採用フローとは?新卒・中途別の流れや可視化の仕方・3つの成功事例を紹介

まとめ:MEO対策は費用対効果の高い方法で実施しよう

「採用の流れが部署ごとにバラバラで非効率……」
「書類選考や面接での離脱が多く、歩留まりが悪い……」

そのような課題を抱える企業担当者は多いでしょう。

企業が限られたリソースで採用活動を効率化するには「採用フローの可視化と最適化」が欠かせません。

そこで本記事では、採用フローの基本構造から、新卒と中途それぞれの流れ、企業の事例まで解説します。

「何となく実施している採用」から、戦略的な採用へシフトする第一歩として、ぜひ最後までご覧ください。

採用フローとは?

採用フローとは、企業が求人を出してから応募者が入社するまでの一連の選考プロセスを指します。

一般的には「求人掲載・応募・書類選考・面接・内定・入社」のステップで構成されます。

採用活動がうまく進まない原因の多くは、この流れが社内で明文化されていないケースが挙げられるでしょう。特に中小企業やベンチャーでは、対応のばらつき途中辞退などの課題が起こりやすく、採用フローを明確に設計し共有する必要があります。

また、採用フローは、新卒中途採用によっても最適解が異なります。

これらを明確にしたうえで採用フローを構築すると、ブレのない一貫した採用活動が実現できるでしょう。

採用フローを作成するメリット

採用フローを作成するメリットは、以下の3つです。

  1. 採用担当者間で共通の認識を持てる
  2. 採用フロー全体のボトルネック発見につながる
  3. 選考の進捗状況を可視化できる

採用担当者間で共通の認識を持てる

最大の利点は、関係者全員が同じ基準で採用活動に挑める点です。

採用活動は、人事担当者だけでなく、現場部門の責任者経営層など複数の人物が関わります。社内で情報の共有不足や認識のズレがあると、対応の遅れや意思決定の混乱が起きることも少なくありません。

採用フローを共有しておけば「誰が・いつ・何をするのか」が明確になり、確認作業や無駄なやり取りを大幅に削減できます。

小規模な組織ほど属人化のリスクが高いため、こうした基本の整備が採用のスムーズさを左右します。特に複数名を同時に採用するような場合は、選考のスピード一貫性を維持する際も、共通の採用フローが一層重要になるでしょう。

採用フロー全体のボトルネック発見につながる

採用フローを可視化すると、どこに問題があるのかを具体的に分析できるようになります。

「応募者が集まらない」「面接での辞退が多い」「内定後に入社しない」などの悩みは、感覚や経験だけで判断すると改善が難しいでしょう。

採用フローを正しく設定しておけば、各段階での通過率脱落ポイントを把握しやすく、課題をデータで可視化できます。

たとえば、歩留まりが悪い工程が明確になれば、選考方法の見直し面接官の対応改善の対策がとれるでしょう。また、採用チャネルごとの成果も比較しやすくなるので、広告費の最適化にもつながります。

採用のPDCAを回すには、フローの整備が出発点です。

なお、採用フェーズごとの課題や解決策は、こちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。

採用課題13選の解決策を具体的に紹介!調査方法や人材獲得のコツも

選考の進捗状況を可視化できる

採用フローを明確にすると、応募者一人ひとりの選考状況を即座に把握できるようになります。

特に、複数の候補者を同時に対応していると「今どの段階か分からない」「誰が対応するのか決まっていない」と、混乱を招きかねません。

その結果、連絡ミスや対応の遅れが発生し、求職者に不信感を与えてしまうリスクもあるでしょう。

各選考ステップを「見える化」することで、関係者間で進捗状況を簡単に共有でき、このようなトラブルや対応漏れを回避できます。

小規模チームであるほど、こうした仕組み化が大きな武器になります。

採用フローの基本的な流れ

採用フローの基本的な流れは、大きく以下の6ステップで構成されます。

ステップごとの具体的な概要は、以下のとおりです。

ステップ 内容の概要
求人掲載 採用媒体や自社サイトに求人情報を公開。ポジションや求める人物像を明確にする。
応募 応募者から履歴書・職務経歴書などの情報が届く。まずは応募を受け付ける段階。
書類選考 提出された書類をもとに一次スクリーニングし、自社の基準に合致する人材を絞り込む。
面接 候補者と対面またはオンラインで面談し、スキル・志向・カルチャーフィットを確認する。
内定 最終的な選考を経て、採用する人材に内定を通知する。条件提示や意思確認も行う。
入社(手続き) 内定承諾後、雇用契約や必要書類の提出など、入社に向けた手続きを実施する。

