採用活動を成功させるために重要な採用戦略。応募者とのミスマッチや早期離職を防ぐためにも、適切な採用戦略を立てることがポイントになります。
そこで本記事では、採用戦略を立てるメリットや具体的な立て方、採用戦略を実行するときのポイントについて解説します。「優秀な人材を確保したい」「会社全体の組織力を向上させたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の内容
採用戦略とは求める人材を獲得するための戦略
採用戦略とは、企業が求める能力・スキルを持つ人材を獲得し、組織の成長と発展を実現するための戦略の1つです。市場の動向や組織の現状、目指すべき目標を踏まえた上で、どのようにして目当ての人材を獲得するのか、具体的な戦略を立案します。
採用戦略には、ブランディングや求人広告、ソーシャルメディア、キャリアフェア、リファラルなど、多岐にわたる方法があります。優秀な人材を採用するには、自社に合う採用戦略を立案することが重要です。
採用戦略を立てる5つのメリット
採用戦略を立てるメリットは、以下の5つです。
- 効率的に採用を進められる
- ミスマッチや早期退職を防止できる
- 採用コストの削減につながる
- アクションの明確化で無駄な業務を省ける
- 会社全体の組織力を向上させられる
それぞれ解説します。
効率的に採用を進められる
採用戦略を立てることで、企業は採用プロセスを効率的に進めることができます。
具体的な目標と計画があることで、必要な人材を的確かつ迅速に見つけ出し、選考から採用までの各ステップを無駄なく進められるでしょう。
採用活動の最初に一時的な手間が発生しますが、最終的には時間とリソースを節約しながら適切な人材を獲得できる確率が高まります。
ミスマッチや早期退職を防止できる
採用戦略の精度が上がると、自社の企業文化や必要なスキルセットに合致した人材を見極めることが容易になります。これにより、入社後のミスマッチや早期退職を大幅に減少させることができるでしょう。
採用戦略を立てる際は、入念な選考プロセスと明確な職務記述が必要です。求職者と企業の期待値を一致させ、長期的な雇用関係を築く基盤となります。
採用コストの削減につながる
採用戦略を事前に策定することで、採用活動における無駄な出費を削減できます。効率的なプロセスと目的に沿った広告・プロモーション活動により、コストパフォーマンスの高い採用が実現できるでしょう。
また、ミスマッチが原因で生じる再採用にかかる費用も削減できるため、採用活動全体のコストダウンにつながります。
アクションの明確化で無駄な業務を省ける
採用戦略を明確に定義することで、採用活動に関わる各ステップが具体化し、必要なアクションが明確になります。これにより、非効率な業務や重複する作業を省くことができるため、採用チームの生産性が高まるでしょう。
効果的な採用活動を行うためにも、目標にフォーカスしたアクションを選択することが重要です。
会社全体の組織力を向上させられる
適切な採用戦略は、企業が求める人材の獲得に留まらず、会社全体の組織力の向上にも効果的です。組織のビジョンに合った人材を集めることでチームワークが強化され、新しいアイデアが生まれたり、業務効率が向上したりする可能性があります。
採用戦略をブラッシュアップし続けることで、企業文化が豊かになり、組織全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。
採用戦略を立てる前に会社のあり方を明確にする
採用戦略を立てる前に、会社のあり方を明確にすることは、効果的な人材獲得のために欠かせません。というのも、会社のあり方が明確になると、企業が求める人材の特性を決定しやすくなるためです。
会社のミッション・ビジョン・バリューや独自の文化を理解して、これらを採用プロセスに反映させることで、価値観を共有できる人材を引き寄せられます。企業のあり方を明確にすることで、応募者とのミスマッチのリスクが減少し、長期的な雇用関係の構築にもつながります。
採用戦略を磨くことは、採用効率の向上だけでなく、組織全体の強化にも重要な施策です。
採用戦略の立て方8ステップ
採用戦略の立て方は、以下の8ステップです。
- 採用戦略の立案チームを組織する
- 採用計画を立案と策定する
- 採用をしたい顧客ターゲットを決定する
- 自社の強みを把握する
- 自社がアピールすべきポイントを明確にする
- 採用手法をピックアップする
- 採用スケジュールとKPIを決定する
- 優先するアクションを決定する
各ステップの詳細を解説します。
採用戦略の立案チームを組織する
採用戦略を成功させるためには、さまざまな視点と専門知識を併せ持つチーム作りが必要です。人事部門のメンバーはもちろん、各部門の代表者や経営層も含めたチームを組織しましょう。
