企業が自社商品を販売する手段として、実店舗とECサイトの選択肢があります。
ECサイトを立ち上げる際は、自社の目的や扱う商品に合った構築方法を選ぶ必要があります。
「ECサイトを構築するにも何から手を付けていいかわからない」
「ECサイトの立ち上げにいくらかかるか知りたい」
このような悩みを持つ担当者は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ECサイトの構築方法や費用について解説します。ECサイトを構築できるおすすめサービスも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ホームページ作成の費用相場はいくら?コストを安く抑えるコツも解説この記事の内容
ECサイトの構築方法6種類を比較
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
オープンソース | 低コストで運用できる | セキュリティ性は低い |
ASP | 必要な機能が揃っているのでスピーディに導入できる | カスタマイズできない |
ECパッケージ | 必要な要素が全てパッケージ化されておりセキュリティも高い | コストがかかる |
クラウドEC | システムの構築が不要でシステムは自動更新される | ランニングコストがかかる |
フルスクラッチ | カスタマイズ性が高い | システムの導入に時間がかかる 専門的な知識やスキルが必要 |
モール型 | 初心者にも利用しやすい | 価格競争が激しい |
それでは、ECサイトの構築方法6種類を比較していきます。それぞれどんな企業におすすめなのかも見ていきましょう。
- オープンソース
- ASP
- ECパッケージ
- クラウドEC
- フルスクラッチ
- モール型
オープンソース
オープンソースは、一般公開されているソースコードを使用してECサイトを構築します。
初期費用と月額費用が安く、カスタマイズできるのがメリットです。
企業だけでなく個人でECサイトを構築したい方や、できるだけコストをおさえたいときに適しています。
ただし、セキュリティ性はあまり高くないことやサポートが受けられないのが留意点です。
ASP
ASP(Application Service Provider)は、クラウド上にECサイト構築に必要な機能が用意されています。
システムが用意されているため、スピーディな構築が可能で、初期費用を安くおさえられるのがメリットです。
すぐにでもECサイトの運営を始めたいときに適しています。
ただし、完成したシステムを利用するため、カスタマイズ性を重視したい場合は不向きとなるので注意してください。
ECパッケージ
ECパッケージは、ECサイトの構築に必要な要素が全てパッケージされています。
必要な機能は全て標準装備されているだけでなく、カスタマイズ性に優れているのも嬉しいポイントです。
また、強固なセキュリティを備えているので、安全性を重視して選びたい場合に適しているといえるでしょう。
ただし、初期費用とランニングコストがかかることや、パッケージされているためシステムが古くなると、別途セキュリティ対策が必要になる点は把握しておいてください。
クラウドEC
クラウドECは、クラウド上に用意されたプラットフォームを使用します。
構築方法によっては、自社サーバーにプラットフォームをインストールする必要があり、システムの更新なども自社で対応しなければなりません。
クラウドECは、インストール不要でシステムの更新も自動で行われるので、常にシステムは常に最新の状態を保てます。
セキュリティ性やカスタマイズ性が高い反面、初期費用とランニングコストが高くなることに留意しましょう。
導入には3ヶ月ほどかかりますが、自社サーバーを用意できない企業にも導入しやすいでしょう。
フルスクラッチ
フルスクラッチは、何もない状態から独自のECサイトを構築する方法です。
一から作り上げるので、イメージ通りのECサイトを構築できるでしょう。
ただし、導入までには長い時間がかかりますし、サイトの構築には専門的な知識やスキルを持った担当者がいなくてはなりません。
さらに、自社サーバーやインフラの用意など、開発には多くの費用がかかります。
フルスクラッチは、費用や社内リソースに余裕がある大企業向きです。
モール型
モール型は、ネット上にショッピングモールを再現したイメージです。
- マーケットプレイス型:商品データを掲載
- テナント型:さまざまな店舗が出店できる
モール型には上記の2種類があります。マーケットプレイスは、AmazonやZOZOTOWN、テナント型は、楽天市場やYahoo!ショピングが有名です。
他にも多くの企業や店舗が出店しているので、価格競争が激しいことに留意してください。
ECサイトの構築手順7ステップ
ECサイトの構築手順を7つのステップに分けて紹介します。
- サイト制作の事前準備をする
- サービスを選ぶ
- サイトマップを作成する
- ワイヤーフレームを作成する
- デザイン・コーディングをする
- 商品を登録する
