近年、求人掲載の手法として「アグリゲーションサイト」を活用する企業が増えてきました。
アグリゲーションサイトとは、インターネット上の複数の情報を自動で集め、まとめて表示するWebサービスを指し、求人媒体としても注目されています。
採用活動で利用を検討する企業にとって、うまく活用すれば、広告費を抑えつつ多くの求職者にアプローチできる強力なツールになるでしょう。
そこで本記事では、アグリゲーションサイトの基本的な仕組みや、代表的な媒体の活用方法と注意点を解説します。
この記事の内容
アグリゲーションサイトとは?
アグリゲーションサイトとは、インターネット上に点在する情報を一つのテーマに基づいて収集・整理し、まとめて掲載するWebサイトを指します。
旅行や飲食、ショッピング、ニュースなどさまざまな分野に存在しますが、近年では求人情報の提供でも注目されています。
従来、求職者は複数の求人サイトを一つずつ訪れて情報を探す必要がありました。しかし、アグリゲーションサイトであれば、異なる求人媒体や企業の採用ページに掲載された求人を一括検索できるため、利便性が大きく向上します。
企業側にとっても、より多くの求職者へ情報を届ける手段として有効でしょう。
このように、利用者と情報発信者の双方にメリットをもたらす仕組みとして、求人領域のみならず幅広い業界で活用が広がっています。
アグリゲーションサイトとキュレーションサイトの違い
アグリゲーションサイトと混同されやすいのが、キュレーションサイトです。
どちらもインターネット上の情報をまとめる役割を持つWebサイトですが、情報の収集方法や情報量に違いがあります。
以下に、両者の違いを表でまとめました。
アグリゲーションサイト | キュレーションサイト | |
---|---|---|
情報の収集方法 | 自動収集 | 編集者の目利き |
情報量 | 多い(網羅性重視) | 限定的であることが多い(テーマ重視) |
検索性 | 高い | テーマ別の閲覧が得意 |
情報の質 | 原文に忠実 | 編集・要約されていることが多い |
アグリゲーションサイトは「幅広く探したいとき」に、キュレーションサイトは「誰かの視点で整理された情報を見たいとき」に活用されることが多いでしょう。
アグリゲーションサイトのビジネスモデル
アグリゲーションサイトは、情報を一元化して提供する便利なプラットフォームでありながら、さまざまな形で収益を得られるビジネスモデルを構築しています。
ここでは、代表的な4つの収益源について解説します。
収益モデル | 内容 | 主な活用分野 |
---|---|---|
広告収入 | サイト内広告を掲載して収益を得る | 求人媒体、旅行、不動産など |
有料オプション | 上位表示や特別枠の有料プラン | 求人媒体、ECサイトなど |
手数料収入 | 成約・予約に応じた成果報酬型手数料 | 宿泊予約、飲食、サービス比較サイト |
データ提供 | ユーザーデータを外部に販売・提供 | マーケティング支援、リサーチ企業 |
アグリゲーションサイトは、多様なビジネスモデルによって成り立ち、求人掲載企業にとっても目的や予算に応じた柔軟な出稿スタイルが選べるのが魅力です。
自社の採用ニーズに合ったプランを検討する際の参考にしてください。
アグリゲーションサイトの仕組み
アグリゲーションサイトは、膨大な情報を1つのサイトに集約して掲載しますが、どのように自動収集されるのか気になる方は多いでしょう。
ここからは、求人サイトに特化して、その仕組みを解説します。
- クローリング
- スクレイピング
クローリング
まず、Webサイト上を自動で巡回して情報を集める「クローリング」という仕組みです。
クローラーと呼ばれるロボットのプログラムが、インターネット上の求人ページを定期的にチェックし、公開されている情報を自動で取得していきます。
たとえば、自社の採用ページに求人情報を掲載している場合、そのページをクローラーが見つけると、内容がアグリゲーションサイト上に反映される、とイメージするとよいでしょう。
ただし、クローラーの巡回頻度は決まっておらず、タイミングによっては情報の反映が遅れることもあります。なお、常に最新情報を表示するとは限りません。
スクレイピング
「スクレイピング」は、Webページの中から必要な情報だけを抜き出し、整理して活用する技術です。
クローリングが「広く情報を集める」手法であるのに対し、スクレイピングは「狙った情報をピンポイントで取得し、整える」点が特徴です。
たとえば、求人情報の中でも「職種名・勤務地・給与・仕事内容」などの特定項目だけを自動抽出し表示する、というイメージでよいでしょう。
スクレイピングを活用したサイトは、複数の求人元から取得した情報でも、統一感のある見せ方が実現でき、求職者にとって見やすい検索画面が提供されます。
アグリゲーションサイトを活用する5つのメリット