採用チームは、企業の現状分析、必要な人材の特定、採用戦略の立案と実行計画の策定を行います。効果的なコミュニケーションと役割分担をすることで、チームとしての成果を最大化できるでしょう。
採用計画を立案と策定する
採用計画を立案する際は、企業の現状と将来の目標を踏まえた上で、必要な人材の数、採用のタイミングを明確にします。採用計画の立案時は、求人広告の作成、選考方法の設計、オファー後のフォローアッププロセスなど、採用プロセス全体を網羅することが重要です。
また、採用計画の定期的な見直し、市場の変化や企業の状況に応じた調整なども、柔軟に行うことが大切です。
採用をしたい顧客ターゲットを決定する
採用をしたい顧客ターゲットを決定すると、求める人材像が明確に見えてきます。ここで言う「顧客」とは、企業が採用したいと考える候補者集団を意味します。
採用したい顧客ターゲットを決定する際は、以下の項目を定めましょう。
- 年齢
- 性別
- 地域
- 家族構成
- 希望所得
業界経験や専門スキル、企業文化への適合性など、求める要件を具体的に定義することで、効率的かつ効果的な採用活動を展開できるでしょう。
自社の強みを把握する
採用市場における競争優位性を確保するには、自社の強みや魅力を正確に把握して、それらを求職者に伝えることが重要です。企業文化、キャリアアップの機会、福利厚生など、働く人にとっての価値提案を明確に把握しておきましょう。
自社の強みを理解して、それを戦略的にアピールすることで、優秀な人材を惹きつけることが可能になります。
自社の強みを理解するためにも、以降で紹介する3C分析を取り入れてみてください。
自社がアピールすべきポイントを明確にする
採用活動を成功させるためには、自社の魅力を候補者に伝えることが重要です。
企業文化やビジョン、キャリア成長の機会、福利厚生など、他社との差別化ポイントを明確にすると、自社のアピールポイントが見つかるでしょう。
自社のアピールポイントが明確になり、ここで働く価値を伝えられると、求職者の興味を惹きつける可能性がグッと高まります。
採用手法をピックアップする
効果的な採用戦略を実行するためには、目的に合った採用手法の選定が必要です。
オンライン求人広告やキャリアフェア、リクルーティングイベント、SNSアプローチ、紹介プログラムなど、利用可能な手法は多岐にわたります。
どのような人材を求めているのか、ターゲットとなる候補者の属性や行動を考慮して、最も効果的な手法を選びましょう。
採用スケジュールとKPIを決定する
採用プロセスを管理して、計画的に目標達成を実現するには、明確な採用スケジュールとKPI(重要業績評価指標)の設定が不可欠です。
採用スケジュールには、求人公開から面接、オファー提出、入社までの各フェーズを明記します。KPIでは、応募数や面接数、採用率、入社後の定着率など、採用活動の成果を測るための指標を定めます。
優先するアクションを決定する
採用活動に割けるリソースは限られているため、一つひとつのアクションの優先順位付けも必要です。市場調査、候補者とのコミュニケーション、採用イベントの実施など、特に影響力の高い活動を優先的に行いましょう。
優先順位をつけるためには、各アクションの効果測定も欠かせません。各アクションにより得られた効果を評価して、最大のリターンをもたらすものにリソースを集中させましょう。
採用戦略を実行するときのポイント
採用戦略を実行するときのポイントは、以下の6つです。
- 社内全体で連携を強化する
- 現在の従業員と退職者の分析をする
- 採用担当者のスキルレベルを高める
- 人事のリソースを確保する
- 内定者のフォロー体制を整える
- 戦略の実行とともに改善策を立案する
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
社内全体で連携を強化する
採用戦略の成功は、社内全体での連携に大きく依存しています。人事部門だけでなく、各部門との密接な協力体制を築くことが重要です。
採用活動の情報共有や、採用プロセスにおける各部門の役割と責任を明確にすることで、社内の認識を一致させることが大切です。社内のエンゲージメントを高めて、全社が一体感を持って採用活動に取り組むことで、優秀な人材の獲得へとつながります。
現在の従業員と退職者の分析をする
採用戦略を練る上で、現在の従業員と退職者のデータを分析することも重要です。従業員の職務満足度や成長機会の提供状況、退職の原因などを分析することで、採用プロセスや職場環境の改善が実現できます。
現在の従業員と退職者の分析結果を参考にすることで、自社にマッチした候補者の発見、組織への定着率向上にもつながるでしょう。組織内のリアルな声を活用することが、より良い採用戦略を構築するポイントになります。