なんとなく進めるのではなく、各プロセスを明確に定義し、関係者間で共通理解を持っておきましょう。

新卒・中途採用における採用フローの違い

採用フローは「新卒採用」「中途採用」で流れや構成が異なります。

新卒の場合、企業説明会や筆記試験などを含む一斉型のプロセスが多く、入社時期も基本的には4月に統一されています。一方、中途採用は通年で実施され、即戦力の採用を目的とするため、個別対応選考スピードの速さが重視されるでしょう。

以下に、代表的な3つの採用フローパターンを、新卒・中途それぞれで比較できるよう表にまとめました。

パターン 特徴 新卒採用の流れ 中途採用の流れ
標準型 一般的な流れ。応募者に丁寧に企業理解を促せるが、期間は長期化しやすい 募集
プレエントリー
説明会
書類選考
試験
面接
内定
入社
募集
書類選考
試験(任意になることもある)
面接
内定
入社
説明会・選考一体型 スピーディな選考が可能。短期集中型の採用に向く 募集
エントリー
説明会+試験
面接
内定
入社
募集
説明会+書類選考
面接
内定
入社
筆記・面接一体型 初期段階で人数を絞れるので効率的。応募数が多い場合に有効 募集
説明会
試験+面接
内定
入社
募集
試験+面接
最終面接
内定
入社

新卒採用は、一斉スタートかつ同時入社を前提にするケースが一般的です。そのため「学生への情報提供」「会社理解」を重視した採用フローになることが多いでしょう。

対して、中途採用は「欠員補充」「急募案件」など、即戦力人材の迅速な確保を目的とするため、選考フローはより簡素化されてスピードが重視されます。説明会を省略し、書類選考や面接から直接始まるケースも珍しくありません。

また、両者の違いは、採用手法にも表れます。

新卒では、一括採用の傾向が強い一方、中途では個別対応が基本です。そのため、採用フローを設計する際には、ターゲットや採用目的に応じて適切なフローを柔軟に使い分けなければいけません。

新卒の採用フローとは?

新卒採用は、企業が学生を対象に初めて社会に送り出す人材を採用するプロセスです。

ポテンシャル採用を前提としているため、企業側は「人物重視」で長期的な育成を見越した選考を実施するとよいでしょう。

ここからは、各ステップを順に解説します。

  1. 募集活動
  2. 会社説明会・採用イベント
  3. エントリー受付
  4. 一次選考
  5. 面談・面接
  6. 内定
  7. 入社手続き

募集活動

新卒採用のスタートは、母集団の形成を目的とした募集活動から始まります。この段階では、学生に自社の存在を認知してもらうことに注力しましょう。

主な母集団形成の手段は、以下のとおりです。

  1. 求人サイトに情報を掲載する
  2. 自社採用サイトを作り込む
  3. SNSや動画コンテンツで広報活動する

学生との接点を意図的に増やすと、応募への第一歩につながります。単に情報を掲載するだけでなく、学生と直接コミュニケーションが取れる導線作りを心がけてみてください。

会社説明会・採用イベント

新卒採用では、学生との接点を持つために、さまざまな会社説明会採用イベントを実施します。これらは、企業の魅力を伝えるだけでなく、学生の志望度を高め、選考への母集団を形成するための重要な手段です。

以下は、代表的な採用イベントの種類と特徴をまとめました。

総合型イベント 複数の企業が一堂に会する大規模な合同説明会。多くの学生に出会える一方、自社の印象を強める工夫が必要。
業界特化型イベント 特定業界に絞った合同イベント。志望度の高い学生が集まりやすく、質の高い母集団形成が可能。
学部・学科限定型イベント 特定の専攻に限定したイベント。職種との親和性が高い人材と出会いやすい。
学内説明会 大学・短大・専門学校内で開催される企業説明会。学校推薦との連携がしやすく、エントリーにもつながりやすい。
個別企業説明会 自社単独で開催する説明会。時間をかけてじっくりと企業の魅力を伝えられるが、集客力には工夫が必要。
セミナー・ワークショップ 企業理解や業界研究の機会として、学生に実践的な体験を提供。参加者との双方向コミュニケーションが可能。
社員座談会 若手社員や採用担当者と直接話せる場。リアルな声に触れることで、学生の志望度が高まりやすい。
ミートアップ カジュアルな雰囲気の交流会。オフィスツアーや軽食付きの懇親会形式など、企業の柔らかい一面を伝えやすい。

