。特に新卒採用では、若い労働力を確保するために企業間の競争が激化しています。

また、リモートワークや副業、フリーランスの業務委託など、多様な働き方が普及しています。ワークライフバランスを重視して働き口を探す求職者も多く、企業は労働力を確保するために、柔軟な雇用形態で募集しなければなりません。

求職者に対しては、こうした状況によって多くの選択肢が提供されますが、それが売り手市場に拍車をかけたともいえるでしょう。

売り手市場は2025年卒も継続する見込み

2025年卒の求人倍率からも分かるように、この傾向はしばらく継続すると予想されます。

企業は、引き続き新卒採用に積極的になる必要があり、新しい採用手法にもチャレンジする姿勢が求められるでしょう。

しかし、これに伴い、求職者の企業に対する期待も高くなっているため、企業は自社PRやに力を入れる必要があります。

採用の売り手市場が企業に与える5つの影響

新卒採用市場が売り手市場であることは、求職者にとって有利な状況です。しかし、企業にとってはさまざまな影響を及ぼします。

ここでは、企業が直面する5つの主要な影響について詳しく解説します。

  1. 求人情報が埋もれてしまう
  2. 求人を掲載してもターゲットから応募がこない
  3. 面接など選考途中での辞退が発生しやすくなる
  4. 相性や待遇が重要視されるようになる
  5. 内定辞退のリスクが高まる

求人情報が埋もれてしまう

売り手市場では、多くの企業が新卒採用に対して積極的に取り組んでいるため、求人情報の数が非常に多くなります。

その結果、企業が掲載する求人情報が他の情報に埋もれてしまい、求職者の目に留まりにくくなってしまいます。

特に、中小企業やスタートアップ企業は、この問題に直面しやすいかもしれません。

求人を掲載してもターゲットから応募がこない

有効求人倍率から考えても、求職者は多くの選択肢を持っていることが分かります。そのため、企業が意図したターゲットからの応募は、中々こないかもしれません。

特に、企業が求めるスキルや経験を持った優秀な人材は、すでに多くの企業からオファーを受けています。こうした状況で、企業は魅力的な求人情報を提供しなければ、採用市場での競争で勝ちづらいでしょう。

面接など選考途中での辞退が発生しやすくなる

売り手市場では、求職者が複数の選考に応募するケースが多くなります。早期に学生が希望する就職先から内定を勝ち取った場合、選考途中での辞退が発生しやすくなります。

これは、求職者がより条件の良い企業を選択しやすい状況だからです。企業は、選考過程でのコミュニケーションを重視し、求職者に対して自社の魅力をしっかりと伝える必要があるでしょう。

相性や待遇が重要視されるようになる

相性や待遇の良し悪しも、売り手市場が企業に与える影響の一つでしょう。

売り手市場では、学生が企業を選ぶ際に重視するポイントが変わってきます。

人事ZINEで発表された「どうなる?24卒・25卒 新卒採用 市場動向調査レポート(春夏版)」によると、学生が内定承諾の決め手になる要素として、次のことが挙げられます。

  • 自分の希望に合っていると感じたから
  • もともと入りたかった企業だから
  • 就活状況を考えてキープしたかったから
  • 採用担当者の人柄が良かったから

「自分の希望に合っていると感じた」「採用担当者の人柄が良かった」という回答は、学生が相性を見て判断している点です。

また、学生が就職活動に求める条件として、福利厚生の充実度や人間関係の良さが挙げられます。

このように、学生が入社を決める際は、相性や待遇面の良さは欠かせません。企業は、学生のニーズを正確に把握し、魅力的な条件を提示する必要があるでしょう。

内定辞退のリスクが高まる

内定を出しても、学生が最終的に他の企業を選択して辞退するリスクが高まることも理解しておきましょう。

売り手市場では、一般的に学生が複数の企業から内定を受け取ります。その中から最も待遇がよく、仕事内容が魅力的な企業が選ばれます。内定を出せば、必ず入社してくれるという保障はありません。

よって、企業は内定を出した後も継続して学生との関係を強化し、内定辞退を防ぐための努力が必要です。

採用の売り手市場で得られるメリット

売り手市場が企業に与える影響を考えると、不安やネガティブな感情を抱くかもしれません。

しかし、この状況を逆手に取り、自社の採用活動を進化させる絶好の機会と捉えることで以下のようなメリットがあります。

  1. 働く環境を改善するきっかけになる
  2. 新たな選考プロセスを実施しやすくなる

働く環境を改善するきっかけになる

まず、働く環境を改善するきっかけになります。

学生が企業に求めるものには、福利厚生や職場の雰囲気が含まれます。

この状況は、企業にとって自社の働く環境を見直し、改善する良いきっかけになるでしょう。さらに、働きやすさや福利厚生の充実で、社員の満足度が向上し、結果として離職率の低下や生産性の向上につながります。