- 決済方法・配送方法を設定する
サイト制作の事前準備をする
始めにサイト制作の事前準備として、コンセプトを設定しましょう。
コンセプトが曖昧なままECサイトを構築しても、準備中にトラブルが生じたり、完成形がイメージと異なったりする恐れがあります。
- どのようなサイトにしたいのか
- どんな目的でECサイトを構築したいのか
- 販売する商品や価格
上記のように、ショップのコンセプトを決めてください。
サービスを選ぶ
次に、利用したいサービスを選びましょう。
ECサイトを構築できるサービスにはさまざまな種類があり、それぞれに機能や費用が異なります。
デザインが限られると、企業イメージにマッチしない可能性があるので、デザインの種類やカスタマイズ性も確認しておくといいでしょう。
サイトマップを作成する
利用するサービスが決まったら、サイトマップを作成してください。
ECにおけるサイトマップには、以下の3種類があります。
- 制作者用
- 顧客用
- クローラー用
サイトマップはECサイトの設計図であり、対象によって内容が異なります。
制作者用は、ECサイトを構成するページや階層をまとめ、一目でサイト構造を把握できるようにします。
顧客用は、顧客がサイトを訪問したときに、見たい情報がどこにあるのかを示す案内図の役割です。
クローラー用は、Google検索エンジンに認識してもらうために、XMLというマークアップ言語を用いて作成します。
ワイヤーフレームを作成する
次に、ワイヤーフレームを作成しましょう。
「画面設計」とも呼ばれるように、ワイヤーフレームも設計図の一種です。ここではシンプルに線と枠のみでまとめ、デザインを決める必要はありません。
ワイヤーフレームは、顧客がサイトを見たときの印象を決める重要な要素です。
情報が多すぎると見づらいので、シンプルに見やすいレイアウトを意識してください。
デザイン・コーディングをする
次はデザイン・コーディングです。
ワイヤーフレームは、線と枠のみでシンプルにまとめているため、次のステップで具体的にデザインを決めていきます。
テンプレートを用意しているECサービスもあるので、イメージに近いテンプレートを使うのもいいでしょう。
コーディングは、HTMLやCSSなどのプログラミング用語を用いて、デザインが表示されるようにする工程です。
商品を登録する
次に、ECサイトで販売したい商品を登録します。
登録方法はサービスによっても異なりますが、商品登録の際は次の項目を設定しておきましょう。
- 商品名
- 販売価格
- 商品説明やスペック
商品を登録する際は、画像も用意してください。画像は明るく見やすいことを意識しましょう。
決済方法・配送方法を設定する
最後に、決済方法や配送方法を設定してください。
ECサービスによって、対応している決済方法は異なります。
顧客が商品に興味を持ち購入しようとしても、使いたい決済方法がなければ販売チャンスを失いかねません。
ECサービスを選ぶ際は、取り扱い決済方法もしっかりと確認しましょう。
ECサイトを構築する際のポイント5つ
次に、ECサイトを構築するポイントを5つ紹介します。
- 用途や売上に合ったサービスを利用する
- 必要な機能を明確にする
- ユーザー視点で分かりやすくデザインにする
- ECサイト構築・運用セキュリティガイドラインに遵守する
- 分析・改善を続ける
用途や売上に合ったサービスを利用する
ECサイトを構築する際は、用途や売上に合ったサービスを利用しましょう。
例えば若い女性をターゲットにしているなら、おしゃれなデザインにすると興味を持ってもらいやすくなります。
性別を問わず幅広い年齢層をターゲットにする場合は、万人受けするデザインが適しています。また、簡単に利用できるかも確認してください。
必要な機能を明確にする
必要な機能を明確にすることも大切です。
利用料が安ければランニングコストを抑えられますが、必要な機能が搭載されていなければ売上に影響しかねません。
ECサイトを構築するにあたって、最低限必要な機能を明確にしておきましょう。
ユーザー視点で分かりやすくデザインにする
デザインは、ユーザー視点で分かりやすいことを心がけてください。
デザインにこだわりがあっても、ユーザーが見づらいと感じればそこで離脱される可能性があります。
ECサイトでは商品がメインなので、商品が目立つようシンプルなデザインが理想です。
また文字の大きさやフォント、文字間スペースなども、ユーザー視点で見やすいかを意識しましょう。
ECサイト構築・運用セキュリティガイドラインに遵守する
ECサイトを構築する際は、ECサイト構築・運用セキュリティガイドラインを遵守してください。
ECサイトの種類によっては、セキュリティ性が低いものもあります。
インターネット上で商品を販売する以上、サイバー被害のリスクがあることも理解しなければなりません。
もし顧客に被害が及んだら、経営責任を問われるでしょう。
ECサイトを構築する際は、ガイドラインに目を通しセキュリティ対策も行ってください。
<h3>分析・改善を続ける