新卒採用は、学生にとって人生初の就職活動であることから、安心感や納得感を持たせられるイベント設計が欠かせません。

それぞれの特性を理解し、ターゲット学生に響く内容を用意しておきましょう。

採用イベントの特徴や開催時のコツは、こちらの記事をご覧ください。

採用イベントで求める人材を獲得!種類や手順・面白い事例まで紹介

エントリー受付

エントリー受付では、企業に興味を持った学生が、エントリーフォームやナビサイトを通じて応募の意思を示すステップです。

この段階では、まだ「正式な応募」よりも「自社に関心を持った学生」というイメージに近いでしょう。

エントリーを受け付けたら、学生に対して今後のスケジュール選考の案内を丁寧に実施します。エントリー後のフォロー体制が、選考の途中離脱を防ぐ要因になるでしょう。

一次選考

エントリー受付後、最初の選考ステップとして実施されるのが「一次選考」です。

多くの企業では、ここで書類選考や筆記試験、適性検査などを通じて、応募者の基礎的な能力や自社との相性を見極めます。

書類選考

書類選考では、学生から提出される履歴書やエントリーシートをもとに、次のような観点で評価するとよいでしょう。

  • 募集条件に合致しているか判断する
  • 誤字脱字の有無、文章の構成、証明写真の印象などから、基礎的マナーがあるかを見極める
  • 自己PRや志望動機の文章が整理されているか
  • 抽象的な表現ではなく、自分の強みを裏付けるエピソードが記載されているか
  • 継続力や責任感が伝わる経歴か

選考をスムーズにするために、どのような人材を採りたいのかを具体的に定義しておくと、書類のチェックポイントも明確になります。

筆記試験・適性検査

一次選考の中で、筆記試験適性検査を組み合わせて実施する企業も多数あります。
この段階では、以下のような力を確認するとよいでしょう。

  • 一般常識や言語・数理の理解力
  • 性格傾向や価値観
  • ストレス耐性や注意力など

また、採用基準と照らして「どのタイプの学生が自社で活躍しているか」を事前に分析しておけば、適性検査の結果を活用してより精度の高い見極めが可能になります。

また、近年では多くの企業がWeb適性検査オンライン筆記試験を導入するようになりました。PCやスマートフォンがあれば自宅から気軽に受験できるため、学生にとっては応募ハードルが下がるでしょう。

面談・面接

一次選考を通過した学生には、面談や面接のステップを用意しましょう。

新卒採用では、ポテンシャルを重視するため「人柄」「志向性」「価値観の一致」などを確認していきます。

以下は、面接の主な形式と特徴です。

個人面接(1対1) 最も一般的な形式。志望動機や自己PRに加え、将来のキャリア志向や企業との相性など、深く掘り下げてヒアリングできます。学生の思考力や会話力、柔軟性も評価しやすいのが特徴です。
グループ面接 複数名の学生に対して一度に実施する形式。同じ質問に対する答えの違いや、他者とのやりとりに見られる協調性・自発性を比較できます。
グループディスカッション・ワーク 課題に対して複数人で意見を出し合う形式。リーダーシップ、協調性、思考の柔軟さ、発信力など、個人面接では見えづらい一面を評価できます。
オンライン面接 遠方の学生も対象にでき、柔軟な日程調整が可能。事前に通信環境や使用ツールの案内を明示しておくとトラブル回避につながります。

面接では、以下の点を軸に評価するとよいでしょう。

  • 社会人としての常識はあるか
  • 協調性・素直さ・他者への配慮があるか
  • 内容に一貫性があるか
  • 将来像・成長意欲・ロジカルな思考があるか
  • 過去の挫折経験とその乗り越え方は適切か