アグリゲーションサイトを求人で活用する場合「多くの求職者に、手間なく、自社の求人を届けたい」と考える企業にとって、非常に相性の良い集客手法といえるでしょう。
具体的に得られる主なメリットは、以下の5つです。
- 求人の露出が増えて幅広い求職者にアプローチできる
- 求人が検索エンジン上に上位表示される可能性がある
- 複数職種・複数勤務地の求人も一括掲載できる
- 無料掲載で採用コストを抑えられる
- 応募導線がシンプルで応募率の最大化につながる
求人の露出が増えて幅広い求職者にアプローチできる
アグリゲーションサイトは、複数の求人メディアや企業ページから情報を収集し、ひとつの検索結果に統合して表示します。そのため、求職者がどの媒体を利用していても、自社の求人に接触するチャンスが大きく広がります。
また、多くのサイトは、月間数百万PV以上の集客力を持ち、地方やニッチ職種の採用でも「母集団形成の強化」につながる点が魅力といえるでしょう。
求人が検索エンジン上に上位表示される可能性がある
アグリゲーションサイトは、SEOに強く、GoogleやYahoo!で「職種名+勤務地」で検索した際、上位表示される可能性があります。
スタートアップ企業や、知名度が低い企業の場合、自社の採用ページだけでは、検索結果の上位に表示される確率が低いかもしれません。
そのため、認知度の高いアグリゲーションサイトに掲載すれば、自社の求人も検索エンジン上で目に留まりやすくなります。
これは、いわば「強い媒体の力を借りて自社の認知を拡大する」有効な手段といえるでしょう。
複数職種・複数勤務地の求人も一括掲載できる
一般的な求人広告では、職種や勤務地が増えるたびに掲載費用が発生する可能性があります。
しかし、アグリゲーションサイトの場合、複数の求人をまとめて掲載しやすく、職種や拠点が多い企業にとってコストパフォーマンスが見込めるでしょう。
また、求人情報の更新を一元管理できるため、掲載運用の効率化も実現します。リソースが限られた企業でも、無理なく複数ポジションの募集を同時進行できるでしょう。
無料掲載で採用コストを抑えられる
多くのアグリゲーションサイトでは、基本の求人掲載が「無料」です。
特にスタートアップや中小企業など、限られた予算内で採用活動を行っている企業にとっては、大きなメリットでしょう。
「まずは無料で様子を見て、有料オプションは成果を見ながら検討したい」と柔軟な運用ができる点も、アグリゲーションサイトならではの特長です。
応募導線がシンプルで応募率の最大化につながる
検索から応募までの流れがスムーズに設計されている点も、見逃せません。
「ワンクリックで応募ページに遷移できる」「会員登録しなくても応募できる」など、ユーザー目線に最適化された導線が構築されているため、応募率の向上が期待できます。
企業にとっては「掲載した情報が実際の応募につながりやすい」という点で、有益と考えてよいでしょう。
求人情報特化のアグリゲーションサイトおすすめ6選
それでは、求人情報に特化したアグリゲーションサイトをおすすめ順に紹介します。
- Indeed
- 求人ボックス
- スタンバイ
- Careerjet
- Yahoo!しごとカタログ
- Googleしごと検索
Indeed
Indeedは、月間2,390万以上の訪問者数を誇る、世界最大級の求人アグリゲーションサイトです。
求人情報の無料掲載が可能で、採用予算に限りがある企業でも手軽に活用できるのが大きな魅力。検索エンジンにも強く、求人の露出を自然に増やせるため、応募数の最大化が期待できるでしょう。
また、有料オプション「スポンサー求人」を活用すれば、検索結果の上位表示やターゲットへの精密アプローチも可能です。Web面接機能や応募者管理ツールなど、採用業務を効率化する機能も充実するため、初めての掲載でも安心して始められます。
Indeedの活用方法や運用のコツについては、こちらの記事をご覧ください。

求人ボックス
求人ボックスは「オリコン顧客満足度No.1」を誇る求人アグリゲーションサイトで、初期費用・掲載費・成功報酬すべて無料で利用できます。
掲載までの操作はシンプルで、最短5分で求人投稿が可能。審査完了後は、即日掲載もできます。
また、有料オプションはクリック課金型で、柔軟に予算設定できる点も魅力です。費用対効果を見ながら段階的に運用できるのも安心ポイントでしょう。
スタンバイ
スタンバイは、月間ユーザー数1,000万人を超える国内最大級の求人アグリゲーションサイト。Yahoo! JAPANとの連携により検索流入が強く、求人の露出度が非常に高いのが魅力です。
新卒採用からインターンまであらゆる募集に対応し、企業ニーズに沿って利用できます。地方採用や特定職種のピンポイント採用でも、幅広くアプローチできるでしょう。
掲載は完全無料&会員登録不要で、求人の投稿や編集、応募管理までスムーズです。有料オプションを活用すれば、求人の上位表示やクリック課金型で柔軟な運用も可能です。
