地方学生の採用は、企業に新たな風を吹き込むチャンスです。
しかし、地方に向けての採用活動は、地域に根付いた企業が有利になりやすいでしょう。期待どおりの結果が得られず、採用活動が難航している企業担当者は多いのではないでしょうか。
地方学生の採用には、都市部とは異なるアプローチが必要になります。
そこで本記事では、地方学生の採用における効果的なアプローチ手法や成功事例を紹介し、企業の採用活動をより強化するための具体的な戦略を解説します。
「採用活動の幅を拡げたい!」「自社の魅力を全国の学生に届けたい!」という担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の内容
地方学生採用の最新動向と課題
地方学生の採用活動を進める前に、地方学生が就職活動においてどのような現状におかれているのか理解する必要があります。
地方学生の採用における大きな課題の一つは、移動や宿泊にかかるコストが高いことです。
下記は、就職みらい研究所が発表した「就職活動全体にかかった平均金額の比較」です。
全国平均で見ると、就職活動にかかる費用は、7万5,245円という結果になりました。
ただし、この数値はあくまで平均を表したもので、北海道や東北地方の学生においてはその他地域の学生と比べて2万円近く支出が多いことが分かります。
地方学生の場合、就職活動における費用の大部分を占めるのは、交通費でしょう。首都圏やその他都市部の企業にアクセスするために、高い旅費・交通費を払わなければなりません。
では、学生が就職活動でどのくらいの交通費がかかっているのか、詳しく見てみましょう。
同調査によると、北海道・東北地方の学生は、関東の学生と比べて交通費だけで約16,000円の差があることが分かります。
特に、首都圏から離れたエリアに住む学生は、就職活動における旅費・交通費がかかりやすい傾向が見られ、利用できる時間とリソースが限られやすいです。
こうした状況によって、地方学生は都市部での就職イベントや面接に参加する機会を失いかねません。企業にとっては、会いたい学生と接触するチャンスを無くしてしまいます。
このような課題を克服するには、企業が採用活動を工夫する必要があるでしょう。たとえば、オンラインでの企業説明会やWeb面談の実施など、地理的な障壁を取り除くことが課題になります。
地方学生の採用を強化すべき理由
地方学生の採用は、難航しやすいとイメージされるかもしれません。しかし実際のところ、多くの企業が能動的にアプローチをかけています。
その理由として挙げられるのは、採用の売り手市場です。
従来であれば「募集をかけて待つ」だけで、母集団を形成できていました。
しかし、少子化に伴い、採用市場の競争は激化すると予想されています。応募を待っているだけでは、人材確保が難しい状況といえるでしょう。
求職者の母集団を形成するには、幅広いターゲット層に目を向ける必要があります。地方学生を含む全国の多様なバックグラウンドを持つ学生に対して、企業は能動的にアプローチすべきといえるでしょう。
現代は、SNSの普及や採用活動のオンライン化によって、地理的な制約はほとんどありません。遠方の学生に自社の採用情報を容易に届けられるようになった今だからこそ、自社が求める人材を探す姿勢を取るべきでしょう。
地方学生を採用する5つのメリット
地方学生を採用することで、以下5つのメリットがあります。
- 全国から求める人材との出会いが期待できる
- 競合が少なく採用につなげやすい
- 地方配属による内定辞退リスクを減らせる
- 採用ブランディングを強化できる
- 応募数が少なく自社アピールの機会が多くなる
全国から求める人材との出会いが期待できる
地方学生の採用は、全国の優秀な人材と出会うきっかけが生まれます。
採用活動のオンライン化が進んだ昨今では、企業の所在地や学生の住む地域は、選考にほとんど影響ありません。直接の面接が効果的であることは間違いありませんが、遠方に住む学生にとっては、地理的な制約を気にせず選考に挑めるようになります。
オンラインでの採用イベントやWeb面談の実施は、学生にとって障壁を軽減するきっかけになるでしょう。
競合が少なく採用につなげやすい
競合が少なく、採用につなげやすいことも、地方学生にアプローチするメリットです。