面接官は評価基準シートをもとに、主観に頼らず統一した視点で判断できる体制を整備しましょう。

また、学生は「面接官=企業の顔」と捉えるため、面接時の対応や言葉遣い、雰囲気は企業の印象に大きく影響します。双方向の対話を意識した、誠実で配慮ある対応を心がけてください。

面接や面談で、自社に合う学生を見分けるポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。

優秀な人材の見分け方は?10個の評価基準やミスマッチを防ぐコツを解説

内定

最終面接を通過した学生には、内定または内々定を通知します。

<内定通知の基本的な流れ>

  • 経団連加盟企業の場合、内定通知は原則として10月以降
  • 実際には「内々定」として早期に合格通知を出す企業も多数あり
  • 内定通知書を送付する前に、電話やメールで合格の意向を伝えるケースが一般的

内定通知書は、メールや電話で内定を伝える企業もありますが、入社に向けた信頼形成やトラブル防止のため、書面で通知するとよいでしょう。

また、内定後に辞退する学生も珍しくありません。

そうした事態を防ぐために、以下のフォローがあると有効です。

  • 内定者懇親会の実施
  • 内定者アルバイト・インターン
  • 個別フォロー面談
  • 企業情報の継続的な発信

内定通知はゴールではなく、入社に向けた新たなスタートラインです。適切なフォロー体制を整備しておきましょう。

入社手続き

新卒社員の入社手続きは、入社前と入社後で分け、段階的に手続きしましょう。

まず入社前には、配属部署の決定や新入社員研修の設計、必要書類の提出依頼、労働条件通知書の交付、パソコン・デスクなどの備品の準備、入社式の計画を進めます。

入社後は、社会保険と雇用保険の加入手続き、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿などの法定三帳簿の作成が必要です。

また、提出書類の未提出や卒業延期などのリスクにも備え、チェックリストと進行管理表で漏れなく対応しましょう。

中途採用の採用フローとは?

中途採用は、新卒採用と異なり、即戦力となる人材を短期間で見極め、スピーディーに採用を重視します。

採用活動を効率的に進めるためには、各段階で明確な目的と流れを持ったフローを設計してください。

  1. 求人掲載などの募集活動
  2. 書類選考・筆記試験
  3. 複数回の面接
  4. 内定
  5. 入社手続き

求人掲載などの募集活動

中途採用の最初のステップは、求人の募集です。求人媒体、自社採用サイト、ハローワーク、SNSなど複数のチャネルを使い分けながら、求職者に自社の魅力を効果的に伝えます。

求人票には、職業安定法に基づき、以下の内容を記載してください。

  • 業務内容
  • 契約期間の有無・期間の明示
  • 試用期間の有無・期間・条件
  • 就業場所
  • 就業時間(始業・終業時刻、休憩時間)
  • 休日・休暇
  • 時間外労働の有無
  • 賃金(基本給・手当・賞与など詳細内訳を含む)
  • 加入保険(健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険)
  • 募集者の氏名または名称

また、2024年4月より、以下の項目の明示が義務化されたので注意しましょう。

  • 従事すべき業務の変更の範囲
  • 就業場所の変更の範囲
  • 有期労働契約の更新基準(※通算契約期間または更新回数の上限も含む)

参考:厚生労働省 令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます

これらを正確に記載して、信頼性の高い採用活動を進めてください。

書類選考・筆記試験

書類選考では、履歴書や職務経歴書からスキルや経験、志望動機を読み取り、自社の求める人物像にマッチしているかを確認します。

スクリーニングの精度を高めるために、評価シートなどを活用し、選考基準を統一するのも有効でしょう。

また、適性検査やSPIなどの筆記試験を実施すると、応募者の論理的思考力や性格特性を客観的に把握できます。

オンラインで実施できるツールも普及しているので、検討してみてください。

複数回の面接

中途採用では、実務経験やスキルの確認に加えて「自社との相性」「人柄」「価値観」も重視されるため、複数回の面接を実施する企業も多いでしょう。

その際、初回ではスキルの確認、最終面接ではカルチャーフィットや将来性を確認するなど、目的を分けると効果的です。

以下は、中途採用面接で活用できる主な質問の切り口です。

  • 現在の業務内容や転職理由を掘り下げる質問
  • 過去の成果や失敗経験から行動特性を探る質問
  • 働き方や価値観を知る質問
  • 待遇や条件への希望を確認する質問