Careerjet
Careerjetは、国内外で利用されている求人アグリゲーションサイトで、シンプルな掲載操作と高い費用対効果が特徴です。直接メールボックスに応募が届く仕組みで、応募管理も効率的です。
求人の掲載方法は2種類あり、管理画面からのマニュアル投稿のほか、求人サイトや自社採用ページからの自動クローリングにも対応。求人の数が多い企業でもスムーズに運用できます。
また、ATS(採用管理システム)との連携にも対応し、他の採用ツールとの一元管理を実現する点も特徴です。
Yahoo!しごとカタログ
Yahoo!しごとカタログは、求人情報だけでなく、社員のクチコミや会社の評判データを豊富に掲載している新しいスタイルのアグリゲーション型求人メディアです。
全国500万社以上の企業情報を網羅し、求職者が「働きやすさ」や「社風」を見て応募を判断できるため、ミスマッチを減らし、定着率向上にもつながるのが特長です。
また、求人検索機能だけでなく「平均年収」「残業時間」「ワークライフバランス」などのリアルなデータをランキング形式で公開。求職者は情報の信頼性や透明性に基づいて企業を選びやすくなっています。
企業側にとって、自社の魅力を広く発信できるチャンスがあり、特に働き方改革や職場環境に自信がある中小企業には最適なアピール媒体になるでしょう。
Googleしごと検索
Googleしごと検索(Google for Jobs)は、求職者が「勤務地+職種」を検索した際に、検索結果の目立つ場所に求人を表示できる無料サービスです。
求人情報を自社サイトに掲載し「構造化データ」を設定するだけで連携可能。Indeedや求人ボックスのようなアグリゲーションサイトと並んで表示されるため、高いクリック率が期待できるでしょう。
求人媒体に頼らず、自社サイトで求人管理している中小企業にとっては、費用をかけずに求職者へリーチできる効率的な手段です。
アグリゲーションサイトを活用して求職者を集めるコツ
アグリゲーションサイトで応募を集めるコツは、以下の7つです。
- 求人ターゲットを明確にする
- クリックしたくなる魅力的な求人タイトルを作成する
- 採用ターゲットに合わせた求人原稿を作る
- 具体的な給与や福利厚生を提供する
- 定期的な求人情報の更新で上位表示を狙う
- 自社に適した人材が集まる求人媒体を選定する
- 自社の採用サイトと連携できる媒体を選定する
求人ターゲットを明確にする
求人掲載する前に最も大切なのが「どんな人材を採用したいか」という採用ターゲットの明確化です。
年齢や性別、経験年数、保有スキル、価値観、働く上での重視ポイントなど、理想の人物像を具体化しましょう。
採用ペルソナが定まっていないと、求人内容がぼやけてしまい、求める人材に届きません。
たとえば「未経験でもOKな営業職」でも、20代前半のキャリア志向の若手と、家庭との両立を希望する層では訴求すべきポイントが全く異なります。
自社に最適な求人ターゲットを言語化しておきましょう。具体的な設定方法は、こちらの記事を参考にしてみてください。

クリックしたくなる魅力的な求人タイトルを作成する
アグリゲーションサイトでは、求人タイトルが最初のクリックを左右する最大の要素です。応募者は、何百件と並ぶ求人一覧から、自分に合いそうなものをタイトルだけで瞬時に判断する傾向があります。
そのため、求人タイトルは「具体性」「ベネフィット」「数字」「条件の明示」をセットにするとよいでしょう。タイトル作成は軽視せず、しっかりと作り込んでください。
求職者の目を惹くキャッチコピーの作り方は、こちらの記事で公開しています。

採用ターゲットに合わせた求人原稿を作る
求人原稿は「企業が伝えたいこと」だけを掲載するのではなく「求職者が知りたいこと」に寄り添って作成しましょう。ここで、ペルソナの情報が活きてきます。
たとえば、若手をターゲットにするなら「どんなスキルが身につくのか」「成長ステップやキャリアパス」を明確にするとよいでしょう。
ある程度の社会人経験がある層には「自分の経験がどう活かせるか」「裁量を持って働けるか」など、自律的に働ける環境の訴求が響きます。
求人原稿では「誰に届けたいか」によって、使う言葉や強調ポイントを調整してみてください。
具体的な給与や福利厚生を提供する
求職者の多くは「待遇条件」を重視する傾向があります。それにもかかわらず「当社規定による」「経験に応じて優遇」など曖昧な表現では、信頼感を得られません。
<情報提供の一例>
- 月給:25万円〜30万円
- 年収例:入社2年目/400万円
- 昇給:年1回(昨年度実績:平均月4,000円UP)
- 福利厚生:住宅手当(月2万円)・昼食補助あり
上記のように、数字や頻度、実績などを具体的に明示すると、信ぴょう性が高まります。また、社員割引や時短勤務可など、他社と差別化できる福利厚生があれば、漏らさずに記載するとよいでしょう。