ECサイトは一度構築したら終わりではありません。
運営を続ける以上、継続的な分析と改善が必要です。
初回に買い物をしても、魅力やメリットを感じなければリピーターにはなってもらえないでしょう。
リピーターを獲得するには、どうしたら顧客に満足してもらえるかの分析と改善が必要です。
リピーターが増えれば、口コミなどから新規顧客獲得のチャンスも広がるでしょう。
ECサイトを構築できる無料・有料サービスおすすめ5選
では最後に、ECサイトを構築できるおすすめサービスを5つ紹介します。
- BASE
- EC-CUBE
- WordPress+Welcart
- Yahoo!ショッピング
- ecbeing
BASE
運営会社 | BASE株式会社 |
---|---|
種類 | ASP |
料金 | スタンダードプラン 月額0円 決済手数料3.6%+40円 サービス利用料3%グロースプラン 月額5,980円 決済手数料2.9% サービス利用料0% |
主な機能 | SNS販売 予約販売 抽選販売 シークレットEC CSV商品管理 かんたん発送(ヤマト運輸連携)など |
BASE(ベイス)は、「お母さんでも使える」をコンセプトにした、誰でも簡単に利用できるのが魅力のECサービスです。
開業までの手続きも簡単でわかりやすく、開設まで約30秒、販売まで約30分で完了します。
初心者にも始めやすいスタンダードプランなら、初期費用月額費用は0円です。かかる費用は、商品が売れたときだけ決済手数料とサービス利用料のみとなっています。
EC-CUBE
運営会社 | 株式会社イーシーキューブ |
---|---|
種類 | オープンソース |
料金 | 要問い合わせ |
主な機能 | 商品検索・一覧 商品画像複数登録 カテゴリ管理 タグ管理 商品企画管理など |
EC-CUBEは、カスタマイズ性とコストパフォーマンスに優れたECオープンソースです。
ECに必要な機能が標準装備されており、用途に合わせてプラグインでの拡張もできます。
テンプレートも充実しており、企業イメージに合わせたカスタマイズも可能です。
自社システムや外部サービスとの連携もできて、EC-CUBE公式決済サービスを始め多くの決済サービスにも対応しています。
オープンソースは気軽に利用できますが、ソースを開示したくない場合は、EC-CUBE商用ライセンスを利用すると良いでしょう。
WordPress+Welcart
運営会社 | コルネ株式会社 |
---|---|
種類 | オープンソース |
料金 | 要問い合わせ |
主な機能 | カート機能 定期購入商品の販売 ダウンロード・サービス販売 ポイント購入など |
WordPress+Welcartは、幅広い用途に対応するECオープンソースです。
全体の構造がSEOに適しているため、初めてでも効果的なSEO対策ができるでしょう。
基本はWordPress上で動作するため、商品の登録や管理はWordPressの管理画面から行えるのもポイントです。
運営者自身で受注データを管理するので、自由度の高いマーケティングを展開できます。
簡単なプログラミングの知識があれば、イメージ通りにカスタマイズできるでしょう。
Yahoo!ショッピング
運営会社 | ヤフー株式会社 |
---|---|
種類 | モール型 |
料金 | 初期費用:0円 月額利用料:0円 売上ロイヤリティ:0円 クレジットカード決済手数料:3.0%~ アフィリエイト:1.3%~ |
主な機能 | 商品販売 メール配信など |
Yahoo!ショッピングは、ずっと無料で出店できます。
圧倒的な集客力で新規顧客を獲得しやすいのがメリットです。
初期費用や月額費用は一切かかりません。かかるのは、クレジットカード決済手数料と、アフィリエイト、購入者へのポイント付与額のみです。
売上ロイヤリテやシステム利用料も無料なので、コストをおさえたい場合に適しています。
ecbeing
運営会社 | 株式会社ecbeing |
---|---|
種類 | ECパッケージ |
料金 | ミドルプラン 初期費用:500万円~ 月額費用:20万円~エンタープライズプラン 初期費用:要見積もり 月額費用:40万円~ |
主な機能 | 顧客カルテ 分析機能 カスタマイズなど |
Ecbeingは、中堅・大手向けのECサイトプラットフォームです。
ECのプロが、サイト構築やカスタマイズ、デザインやマーケティングまで各ソリューションをサポートします。
500名以上の開発体制と、200名以上の運用支援部隊が、ワンストップでサポートするのもポイントです。
さらに、24時間365日有人監視体制でリスクに備えられるので安全性を重視したい方にもおすすめです。
まとめ:ECサイト構築は自社に適した方法で進めよう
ECサイトを構築する方法はいくつかありますが、それぞれに特徴が異なります。
とりあえず試してみたいならコストをおさえられるオープンソース、オリジナリティにこだわりたいならフルスクラッチなど選択肢は豊富です。
本記事で紹介した情報を参考にしながら、まずは目的を明確化し、自社に適した方法で進めてください。