ホームページ作成費用の勘定科目一覧!仕訳方法・例もあわせて紹介

自社ホームページを作成する際にかかった費用は、経費として計上することができます。

しかし、ホームページ制作にかかる費用は、目的によって勘定科目が異なるため、適切に仕訳しなければなりません

「ホームページの勘定科目がよくわからない……」
「ホームページの作成費用として使える勘定科目を知りたい」

このように考える方は少なくないでしょう。

そこで本記事では、ホームページ作成費用における勘定科目について詳しく解説します。仕訳方法もあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ホームページ制作費用の勘定科目は大きく3種類

ホームページ制作費用に関する勘定科目は、3つに大別されます。また、他のケースもあるため状況に応じて、適切に計上することが大切です。

それぞれに特徴を見ていきましょう。

基本は広告宣伝費として計上

ホームページは「広告宣伝費」で計上するのが一般的です。

例えば、A社に依頼した広告宣伝費が100,000円だった場合は、以下のように仕分けします。

借方 貸方
広告宣伝費100,000円 普通預金100,000円

そもそも、会社のホームページを作るのは、企業や企業が手掛ける商品やサービスをPRすることが目的であることが多いでしょう。

ただし、広告宣伝費として計上するには、ホームページを公開してから1年以内に更新することを前提としています。

頻繁に更新することを前提としているなら、広告宣伝費として計上すると覚えておくといいでしょう。

1年以内の更新がないときは繰延資産または長期前払費用

1年以内の更新がないケースでは、勘定科目を「繰延資産」または「長期前払費用」として計上します。

繰越資産:年度をまたいで損金処理する

ホームページ制作費用に50万円かかり、5年間で均等償却する場合の例を紹介します。

借方 貸方
ホームページ制作費償却100,000円 ホームページ制作費100,000円

長期前払費用:翌期以降に損金処理する

ホームページ制作費用として100万円かかり、5年間で支払う場合の例を見ていきましょう。

借方 貸方
長期前払費用1,000,000円 普通預金1,000,000円

5年間で償却した場合は、以下になります。

借方 貸方
長期前払費用償却200,000円 長期前払費用200,000円

商品やサービスの効果が1年以上続くものは、継続期間中に更新しなくていい場合もあるでしょう。

ホームページを、数年にわたり使用する前提がある場合の勘定科目は、「繰越資産」です。

なお、「長期前払費用」は、使用期間に応じて均等償却します。

高機能なECサイトなら無形固定資産税

ホームページにソフトウェア機能がある場合の勘定科目は、「無形固定資産税」として計上します。

該当するのは、ECサイトやゲーム機能、会員登録機能や会員システムなど、高機能なサイトです。

多くの場合、ECサイトには、次のような機能が搭載されています。

  • 会員登録機能
  • ログイン機能
  • マイページ管理機能
  • ショッピングカート機能
  • 決済機能
  • 問い合わせフォーム

これらの機能は高度な機能であるため、無形固定資産として計上しましょう。

ただし、ソフトウェアの価格が20万円未満の場合は、一括償却資産として計上し5年間で均等減価償却します。

上記の例での仕訳方法は以下です。

支払い時

借方 貸方
繰延資産200,000円 普通預金200,000円

決算時

借方 貸方
減価償却費40,000円 繰延資産40,000円

広告宣伝費と固定資産税の両方に当てはまるケースもある

ホームページ制作費用では、「広告宣伝費」と「固定資産税」の両方に当てはまるケースもあります。

例えば、動画制作にかかった費用のケースを例に挙げて見ていきましょう。

制作費用が20万円以下でかつ、使用期間が1年未満だった場合は、広告宣伝費として計上します。

制作費用が20万円以上で、1年以上利用する場合は、固定資産税として計上します。

このように同じ動画制作費用でも、条件次第では勘定科目の種類が変わるのが留意点です。

ホームページの運用・管理費用の勘定科目

ホームページの運用や管理にかかる勘定科目は、以下の6つに分類されます。それぞれに詳しく見ていきましょう。

  1. サーバー費用
  2. ドメイン費用
  3. SSL証明取得費用
  4. 運用保守費用
  5. コンテンツ制作費用
  6. SEO対策費用

サーバー費用の勘定科目は通信費や広告宣伝費