定期的な求人情報の更新で上位表示を狙う
アグリゲーションサイトの多くは、新着求人を優先表示する傾向があります。
情報は、一度出して終わりではなく、定期的に求人内容を更新し上位表示を狙いましょう。
特に、掲載開始から1週間以上経過すると検索結果の下部に埋もれる可能性があります。求人情報の見直しや文言の変更、条件の更新など、週に1回のメンテナンスをルーティン化するとよいでしょう。
自社に適した人材が集まる求人媒体を選定する
「どこに求人掲載するか」で応募者の属性や質が大きく変わります。媒体によって、得意とする業種・職種・年齢層・エリアが異なるため、自社の採用ターゲットとマッチする媒体を選定してみてください。
媒体選定は「アクセス数」以上に「登録するユーザー層」を重視すると、応募率の向上が見込めるでしょう。
自社の採用サイトと連携できる媒体を選定する
採用サイトを持っている場合、アグリゲーションサイトと連携できるかを確認しましょう。連携すると、求人の自動掲載や更新が可能になり、運用の手間を大幅に削減できます。
特にIndeedは、自社採用サイトと自動連携が相性抜群なので、応募数の最大化と採用の効率化が同時に実現できます。
さらに、より多くの求職者から興味を持ってもらうには、自社サイトのコンテンツも充実させておきましょう。
アグリゲーションサイトを活用する際の注意点
アグリゲーションサイトは、コストを抑えながら多くの求職者にリーチできる一方で、効果を最大化するには戦略的な運用が欠かせません。
ここでは、特に注意しておきたいポイントを2つ紹介します。
- 求人情報が埋もれやすいので表示対策を徹底する
- 各サイトの利用規約を確認したうえで運用する
求人情報が埋もれやすいので表示対策を徹底する
アグリゲーションサイトは、膨大な数の求人が掲載されているため、自社の求人が埋もれてしまうリスクがあります。
特に無料掲載の場合、上位表示が難しく、求職者の目に留まりづらいという課題もあるでしょう。
そこで、以下の2つの対策を実施してみてください。
魅力的なタイトルを作成 | 職種名だけでなく「勤務地」「働き方」「特徴」などのキーワードを組み合わせて、ターゲットが思わずクリックしたくなる文言にする |
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有料オプションの活用 | 急募の案件や応募数を稼ぎたいタイミングでは、有料プランの併用も視野に入れる クリック課金型が大半で、無駄な費用が発生しにくいのもメリット |
有料オプションについては、サイトごとに料金形態が異なります。自社の予算に合わせて選定してみてください。
各サイトの利用規約を確認したうえで運用する
アグリゲーションサイトごとに、掲載可能な職種や表現方法、運用ルールが異なります。
たとえば「二重掲載の禁止」「禁止キーワードの使用」「差別表現の禁止」などのガイドラインが定められている場合もあります。
違反があると、求人の非表示やアカウント停止のペナルティ対象になりかねません。特に複数媒体を同時に利用する場合は、各媒体の利用規約を確認し、ルールを遵守した運用を心がけてください。
求人情報のアグリゲーションサイトを活用した採用支援ならワンページ
所在地 | 〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内2丁目 14-16 河合ビル6F |
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電話番号 | 052-223-0200 |
設立日 | 2017年4月 |
公式サイト | https://onepage.co.jp/ |
アグリゲーションサイトを効果的に活用した採用活動には、正しい知識と継続的な改善が欠かせません。
私たちワンページは、Indeed正規代理店として、数多くの企業様の採用支援を実施してきました。
当社が提供する採用支援サービス「リクルートマスター」では、Indeedに最適化した採用サイトの構築から、求人原稿のブラッシュアップ、応募数を最大化するための運用改善まで、一気通貫でサポートいたします。
「求人を出してもなかなか応募が集まらない」
「採用にかかるコストや時間をもっと効率化したい」
「採用のミスマッチを減らし、定着率を高めたい」
そのようなお悩みをお持ちのご担当者様は、まずはお気軽にご相談ください。貴社の採用成功に向けて、全力でお手伝いいたします。
まとめ:アグリゲーションサイトを効果的に活用し求める人材を確保しよう
求人の露出を高めたい中小企業や、採用コストを抑えながら応募数を増やしたい企業にとっては、アグリゲーションサイトは非常に有効な手段です。
ただし、情報が埋もれやすいという特性もあるため、表示対策や求人原稿の最適化、媒体選定が重要になります。
自社に合った運用で、求める人材を確保しましょう。