新たな選考プロセスを実施しやすくなる

売り手市場では、従来の採用方法では成果が得られにくくなっています。そこで、今が新しい選考プロセスを導入するチャンスと捉えてください。

たとえば、カジュアル面談の導入や採用イベントなどを試みることで、より適した人材を効率的に見つけられるでしょう。

新しい選考プロセスは、企業の採用活動における競争力を強化するための大きな武器となります。

採用の売り手市場で企業が取り組むべき10個のポイント・戦略

売り手市場で優秀な人材を確保するためには、企業はこれまで以上に戦略的な採用活動を行う必要があります。

ここでは、売り手市場で企業が取り組むべきポイントと戦略を10個紹介します。

  1. 「攻め」の採用活動を取り入れる
  2. 適切な採用手法と媒体を活用する
  3. スカウトメールを駆使する
  4. 求職者が求める情報を余すことなく提供する
  5. 魅力的な求人の露出量を増やす
  6. 採用を前提としないカジュアルな接触機会を増やす
  7. インターンシップなどイベントを実施する
  8. 選考回数を減らして短縮する
  9. 多様な雇用形態を採用する
  10. 働きやすい環境を整備する

「攻め」の採用活動を取り入れる

まず、企業側が候補者にアプローチする「攻め」の採用活動が重要です。

売り手市場では、多くの企業が同じ求職者をターゲットにするため、競争が非常に激しくなります。企業が積極的にアプローチしなければ、他社に先を越されるリスクが高まるでしょう。

攻めの採用姿勢に有効なアプローチとして、以下の施策が挙げられます。

  • スカウトメールやダイレクトメッセージで求職者に直接連絡する
  • インターンシップやカジュアル面談を通じて早期に求職者と接触する機会を作る
  • 企業の魅力を積極的に発信し求職者に選ばれるブランディングをする

売り手市場においては、積極的に求職者にアプローチして認知を高める必要があります。
特に、ダイレクトリクルーティングは「攻め」の採用活動として代表的な手法です。

ダイレクトリクルーティングの効果的なアプローチ方法や注意点については、こちらの記事を参考にしてみてください。

ダイレクトリクルーティングで新卒採用!成功の秘訣・サービス13選を徹底比較

適切な採用手法と媒体を活用する

適切な採用手法と媒体の活用は、売り手市場で学生と効果的に出会うために重要です。

売り手市場では、求職者側に有利な状況が続くため、単に募集をかけるだけではなく戦略的な採用活動を実施する必要があります。

たとえば、ターゲット層へのリーチでは、学生が普段どのような媒体を利用して情報収集しているかを理解しなければなりません。

SNSや特定の求人サイトを多く利用する学生に対しては、的を絞って情報発信することで効果的にリーチできるでしょう。

また、費用対効果も意識してみてください。

さまざまな求人媒体がありますが、適切な媒体を選ばなければ、高いコストパフォーマンスが得られません。

予算を配分しながら最大限の効果を得るためには、どの媒体が最も効果的かしっかりと分析し、戦略的に活用する必要があります。

スカウトメールを駆使する

売り手市場では、求職者からの応募を待つだけでなく、企業側からスカウトメールの送信も効果的です。

スカウトメールを送信する際は、できるだけ個別の学生に合わせてパーソナライズしましょう。名前や過去の活動、興味関心に触れることで、学生は「自分に向けたメール」だと感じ、好感を持ちやすくなります。

なお行動を促す際は、単に「返信してください」と記載しても、具体的なイメージが持てずアクションを起こしてはくれません。

  • 〇日までに〇〇してください
  • 面談にお越しください
  • インターンシップに参加しませんか?