大企業が集中しがちな都市部の場合、採用市場での競争率は自然と高くなります。スタートアップの企業や成長段階の企業にとっては、競合に埋もれてしまうかもしれません。
地方の場合、学生が得る情報量や企業との接触の機会が都市部に比べて少ない傾向があります。こうした特徴を味方にすれば、自社の採用情報を的確に届けられ、学生の目に留まるチャンスが増える可能性があります。
地方配属による内定辞退リスクを減らせる
全国に拠点がある企業の場合、地方出身の学生を希望する勤務先に配属することで、内定辞退リスクを減らせる可能性があります。
学生によっては、できれば地元で就職したいと考える方もいるでしょう。
地元に根ざした生活を続けられるという安心感から、企業への忠誠心も高まり、長期的な雇用が期待できるかもしれません。
社員の配属希望が通りやすくなれば、企業のイメージアップにもつながりやすく、早期離職も防げるでしょう。
採用ブランディングを強化できる
採用ブランディングを強化できる点も、地方学生を積極的に採用するメリットでしょう。
多様性が重視される昨今において、全国各地から人材を受け入れる姿勢をアピールすることは、企業価値を高めるきっかけになります。
また、地方学生の就職活動に貢献する企業として、ポジティブなイメージを構築できます。こうしたイメージがあると、多くの有能な求職者に魅力的な選択肢として認識されるようになり、競合との差別化を図るチャンスになるでしょう。
自社アピールの機会が多くなる
地方学生への採用活動は、自社アピールをしやすいメリットがあります。
地方学生だけでなく、これから就職を控えている学生の多くは、社風や働く雰囲気の良さを求める傾向にあります。
自社が都市部にあれば、地方の企業とは違った福利厚生や仕事内容がアピールポイントになるかもしれません。ここで差別化を図れば、応募の動機作りに役立つはずです。
また、採用活動の中には、ターゲット層に直接アプローチできる方法もあります。個別に対応することで深い関係を築きやすく、企業文化や職場環境、キャリア機会など、自社の強みを詳細に伝える機会が増えるでしょう。
地方学生を採用する際の注意点
地方学生の採用には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットにも注意を払わなくてはいけません。
企業がこれらの注意点を理解し、適切に対応することで、地方学生の採用プロセスをより円滑に進められるでしょう。
- 採用コストが増えやすい
- 地元就職を希望する学生が多い
採用コストが増えやすい
地方学生を採用する際には、採用コストが増加する可能性があります。
地方学生に自社情報を届けるには、地方採用に特化したツールの利用や新しい採用手法を取り入れる必要があるためです。
たとえば、オンライン面接のためのプラットフォーム導入や、地方の学生に対して企業を効果的にアピールするためのマーケティング施策が該当するでしょう。
現地に出向く場合は、採用イベントの開催コストや、出張費用も考慮しなければなりません。これらの費用を賢く管理するには、費用対効果を常に意識し、適切な予算配分をすることが重要です。
地元就職を希望する学生が多い
地方学生の中には、地元での就職を希望する方もいます。
マイナビキャリアリサーチLabが発表した「2023年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査」(※)によると、2023年3月卒業予定の学生のうち、地元での就職を希望する割合は62.6%に達しており、この数値は年々増加しています。
この傾向を理解せず、単に採用情報を届けるだけでは、学生から興味を持ってもらいづらいかもしれません。そのため、企業は地元志向の強い学生に対して戦略的にアプローチする必要があります。
たとえば、地方に支社やオフィスを設置している場合は、その地域での勤務機会を強調すると効果的でしょう。
また、リモートワークの導入や地元に貢献できるプロジェクトの提案なども、地元志向の学生に対する効果的なアプローチ方法です。
企業は、これらの注意点をしっかりと認識し、柔軟かつ積極的な採用活動を展開するといいでしょう。
※参照:マイナビキャリアリサーチLab 2023年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査