また、形式的な質疑応答だけでなく、応募者の表情や言葉選び、リアクションなども観察し、総合的に判断する視点が重要です。

面接官自身も積極的に自己開示すると、応募者が話しやすい雰囲気を作れるでしょう。

内定

中途採用における内定通知は、候補者に対して採用の意思を正式に伝える大切なプロセスです。

中途では、企業側が入社日を柔軟に設定していることが多く、求職者の現職の退職状況などを踏まえて相談のうえ決定してください。

内定から実際の入社までは、通常1〜3か月以内に収まるケースが多く、転職市場の動きや人材の流動性を反映しています。

候補者が安心して新たな職場を迎えられるように、条件面の明確な説明や必要書類の案内、入社までのサポート体制も整えておきましょう。内定後も継続して丁寧なコミュニケーションを行い、入社辞退を防ぐ工夫が求められます。

入社手続き

中途採用における入社手続きでは、事前準備が重要です。特に、書類の不備や不足は入社後の手続きに支障をきたすため、入社前に明確に案内しましょう。

以下は、中途入社時に企業が内定者へ提出を依頼する主な書類です。

  • マイナンバーカード(もしくは通知カード・本人確認書類)
  • 本人確認書類
  • 源泉徴収票(前職での収入がある場合)
  • 給与所得扶養控除等申告書
  • 給与振込先口座情報
  • 雇用保険被保険者証
  • 住民票記載事項証明書
  • 扶養親族に関する書類
  • 健康診断書(任意提出)
  • 給与所得者異動届出書(前職の特別徴収を継続する場合)
  • 身元保証書・入社誓約書・入社承諾書
  • 資格証明書・免許証コピー(職種による)

提出方法や期限を明示すると、提出漏れを防げます。

中途採用者は、新しい職場に入ることへの期待と同時に、手続きの不安や職場への適応に対する不安を感じやすいものです。

入社手続きは単なる事務処理ではなく「受け入れの第一歩」と捉え、丁寧な説明とサポートを心がけましょう。

採用フローの設計で外せないポイント

採用フローを設計する際は、以下のポイントを押さえましょう。

  1. 採用計画を立案する
  2. 採用ターゲットを明確にする
  3. 採用基準を設定する
  4. 自社に最適な求人媒体を選定する
  5. 選考期間を設定する
  6. 適切な通過要件を検討する
  7. 採用の流れをフロー図に起こして可視化する
  8. 早くPDCAサイクルを回す

採用計画を立案する

採用計画は、採用フロー全体の「設計図」にあたります。

場当たり的な求人ではなく、事業戦略とリンクした「採用計画」の立案が第一歩です。

<計画に盛り込むべき要素>

採用目的 増員か欠員補充か、事業拡大か
時期 繁忙期・異動タイミング・来期の要員計画との連動
必要人数と職種 組織図と照らし合わせて精査
採用経路 求人媒体・人材紹介・リファラルなどの使い分け
採用コスト 広告費・紹介料・人件費などを月単位で管理

これらをもとに、年間や半期の採用スケジュールを策定します。各事業部とも密に連携し、想定される退職や異動も加味しましょう。

採用ターゲットを明確にする

採用の精度を左右するのが「ターゲット設計」です。スキルや経験だけでなく、価値観や将来性まで明確にしておきましょう。

<採用ターゲットの設定ポイント>

  • 職種やポジションを具体的にする
  • 年齢層やスキル、経験年数、前職の業界などを想定する
  • 性格や志向性も含める
  • 面接官や現場社員と共有し、現実に即した人物像に調整する

ターゲットの具現化が難しい場合は「成功している現場社員」や「離職してしまった社員」の傾向を分析すると、よりリアルなターゲット像が描けます。

採用基準を設定する

次に、採用基準を設定しましょう。

採用基準は、企業が求める人材を見極めるための評価指標であり「ハードスキル(職歴・資格など)」と「ソフトスキル(コミュニケーション力・価値観など)」の両方を含みます。

採用基準設計の6つのポイント

  • 現場の要望と必要スキルを洗い出す
  • 成果を出している社員の特性を分析する
  • 求める人物像を具体化する
  • 必須条件と希望条件に分類し、優先順位をつける
  • 市場トレンドとのギャップを確認する
  • 評価ポイントを明文化する

