IT導入補助金は、多くの企業や事業者にとって貴重な支援制度です。
しかし、適用範囲や具体的な条件については理解しきれていない方も多いのではないでしょうか?
IT導入補助金の活用は、ECサイト制作においても大きなメリットがあります。
本記事では、ECサイト制作におけるIT導入補助金の適用条件やメリットについて詳しく解説します。
採択率を上げるためのコツも紹介しますので、EC事業の展開を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の内容
IT導入補助金はECサイトでも適用される
IT導入補助金は、ECサイトでも適用されますが、いくつか条件があるので紹介します。
- ECサイトは新規制作のみIT導入補助金の対象
- ASPを利用したECサイトも対象
- コンサル費や保守・運用サポート費も対象になる
- IT導入支援事業者への依頼が前提
ECサイトは新規制作のみIT導入補助金の対象
IT導入補助金は、ECサイトの新規制作のみが適用対象です。
新規制作であることに加え、以下2点が必須条件として定められています。
- 電子決済機能(クレジットカード・デビットカード・キャリア決済等)の実装
- SSLやTLSを用いたHTTPS通信の導入
参照元:ECサイト制作の特例について
既存サイトのリニューアルやホームページ制作は、補助金の対象外なので注意しましょう。
ASPを利用したECサイトも対象
ASPを利用したECサイト制作も、IT導入補助金の対象です。
ASPの利用は、IT導入補助金の必須条件ではありません。ASPの活用により、コストを抑えてECサイトを制作できます。
ECサイト制作で利用できるASPは、以下のようなサービスがあります。
- BASE
- STORES
- Shopify
- MakeShop
- カラーミーショップ
- EC-CUBE
カスタマイズ性に優れているわけではないものの、月額数千円〜数万円でECサイトを構築できます。
コンサル費や保守・運用サポート費も対象になる
IT導入補助金の対象は、ECサイトの制作だけではありません。ホームページ周りの費用も含まれます。
補助対象となる主な費用には、以下の内容が挙げられます。
- ソフトウェア
- 機能拡張
- データ連携ツール
- セキュリティ
- 導入コンサルティング
- 導入設定・マニュアル作成・導入研修
- 保守サポート
- PC・タブレット、プリンター、スキャナー、複合機
- POSレジ、モバイルPOSレジ、券売機
制作後の保守サポートや運営に必要な費用も補助対象となるため、トータルコストを考慮して申請しましょう。
IT導入支援事業者への依頼が前提
IT導入補助金の申請には「IT導入支援事業者」の登録業者へ依頼することが前提です。
IT導入支援事業者の登録業者は、IT導入補助金2023で検索できます。
事業者との契約やサポート内容についても慎重に検討し、信頼できる業者を選びましょう。
ECサイト制作に使えるIT導入補助金はデジタル化基盤導入枠
IT導入補助金の申請枠には、大きく「通常枠」「デジタル化基盤導入類枠」「デジタル化基盤導入枠」があります。
中でも、ECサイト制作の対象は「デジタル化基盤導入枠」のみです。
ここからは、デジタル化基盤導入枠の概要について見ていきましょう。
- デジタル化基盤導入枠の金額・補助率
- デジタル化基盤導入枠の採択スケジュール
デジタル化基盤導入枠の金額・補助率
IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠は、ECサイト制作に活用できます。
具体的な金額や補助率を以下の表にまとめました。
ツール | 補助額 | 会計・受発注・決済・EC機能の要件 | 補助率 | 対象経費 |
---|---|---|---|---|
ITツール | 5〜50万円以内 | 1機能以上 | 3/4以内 | ソフトウェア購入費 クラウド利用費 ハードウェア購入費 導入関連費 |
PC・タブレット | 50〜350万円 | 2機能以上 | 2/3以内 | ITツールと同様 |
レジ・券売機 | 〜10万円 | ITツールの使用に資するもの | 1/2以内 | ITツールと同様 |
〜20万円 | ITツールと同様 |
※クラウド利用費は、クラウド利用料最大2年分
参照:デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)について
ECサイトは、ITツールに含まれます。
例えば、ECサイト制作で合計300万円かかった場合は、補助率2/3の200万円が補助されます。
実質100万円で制作できることになるので、積極的に活用しましょう。
デジタル化基盤導入枠の採択スケジュール
デジタル化基盤導入枠の前期採択スケジュールは、以下の通りです。
締切分 | 締切日 | 交付決定日 | 事業実施期間 | 事業実績報告期限 |
---|---|---|---|---|
4次締切分 | 2023年6月20日(火)17:00 | 2023年8月1日(火)(予定) | 交付決定~2023年11月30日(木)17:00 | 2023年11月30日(木)17:00 |
5次締切分 | 2023年7月10日(月)17:00 | 2023年8月22日(火)(予定) | 交付決定~2023年11月30日(木)17:00 | 2023年11月30日(木)17:00 |
6次締切分 | 2023年7月31日(月)17:00 | 2023年9月12日(火)(予定) | 交付決定~2023年11月30日(木)17:00 | 2023年11月30日(木)17:00 |
ECサイト制作の計画に合わせて、採択スケジュールを把握し、申請時期を逃さないようにしましょう。
また、採択までの手続きや審査にかかる期間も考慮し、スケジュールを立てて計画を進めることが重要です。
ECサイトにおけるIT導入補助金の申請手順
ECサイトにおけるIT導入補助金の申請・手続きの手順は大きく9ステップです。
- IT導入補助金の事業を理解する
- ITツールを選定する
- gBizIDプライムアカウントを取得する
- SECURITY ACTIONの宣言をする
- みらデジ経営チェックを実施する
- 交付申請書・添付書類の作成
- 交付申請
- 審査・交付決定
- 補助事業開始~交付手続き~事業実施効果報告