サーバー費用の勘定科目は、「通信費」「広告宣伝費」などです。

ホームページを運用するに当たって、サーバーは欠かすことのできないものです。

しかし、サーバー購入費用は多額なるため、自社での購入が難しい場合はレンタルという選択肢もあります。

サーバー費用1万円の場合では、以下のように仕分けます。

借方 貸方
通信費10,000円 現金10,000円

自社サーバーを購入する場合は「広告宣伝費」、レンタルの場合は「通信費」または「広告宣伝費」のいずれかで計上するといいでしょう。

ドメイン費用の勘定科目は通信費や広告宣伝費

ドメイン費用は、「通信費」として計上するのが一般的です。

ただし、広告宣伝を目的としている場合は、「広告宣伝費」として計上することもできます。

なお、勘定科目は統一しなければなりません。どちらでも構いませんが、毎回同じ勘定科目として計上してください

自社サーバーのドメイン取得費用に、5,000円かかった場合の仕訳例を紹介します。

借方 貸方
広告宣伝費5,000円 現金5,000円

自社サーバーを購入する場合は「広告宣伝費」、レンタルの場合は「通信費」または「広告宣伝費」のいずれかで計上するといいでしょう。

SSL証明取得費用の勘定科目は基本的に通信費

SSL証明取得費用は、基本的に「通信費」として計上します。

SSL証明取得費用として、3万円かかった場合の例は以下の通りです。

借方 貸方
通信費30,000円 普通預金30,000円

SSLは個人情報を暗号化して保護するので、顧客情報を安全に管理するために欠かせません。

ただし、通信費として計上できるのは、少額だった場合です。

なお、SSLは認証方法が高度になるほど費用が高くなります。高額の場合は、ソフトウェアとして計上することもできます

運用保守費用の勘定科目は広告宣伝費

運用保守費用は「広告宣伝費」として計上しましょう。

ホームページの保守運用費用に毎年5万円かかる場合の仕訳例は以下の通りです。

借方 貸方
広告宣伝費50,000円 普通預金50,000円

企業や企業が扱う商品・サービスのPRに活用する場合、ホームページを広告として考えます

ホームページは公開後も、定期的な見直しが欠かせません。ユーザーに有益な情報を発信し続けるには、常に新しい情報を提供することも大切です。

ホームページ=広告を維持する目的があるため、広告宣伝費として計上します。

コンテンツ制作費用の勘定科目は基本的に広告宣伝費

コンテンツは、ユーザーに対して企業や商品・サービスの魅力を伝える目的があるので、「広告宣伝費」として計上します。

コンテンツ制作費用として、15万円かかった場合の例を紹介します。

借方 貸方
広告宣伝費150,000円 普通預金150,000円

ただし、コンテンツに高度な機能が含まれる場合は、「無形固定資産」に該当する場合もあるので注意が必要です。

SEO対策費用の勘定科目は基本的に広告宣伝費

SEO対策費用の勘定科目は、原則「広告宣伝費」です。

SEO対策に20万円かかった場合の仕訳例を紹介します。

借方 貸方
広告宣伝費200,000円 普通預金200,000円

SEOは、検索エンジンの最適化を図るための施策ですが、根本はホームページの宣伝となるでしょう。

ただし、SEO対策にはさまざまな方法があるため、目的によって勘定科目を変えることもできます

  • コンサルティング費用:業務委託費
  • SEO対策に必要なツール費用:ソフトウェア

上記は一例ですが、適切な勘定科目を見極めることが大切です。

ホームページの勘定科目・税務に関するよくある質問

では最後に、ホームページの勘定科目に関するよくある質問を紹介します。

ホームページ制作費用の償却年数は何年ですか?

ホームページ作成費の償却年数は、目的によって異なります。

  • 複写して販売するための原本または、研究開発費用:3年
  • その他:5年

参照:国税庁

ホームページ制作では、その他に該当するため5年です。

ホームページの有効な節税方法を教えてください

従業員数が1,000人以下の中小企業で、ホームページ制作費用が30万円未満の場合は、損金として処理できます

勘定科目がソフトウェアのホームページにも適用されるので、該当するなら損金として計上するといいでしょう。

まとめ:ホームページの勘定科目は種類に合わせて適切に処理しよう

ホームページの勘定科目は、目的によって種類が変わります。

同じ目的でも条件によっては、異なる勘定科目として計上しなければなりません

本記事で紹介した内容を参考にしながら、適切にホームページの勘定科目を見極め適切に処理してください。