設定する際は、現場・経営・人事の意見を反映させながら「自社にとって本当に必要な人材」を言語化し、基準として落とし込んでいきましょう。

また、社会的な公平性コンプライアンスにも配慮し、誰もが納得できる選考の土台として、戦略的に設定してください。

自社に最適な求人媒体を選定する

採用の成果を大きく左右するのが「どの求人媒体を使うか」です。

媒体によって、得意な職種や年齢層、地域などが異なるため、自社の採用ターゲットに合致する媒体を選びましょう。

<媒体選定時のポイント>

  • 採用ターゲットにマッチする属性が集まるか
  • コストと掲載期間のバランスは適切か
  • 過去の掲載実績は良好か
  • 無料or有料、成果報酬型か固定費型か

求人媒体は、特徴や利用料金がさまざまです。以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

求人媒体おすすめ20選の特徴や費用を比較!無料掲載できるサービスも紹介

選考期間を設定する

選考期間が長すぎると、応募者は他社へ流れてしまうリスクが高まります。特に中途採用では、スピードが命です。適切な選考期間を設定し、機会損失を防ぎましょう。

<選考期間設定の目安と工夫>

  • 応募から内定までの期間は1〜2週間以内が理想
  • 選考ステップはできる限り簡素化
  • 書類選考や面接の日程は早めに案内

選考期間が短いほど、求職者の意欲が持続しやすくなり、内定辞退も減ります。早さと丁寧さのバランスを意識しましょう。

適切な通過要件を検討する

選考プロセスの質を高めるには、書類選考や面接の通過基準を明確に設定し、統一した要件で判断できるようにしましょう。

曖昧な基準のまま進めると「想定と違う人材だった」「選考官ごとに評価がぶれる」などのミスマッチにつながりかねません。

通過要件では、以下の視点をもとに判断すると精度が高まります。

  • 必要な資格・経験・スキルなど、自社の要件と一致しているか
  • 書類の体裁や誤字脱字の有無、丁寧さから基本的なマナーがあるか
  • 短期離職や多すぎる転職回数がないか、理由に納得感があるか
  • 構成や表現、読みやすさから思考の整理力や配慮がみられるか
  • 具体的な経験や自社への理解・熱意が感じられるか

選考担当者間で基準を統一するために「評価シート」の導入がおすすめです。面接官ごとの主観的な判断を減らし、採用の一貫性と精度を維持できるでしょう。

採用の流れをフロー図に起こして可視化する

採用業務全体の流れを明確にし、関係者間で共通認識を持つには「採用フロー図」を作成しておきましょう。

採用フロー図とは、募集から内定、入社までの一連の流れを時系列で可視化した図で、進捗管理や課題発見、改善に役立ちます。

採用フロー図を作るメリットは、次のとおりです。

  • 関係者全員が同じ認識を持てる
  • 各工程の現在位置が明確になり、連絡ミスや対応漏れなどのトラブルを防げる
  • どの工程に改善余地があるかを客観的に判断しやすくなる
  • 採用戦略の立案がしやすくなる

フロー図を作成する際は、以下を意識しましょう。

  • 書類選考や面接などの主要工程をリストアップする
  • 記号を使って図式化する
  • 矢印で流れをつなぎ、左上から右下に向かう構成にする
  • 実際に運用できるか、リソースやコストと照らし合わせて検証する