交付の申請前に、gBizIDプライムアカウントID取得とSECURITY ACTION、みらデジの「経営チェック」を実施しなければいけません。
gBizIDプライムアカウントIDの発行は、gBizIDから行います。2週間ほどかかるので、早めの申請手続きをしましょう。
SECURITY ACTIONは、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度のこと。交付申請作成時に宣言済みアカウントIDの入力が必要になります。
そして、みらデジのポータルサイトから経営チェックを行ってください。
ここからは、ECサイト制作を依頼するIT導入支援事業者を選定します。
IT導入支援事業者との間で商談を進めながら、交付申請書や添付する事業計画書を作成して申請しましょう。
交付申請が完了して、事務局から「交付決定」を受けた後に、ITツールの発注と契約、支払いが行えます。
最後に、事業を実施した報告として、ITツールの発注や契約、納品、支払いなどを行ったことが分かる書類を用意して提出してください。
なお、事務局から「交付決定」の連絡が届く前に、発注や契約、支払いを行うと、補助金の交付を受けられません。必ず連絡が届いてから実施しましょう。
IT導入補助金の採択率を高めるポイント
続いて、IT導入補助金の採択率を高めるためのポイントを2つご紹介します。
- IT導入支援事業者から適切な申請をする
- 加点項目を獲得する
IT導入支援事業者から適切な申請をする
IT導入補助金の採択率を高めるためには、適切な申請が行えるIT導入支援事業者を選定することが重要です。
業者によって、申請書の作成や手続きのサポートも提供しています。
過去に補助金の採択実績が多い業者を選ぶことで、採択率も向上できるでしょう。
加点項目を獲得する
IT導入補助金の採択率を高めるためには、加点項目の獲得も有効です。
加点項目を満たすことで、採択の可能性をより高められます。
IT導入補助金2023年の加点項目は、以下の表にまとめました。
既存の加点項目 | 地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得していること。 |
---|---|
地域未来牽引企業に選定されており、「目標」を経済産業省に提出していること。 | |
以下要件の3年の事業計画を策定し、従業員に表明していること。 事業計画期間に給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる。 事業場内の最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする。 |
|
第2次締切回からの追加項目 | 女性活躍推進企業認定「えるぼし・プラチナえるぼし認定」の企業、または従業員数が100人以下で、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している企業 |
次世代育成支援対策推進法「くるみん認定」の企業、または従業員数が100人以下で、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している企業 |
参照:IT導入補助金2023 公募要領 デジタル化基盤導入枠
大前提として、審査項目をクリアしていなければ、申請は認められません。事前に公募要領を確認して、対策を取りましょう。
IT導入補助金を申請するときの注意点
IT導入補助金を申請するときの注意点を、2点ご紹介します。
- 申請通過後すぐに補助金を受け取れない
- 同一年度内に1度しか受けられない
申請通過後すぐに補助金を受け取れない
IT導入補助金を申請して採択された場合でも、すぐに補助金の受給はできません。先に、ECサイト制作費を立て替えて支払う必要があります。
補助金の支給時期は、ECサイト制作が完了して、事業報告後になります。ECサイト制作にかかる資金は、事前に用意しておきましょう。
同一年度内に1度しか受けられない
IT導入補助金は、同一年度内に1度だけ受けられます。
例えば、1次締切分で採択された場合、同一年度の3次締切分のIT導入補助金は申請できません。
翌年度におけるIT導入補助金の申請受付が始まるまでは、申請できないため注意しましょう。
IT導入補助金以外でECサイト制作に役立つ補助金
では最後に、IT導入補助金以外でECサイト制作に役立つ補助金を3つご紹介します。
- 小規模事業者持続化補助金
- 事業再構築補助金
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、日本国内の小規模事業者が事業を持続させるために必要な経費や支援を受けるための補助金制度です。
ECサイト制作はもちろん、ホームページ制作にも適用できます。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、自社の事業の効率化や新たなビジネスモデルの構築を支援するための補助金制度です。
事業者が経営環境の変化や課題に対応し、競争力の向上や事業の持続可能性を確保することを目的としています。
ECサイトのリニューアルや改善に関する費用にも適用可能です。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、ものづくりや商業、サービス業の生産性向上を支援するための補助金です。
ECサイトの開発やマーケティング施策など、生産性向上に寄与する取り組みに活用できます。
補助上限額は最大1,000万円で、IT導入補助金よりも多いため、大規模なプロジェクトを検討している方は検討してみてください。
まとめ:IT導入補助金を上手く活用してECサイトを制作しよう
ECサイトを制作する場合には、IT導入補助金を上手に活用することで、費用負担を軽減できます。
事業の成長と競争力の向上にもつながるので、上手く活用しましょう。
ワンページ株式会社は、IT導入補助金2023において、IT導入支援事業者に採択された制作会社です。
事業計画の策定支援から、ECサイト制作、補助金申請等の手続きのサポートまでをトータルで行っています。
見積もりも無料で承っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。