地方学生に効果的なアプローチ方法6選
地方学生を効果的に採用するには、ターゲットに合ったアプローチが必要です。
以下に挙げた6つの方法は、地方学生との接点を増やす効果的なアプローチです。地方学生の採用活動を強化する際に、ぜひ実施してみてください。
- ダイレクトリクルーティングを実施する
- SNSで自社情報を拡散させる
- 地方学生に魅力が伝わる採用サイトを作る
- 地方特化型の採用支援サービスを利用する
- 地方学生が参加しやすいインターンシップを実施する
- オンライン企業説明会・Web面談を開催する
ダイレクトリクルーティングを実施する
地方学生に直接アプローチする手法として有効なのが、ダイレクトリクルーティングです。
この方法は、地方学生に対して専用プラットフォームやツールを通して直接連絡を取り、自社の魅力を伝える有効な手段の一つ。学生は、企業の熱意を感じ取りやすくなり、企業側も優秀な人材を早期に確保できる可能性が高まります。
ダイレクトリクルーティングを実施する際は、企業の魅力を伝えるメールやメッセージの内容を工夫してみてください。メルマガのようなテンプレ要素は減らし、特別感をプラスした文面を意識すると、反応率が高まるはずです。
ダイレクトリクルーティングの必勝方法は、こちらの記事を参考にしてください。
ダイレクトリクルーティングで新卒採用!成功の秘訣・サービス13選を徹底比較SNSで自社情報を拡散させる
地方学生にリーチするためには、SNSを積極的に活用しましょう。拡散力が高いSNSであれば、適切に運用することで幅広い潜在層へのリーチが期待できます。
企業が活用しやすいサービスとして、XやInstagram、Facebookなどが挙げられます。これらのプラットフォームで、採用情報や企業文化、社員の声などを発信し、興味を持った学生がアクセスしやすい環境を整えてください。
定期的な投稿やライブ配信で企業のリアルな姿を見せることも、学生に親近感を持たせ、エンゲージメントを高められます。
地方学生に魅力が伝わる採用サイトを作る
地方学生に自社の魅力を伝えるためには、専用の採用サイトを見直してください。
学生の知りたい情報が、採用サイトに掲載されていないと、興味を引きづらくなります。
たとえば、就活生の多くは、社風や社員の活躍度、福利厚生や社会貢献度に注目する傾向があります。地方学生にとっては、勤務地や転勤の有無に関しても知りたい情報でしょう。
採用サイトには、地方学生に向けた情報を分かりやすく整理し、地域ごとの採用情報や実際の業務内容、社員のインタビューなどを掲載してください。
また、視覚的に魅力的なデザインやコンテンツのユニークさも、学生の目を引く要素になるでしょう。
地方特化型の採用支援サービスを利用する
地方学生を効果的に採用するために、地方特化型の採用支援サービスを利用することも有効です。
たとえば、職種と地域で検索をかけられるIndeedでは、地方学生が求める条件に合った求人掲載が得意です。こだわり条件を細かく設定できるプラットフォームであれば、学生とのミスマッチも減らせるでしょう。
ほかにも、地域密着型の求人サイトや地方自治体が運営する就職支援サービスもあるので、ぜひ実施してみてください。
地方学生が参加しやすいインターンシップを実施する
地方学生に向けたインターンシップを実施することで、企業との接点を増やすきっかけになります。
インターンシップには、1日体験の短期間のものから数ヶ月に渡る長期のものまでさまざまなスタイルがあります。最近では、オンライン形式で開催するインターンシップも注目されています。地理的な制約がある地方学生にとっては、参加のハードルが低くなるでしょう。
また、インターンシップの内容は、実際の業務を体験させるだけでなく、企業文化や社員との交流を通じて企業の魅力を伝えるものもおすすめです。
インターンシップの効果的な方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。斬新なアイデアを活用した事例も紹介しているので、参考にしてみてください。
オンライン企業説明会・Web面談を開催する
オンライン企業説明会やWeb面談は、地方学生との接点を増やすために積極的に実施したい手法です。