フロー図の作成は、採用業務の見える化と、継続的な改善の第一歩です。属人化を防ぎ、組織全体で採用を効率的に進めていくために、早期に取り入れることをおすすめします。

早くPDCAサイクルを回す

採用フローは一度作って終わりにせず、PDCAサイクルを高速で回していきましょう。

たとえば「Plan(計画)」では、求める人物像や採用手法を設計し「Do(実行)」で実際の募集・選考を進めます。

そして「Check(確認)」では歩留まり率や辞退率、面接通過率などを数値で振り返り「Action(改善)」によりボトルネックの解消を図ってください。

こうした振り返りによって原因を特定し、早期に改善すれば、より精度の高い採用フローへとつなげられます。定期的な分析と改善を実施して、効率的に採用活動をしましょう。

採用フローを作成するときの注意点

採用フローを設計する際に押さえておきたい2つのポイントを紹介します。

  1. 求職者目線で設計する
  2. 誰が見ても分かりやすい設計にする

求職者目線で設計する

採用フローを構築する際は、企業の都合だけでなく、応募者側の視点に立った設計が重要です。

たとえば、コミュニケーション能力を重視する職種であれば、複数回の面接グループディスカッションを取り入れると、対人スキルを多面的に評価できます。

一方、専門性や実務経験を重視する場合は、筆記試験やスキルチェックの内容を精査し、業務への適応度を見極めるとよいでしょう。

ただし、採用ステップが長すぎると、候補者の離脱を招く恐れがあります。そのため「何回の面接が必要か」「どの段階で何を評価するか」を明確にし、シンプルなフロー設計を心がけてみてください。

誰が見ても分かりやすい設計にする

採用フローは人事部門だけでなく、面接官や経営層など、社内のさまざまな関係者が活用するものです。そのため、誰が見ても一目で理解できる視覚的に整理された設計にしましょう。

以下のような工夫を取り入れると、社内共有がスムーズになります。

  • 矢印で各ステップの流れを可視化する
  • 左上から右下へ、時系列順に並べる
  • 記号を使って情報の種類を分類する

特に、複数の部門が面接に関わる場合や、選考ステップが複雑になる場合は、誰でも迷わず実行できるように設計するとよいでしょう。

採用フローの参考事例3選

それでは、採用フローの参考事例を3社紹介します。

  1. アクセンチュア株式会社
  2. 任天堂株式会社
  3. 株式会社オリエンタルランド

アクセンチュア株式会社

アクセンチュア株式会社の新卒採用では、戦略・テクノロジー・オペレーションズなど多岐にわたる分野で事業を展開しており、多様な職種と採用枠を用意しています。

採用フローは、エントリーシート提出から始まり、適性検査、グループディスカッション、複数回の個別面接を経て内々定が出る流れで、所要期間はおおよそ1.5〜3か月程度。職種は10種以上から選択可能です。

選考過程では、先端テクノロジーに対する理解力や論理的思考、コミュニケーション力など多面的に評価されます。

また、入社後は「ピープルリード」と呼ばれるメンターが付き、長期的なキャリア支援を実施し、万全のサポート体制が整備されている点が特徴的でしょう。

任天堂株式会社

任天堂株式会社の採用フローは、まずプレエントリーで専用のマイページが発行され、選考案内や職種ごとのエントリー情報が提供されます。

一般的な選考の流れは、エントリーシート提出後に書類選考・適性検査・複数回の面接が行われる形で、応募者の専門性や任天堂の理念との親和性を重視。クリエイティブ職では、ポートフォリオの提出や課題選考が課されることもあります。

同社は「社員一人ひとりの発想と挑戦」が、商品やサービスの原動力になると考え、採用においても個性や情熱、挑戦心に重きを置いてきました。エンターテインメントを創造する企業として、多様な視点と発想を歓迎する採用姿勢が特徴です。

株式会社オリエンタルランド

株式会社オリエンタルランドの選考プロセスは、マイページ登録後の「チャレンジシート」提出を皮切りに、適性検査、個別面接(2回)、最終面接と続きます。グループディスカッションや集団面接は実施されません。

選考は「やり切る力」「一丸となって取り組む姿勢」「より良く改善し続ける意識」など、オリエンタルランドの価値観にマッチするかどうかを重視しています。応募者は職種を併願でき、選考途中に希望職種を確定する形式です。

内定後は充実した研修制度やピープルマネジメントの支援を受けられ、ブランドを支えるプロとしての第一歩を踏み出せる体制が整えられています。

採用フローの提案を含む採用支援ならワンページ

所在地 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内2丁目 14-16 河合ビル6F
電話番号 052-223-0200
設立日 2017年4月
公式サイト https://onepage.co.jp/

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自社に最適な採用フローを設計して優秀な人材を確保しよう

採用活動は、求人募集から入社手続きまで、複数の工程で構成され、それぞれに明確な目的と判断基準が求められます。

中途・新卒など、採用形態に応じて最適な流れを設計すると、選考効率の向上やミスマッチ防止につながります。

人材獲得競争が激化する今、自社に最適な採用フローを見直して、優秀な人材を確保しましょう。