皆さんは、たとえばWordやExcelで書類を作る際、フォントを何にしようかと悩むことはあるでしょうか?
あまり気にしない、気にしたことがないという方も少なくないかと思います。ですが、デザインの世界においてフォントはとても大事。
本日はそんなフォントの種類についてご紹介いたします。
2大フォントファミリー・ゴシック体と明朝体
ゴシックと明朝という言葉は聞いたことがある方も多いでしょう。
このブログの本文で使っているフォントもゴシック体です。
見た目でなんとなく区別はつきますが、ゴシックと明朝の違いをはっきりと説明しろと言われたら、どう説明したものか、言葉にするのは難しいかもしれません。
ゴシック体と明朝体の違いはこうです。
まず、縦も横も線の太さが均一なのがゴシック体です。
視認性が高いため、標識の文字などに利用されることが多く、現在、高速道路の標識に利用されているのも「ヒラギノ角ゴシック体W5」というフォントです。
ヒラギノファミリーはApple社の製品でシステムフォントとして使われているので、iPhoneやiPadをお使いの方には馴染み深いフォントでしょう。
一方、明朝体の線の太さは縦と横で異なります。また、「はね」や「はらい」は先が細くなり、「ひげ」や「うろこ」と呼ばれる飾りがついているのが特徴。
小説などの縦書きの書籍では明朝体を使うことがほとんどです。
明朝体の中からフォントそのものが有名な例を挙げると、フォントワークスの「マティス」がエヴァ明朝・エヴァフォントとして知られています。
エヴァとは『新世紀エヴァンゲリオン』のこと。白地に黒、あるいは黒字に白の文字だけの画面はぱっと思い浮かぶ方も多いはず。
そこで使われているのが明朝体のマティスEBです。
その人気は、後年「エヴァンゲリオン公式フォント マティスEB TrueType版」として販売されたことからも窺えます。
その他の主なフォントファミリー
ゴシックと明朝以外にもさまざまな書体が存在します。
その中から主だったものをいくつか見ていきましょう。
丸ゴシック体
ゴシック体の中でも、端や角を丸めたフォントを通常のゴシック体と分けて、丸ゴシックと呼びます。
柔らかく、可愛らしい雰囲気にしたい時にぴったりのフォントです。
行書体
文字の一部を続け書きしたものが行書体です。
漢字を崩して書く草書体よりも読みやすい一方で、流れるような滑らかさ、筆運びの速さが感じられる書体です。
行書は手書きであれば、達筆! という印象になるでしょう。
楷書体
草書・行書とは反対に、一画一画を明確に書いた書体が楷書体です。
楷書という言葉はご存知かと思いますが、手書きのものを「楷書」、印刷の書体を「楷書体」と呼びます。
教科書体
教科書体は「小学校の教科書のフォント」です。
筆書きの楷書体に近く、漢字を覚える際に習う「とめ」や「はね」が確認できます。
ウェイト(文字の太さ)にもよりますが、力強さのある明朝体と比べると、真面目な優等生といった見た目ではないでしょうか。
宋朝体
宋朝体は楷書の一種ですが、やや右肩上がりで細くシャープな書体です。シュッとした、という表現が似合うのではないでしょうか。
有名なところでは、ダイナフォントの新宋体が西尾維新の『化物語』のタイトルに使われています。
また、年賀状ソフトの『筆ぐるめ』にも台湾のフォントベンダー・アーフィック社のAR宋朝体Mが収録されています。
新聞書体
新聞書体はその名の通り、新聞の本文用書体です。
一行により多くの情報を載せるため、縦に縮小がかかっているか、扁平がかかった時に美しく見えるようデザインされています。
UD書体
UDはユニバーサルデザインのこと。年齢や性別、障害の有無にかかわらず、誰にでも読みやすくデザインされた書体です。
視認性・判読性・デザイン性・可読性にこだわり、株式会社イワタとパナソニックが開発、2006年に販売を開始した「イワタUDフォント」がその元祖です。
イワタUDフォントは、2009年に「グッドデザイン・ライフスケープデザイン賞」を、2017年には「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞しています。
デザイン書体・装飾書体
デザイン書体や装飾書体と呼ばれるフォントは、見出しやロゴでの使用を想定して作られた書体です。
良くも悪くも個性が強いため、長文には不向きですが、テレビや商品パッケージではその威力を発揮します。
例を挙げるなら、『マツコの知らない世界』のテロップで使用されているのがフォントワークスのくろかね、アニメ『おそ松さん』では同フォントワークスのベビポップが使われています。
ソニーのXperiaをお持ちの方は、ベビポップがシステムフォントとして搭載されていますので、一度設定を変更してみるのも面白いかもしれません。
まとめ
今回ご紹介したのは和文フォント(日本語)で、欧文フォント(アルファベット)の場合は和文フォントにはない書体があります。
また、フォントには有償のものから無償のものまでさまざまな種類があり、無料で使えるもの、企業ではなく個人の方が制作されたものの中にも、素敵で優秀なフォントはたくさんあります。
ホームページ制作はもちろんのこと、オフィスで書類を作る場合でも、フォント一つで見栄えががらっと変わりますので、少しだけフォント選びに時間を割いてみてはいかがでしょうか。