上記のように、次に何をすべきかが分かる明確な指示を含めるといいでしょう。

求職者が求める情報を余すことなく提供する

提供される情報の充実度も、学生が企業に興味を示すかどうかに影響します。

特に採用ページは、企業の第一印象を左右するといっても過言ではありません。最初に目にする情報が魅力的でなければ、企業に対する興味を失ってしまう可能性があります。

そのため、自社の独自性や強みを明確に示し、学生にとって「ここで働きたい」と思わせることが重要です。たとえば、福利厚生の充実や働き方の柔軟性、社員の声やインタビュー記事などを掲載するといいでしょう。

魅力的な求人の露出量を増やす

学生からの応募を増やすには、魅力的な求人の露出量を増やす必要があります。

中小企業や成長段階の企業にとって、知名度という点では大手企業に比べて不利な状況かもしれません。

そのため、求人掲載するときは、さまざまな媒体を利用して情報を拡散する必要があります。たとえば、SNSや求人サイト、企業の公式ホームページ、専門のリクルーティングプラットフォームなどを組み合わせて活用するといいでしょう。

また、採用イベントに積極的に参加すると、企業の認知度を高めるきっかけになります。大学のキャリアセンターとの連携も図ってみてください。

採用を前提としないカジュアルな接触機会を増やす

売り手市場において、学生と自然に関係を築くためには、採用を前提としないカジュアルな接触機会を増やすことが非常に有効です。

カジュアルなイベントや交流会は、学生にとって応募のハードルが低く、採用面接のようなプレッシャーがほとんどありません。ここで学生がその企業に対して興味を持てば、将来的な応募や採用につながる可能性が高まります。

カジュアルな接触機会の具体例は、以下がおすすめです。

  • オフィス見学会
  • 業界セミナーやワークショップ
  • 社員交流イベント
  • ウェビナーやオンラインミートアップ

できるだけ社員と学生が気軽に接触できるイベントを開催し、企業の人間関係や文化を伝える場を設けていってください。

インターンシップなどイベントを実施する

学生との交流を深めるために、インターンシップも積極的に実施しましょう。

売り手市場では、学生が就職活動を早くから始め、内定獲得の時期も早まる傾向があります。インターンシップによって、早期から学生と関係構築しておけば、そのまま採用へつながる可能性が高まります。

インターンシップは、1日や1週間程度と短期のものから、数ヶ月に及ぶ長期のものまでさまざまです。期間によって学生の参加目的が異なるため、企業は学生ニーズを把握してプログラムを組まなくてはいけません。

なお、インターンシップ集客を成功させるヒントは、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

インターンシップ集客の成功手法!学生の満足度が高いユニークな事例も紹介

選考回数を減らして短縮する

売り手市場において、選考のスピードは人材獲得に直結します。

売り手市場では、優秀な人材は複数の企業からオファーを受けるケースが多いです。選考が長引くほど、途中辞退という結果になりかねません。

選考が迅速であれば、他社より先に内定を出せるため「すぐに決断したい」という気持ちを強く抱く可能性が高まります。

また、全ての選考を必ずしも対面で実施する必要はありません。たとえば、一次面接をオンラインで実施することで、日程調整をスムーズにし、迅速に次のステップに進めるでしょう。

多様な雇用形態を採用する

多様な雇用形態に目を向けることも、売り手市場において重要です。

正社員採用だけにこだわらず、副業やフリーランスの人材、社員のリスキリング、業務委託での採用も検討してみましょう。

採用における本来の目的は、会社の目標達成に貢献できる人材を見つけることです。そのため、必ずしも正社員にこだわる必要はありません。

最近では、業務委託として携わっていた人材が、最終的に正社員として応募するケースも増えています。こうした人材は、すでに企業への理解が深いため、採用後のミスマッチが起こりにくいという利点もあります。

外部からの人材受け入れを通じて、正社員採用を目指すのも一つの戦略といえるでしょう。

働きやすい環境を整備する

働きやすさにこだわることは、売り手市場で採用活動を成功させるための重要なコツです。

近年、学生が就職活動において重視する要素として、給与や知名度だけでなく、ワークライフバランスや職場の環境、働き方の柔軟性が挙げられます。

働きやすい環境を提供することは、こうしたニーズに応えることになり、企業の魅力を高められるでしょう。

また、環境整備は、企業全体の良い評判を築く要素にもなります。学生は、社員の口コミや企業の評判をチェックして応募するか否かを選択するケースがあるでしょう。

職場環境への満足度が高ければ「社員を大切にしている」という評判が広がり、採用活動にも良い影響を与えるかもしれません。

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まとめ:売り手市場だからこそできる採用戦略を極めよう

売り手市場において、優秀な人材を確保するためには、従来の採用手法に加え、戦略的なアプローチが欠かせません。

働きやすい環境の整備や、カジュアルな接触機会の提供、インターンシップの実施、選考プロセスの短縮など、さまざまな手法を組み合わせて採用活動を最適化しましょう。