企業説明会に関しては、5〜15社の説明会に参加する学生が多く、中には30社近く参加する学生もいます。それだけ、気軽に学生を呼び込めるチャンスなので、いかに開催情報を多くの学生に届けられるかが鍵となります。
個別面談においては、学生からの質問に答えるセッションを実施してください。双方向のコミュニケーションが促進すれば、学生の企業に対する理解と関心を深められます。
地方学生採用の成功事例
地方学生の採用活動は、あらゆる視点からアプローチする必要があります。
たとえば、母集団形成やインターンシップ制度の工夫、学生が参加しやすい選考フローの構築など、どれも地方学生を獲得するための重要な要素です。
実際に成功した3つの事例を紹介するので、参考にしてみてください。
ワンページ株式会社
ワンページ株式会社は、デザインとDXを用いて、企業様の魅力を最大限に表現することを強みとするデザインコンサルティング会社です。
お客様のサイト制作には一層力を入れており、応募者の母集団形成に尽力。地方学生の採用強化に貢献しています。
コーポレートサイトで採用情報を発信していた企業様の事例では、学生が知りたい情報が既存サイトで網羅されていないことに着目。この課題に対し、社員のインタビューを含む社風が伝わるコンテンツを制作し、求職者が実際に働くイメージを持てるように改善しました。
さらに、世界最大級の検索エンジン・indeedの正規代理店である強みを活かし、求人情報を広範囲に発信することに成功。その結果、月間応募数は1人から20人以上に増え、半年で120人の応募を獲得しました。
株式会社サイバーエージェント
株式会社サイバーエージェントは、地方大学生の採用強化を目的としたプロジェクト「FLATOP」を実施しています。
このプロジェクトは、地方就活生がサイバーエージェントの「事業力」を学ぶためのコミュニティで、全3回の講義とワークを通じて異なる事業戦略を考えます。
10日間のオンラインインターンシップでは、オリエンテーションから始まり、チームビルディング、各セッションの発表と講義をします。
すべてのワークはZoomで実施され、地方学生に平等な情報と機会を提供することをコンセプトに開催。この取り組みは、地方学生とのコミュニケーションを深め、彼らにとって貴重な学びと成長につながりました。
ユナイテッド株式会社
ユナイテッド株式会社は、2015年度から「1日完結選考」を導入し、2017年度の新卒採用では、地方での実施回数と開催場所を増やしました。
この施策は、地方の就活生が複数回の面接や交通費といった時間的・経済的制約を緩和し、より多くの優秀な地方学生を採用することを目的としています。
「1日完結選考」は、会社説明会から最終選考、内定通知までを1日で完了させる採用手法で、地方学生の就職活動における「時間」と「お金」の問題解決に有効な手段といえます。
地方学生の採用を強化するならワンページ
地方学生の採用強化なら、ワンページにお任せください。
弊社では、採用支援コンサルティングやコンテンツ重視のサイト制作を提供しており、企業様の採用活動を全面的にサポートします。
地方学生の多くは、就職活動の際に、福利厚生の充実度や社風の良さ、働きがいを求める傾向にあります。
ワンページのコンサルティングサービスは、地域特有の課題に対応した戦略を立案し、効果的な採用活動を支援します。
また、視覚的に魅力的で使いやすい採用サイトを制作することで、地方学生に企業様の魅力をしっかりと届けられます。
地方学生の採用は、従来型の戦略では難しいかもしれません。弊社では、採用市場に合わせて結果の出るアプローチを展開させていただきます。
採用に関するお困りごとがあれば、無料相談を受け付けていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ:地方学生の採用は積極的なアプローチが鍵
地方学生は、都市部の企業や採用イベントに参加する機会が限られていることを、企業は理解しなければなりません。
多くの学生に出会うためには、積極的にオンライン面接や説明会を開催し、地理的な制約を突破することが重要です。
また、ダイレクトリクルーティングや現地でのイベント開催など、企業側から積極的にアプローチするのも効果的です。
企業からの直接的な関心やアプローチは、学生にとって大きな動機付けとなり、応募につなげやすくなるでしょう。