採用担当者のスキルレベルを高める
採用戦略を実行する上で、担当者のスキルセットは非常に重要です。採用市場の最新動向に精通していたり、効果的なコミュニケーション技術を身につけていたり、採用担当者の能力といってもさまざまな側面があります。
定期的な研修やセミナーへの参加を促すことで、高い専門性とスキルを持った採用担当者を育てましょう。
人事のリソースを確保する
採用戦略を実行する際には、十分な人事リソースの確保が必要です。適切な人数のスタッフ配備はもちろんのこと、必要な技術やツールへの投資も含まれます。
効率的な採用プロセスの設計・実行のためには、候補者管理システムや面接スケジュールツールなどの採用テクノロジーを活用することも重要です。採用活動に必要な予算を事前に確保して、計画的にリソースを配分することで、スムーズな採用活動が実現できるでしょう。
内定者のフォロー体制を整える
内定者のフォロー体制の整備は、内定辞退者の減少につながります。内定者と定期的にコミュニケーションを取ったり、会社やチームについての情報を提供したりして、入社に向けた準備のサポートを行いましょう。
内定者にポジティブな入社前体験を提供することで、入社意欲の向上や最終的な入社率の向上につながります。
戦略の実行とともに改善策を立案する
採用戦略を実行する過程では、常にその効果をモニタリングして、必要に応じて改善策を立案・実行することが大切です。採用活動の各段階で得られるデータを分析しながら、目標達成に向けての進捗状況を確認しましょう。
KPIを用いた採用活動の定量的評価、問題点の早期発見に注力することで、迅速な対策を講じることにつながります。
採用戦略の策定で役立つフレームワーク
採用戦略の策定で役立つフレームワークは、以下の3つです。
- 3C分析
- SWOT分析
- カスタマージャーニー
一つひとつ解説します。
3C分析
3C分析とは、企業(Company)・顧客(Customer)・競合(Competitor)の3つの要素を分析するフレームワークです。採用戦略を策定する際に、自社の強みと弱み、求職者が持つニーズと期待、他企業の採用戦略や強みを理解することで、効果的なアプローチ方法を策定できます。
採用に関する3C分析の例は、以下の通りです。
項目 | 例 |
---|---|
企業(Company) | ・採用における自社の強み・弱みは? ・自社ならではの商品やサービスは? ・給与・賞与や福利厚生の充実度は? ・仕事のやりがいは? |
顧客(Customer) | ・採用候補者の数は? ・候補者が重要視していることは? ・候補者が転職に置く条件やタイミングは? |
競合(Competitor) | ・採用市場での競合他社は? ・競合他社の採用方法は? ・競合他社の給与・待遇面は? |
3C分析を行うことで、自社の採用戦略がどのように位置付けられているのか、どのようなアプローチを取るべきかが明確になるでしょう。結果的に、競争優位性の確立や、採用戦略の改善につながります。
SWOT分析
SWOT分析とは、強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)の頭文字をとったフレームワークです。4つの観点から企業の現状を評価します。
採用に関するSWOT分析の例は、以下の通りです。
項目 | 例 |
---|---|
強み(Strengths) | ・自社の強みとなる人材 ・蓄積してきたノウハウ ・独自の技術 |
弱み(Weaknesses) | ・競合と比べて不足している経営資源 |
機会(Opportunities) | ・国内外の景気 ・技術革新 ・トレンドの変化 |
脅威(Threats) | ・市場環境の悪化 ・法規制 |
採用戦略においては、自社の採用プロセスやブランドの強み、新卒市場の変化、競合との人材争奪戦の分析がこれに当たります。SWOT分析の結果をもとに、自社の強みを活かしつつ、弱点を補強する採用戦略を立案しましょう。
カスタマージャーニー
カスタマージャーニーとは、求職者が就職するまでの過程をマッピングするフレームワークです。情報収集から応募、選考、オファー受諾に至るまでの各課程で、どのような経験をするかを詳細に分析します。
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まとめ:採用戦略を立てて採用活動を効率化しよう
採用戦略とは、企業が求める人材を獲得するために重要な戦略です。応募者とのミスマッチや早期離職を防ぐためには、自社にとって適切な採用戦略を立てることが大切です。
採用戦略を実行する際には、社内全体で連携を強化しつつ、十分なリソースを確保しなければなりません。長期的には会社全体の組織力向上にもつながるため、前者で一丸となって取り組みましょう。