理系採用完全ガイド!もう苦戦しない手法と成功のポイントを解説

技術革新が進む今日では、優秀な理系人材の獲得が企業成長に欠かせません。
しかし、競争は年々激しさを増しており、従来の方法だけではもはや足りないのが現状でしょう。

特に、理系学生は強い大手志望の傾向があるといわれ、中小企業やベンチャーは、理系学生の採用活動に工夫が必要です。

そこで本記事では、理系採用の苦戦を克服するための実践的な手法と、採用成功へと導く重要なポイントを解説します。

理系人材の確保に頭を悩ませている採用担当者や企業経営者は、ぜひ参考にしてみてください。

理系学生の採用動向と課題

はじめに、理系学生の採用動向と課題を整理しましょう。

  1. 理系学生が減少傾向にある
  2. 理系学生の需要は増加している
  3. 大手企業を志望する理系学生の割合が多い

理系学生が減少傾向にある

理系学生の確保が苦戦しやすい背景として挙げられるのが、理系学生の割合が減少傾向にある点です。

文理を選択する最初の時期が、高校です。この時点で、多くの人が文系を選択する傾向があり、理系はどちらかというと少数派でしょう。

少し過去のデータになりますが、高校の文理状況について、国立教育政策研究所「中学校・高等学校における理系選択に関する研究最終報告書」では、以下のように報告されました。

理系を選んだ学生は、全体の3分の1で、文系に比べて少ない状況にあります。

デジタルや人工知能(AI)、脱炭素が必要な現代では、理系人口を増やさなければなりません。
こうした状況を懸念した政府も、2022年の時点で理系分野を専攻する大学生の割合を、2032年までに35%から50%程度に増やす目標を掲げています。

経済産業省の報告(※)によると、2030年には約79万人のIT人材が不足することも示唆されています。少子化も伴って、理系学生不足は加速の一途を辿っているのです。

※参照:「- IT 人材需給に関する調査 - 調査報告書」(経済産業省)

理系学生の需要は増加している

一方、理系学生の需要は増加傾向にあります。

技術革新が進む現代において、多くの業界で高度な技術スキルを持つ人材が求められています。たとえば、人工知能(AI)や機械学習の専門家は、今後も引き続き高い需要が見込まれます。

また、サステナビリティや再生可能エネルギー分野も成長しており、これらの分野での教育を受けた学生の需要も増えています。

理系学生が減る一方で、市場の需要は高まっているのです。

大手企業を志望する理系学生の割合が多い

理系学生が志望する企業の共通点として「大手志向」に集中しやすい傾向があります。

マイナビが発表した「2024年卒大学生就職意識調査」によると、大手を志望する理系学生の割合が比較的高いことが分かりました。

上記データを見ると「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」と回答した理系学生の割合は、44.3%を占めています。特に、理系男子学生の回答を見ると、大手志向の割合は46%を超えています。

大手企業に集中しやすい要因として「設備が充実していて自分のやりたい研究開発ができそう」「海外赴任で経験を積めるかも」というイメージがあるのかもしれません。

一方「中堅・中小企業がよい」と回答した人は、理系学生全体の7.7%です。
上記データを見る限り、中小企業は、大手企業をライバルにして採用市場で戦う必要があることを示唆しています。

理系学生の採用は困難?苦戦する3つの理由

理系学生の採用活動が長期戦になるのは、採用動向と課題を見て明らかでしょう。
しかし、理系学生の採用に苦戦する要因は、それだけではありません。

以下に示す3つの要因も絡んでいます。

  1. 研究やゼミで多忙な学生が多い
  2. 就職先が推薦で決まるケースがある
  3. ジョブ型雇用に対応できていない

研究やゼミで多忙な学生が多い

理系学生は、学部や大学院での研究活動に多忙で、就職活動に使える時間が限られることがあります。

特に、実験やフィールドワークが必要な学部では、予期せぬスケジュール調整が必要になることがあるでしょう。就職活動の面接や選考会への参加が難しいケースも少なくありません。

そのため、理系学生に企業の魅力をアピールするチャンスが減り、人材確保が難しくなっています。

就職活動に積極的な理系学生もいますが、他企業との争奪戦になりやすく採用に至らないケースも少なくないでしょう。

就職先が推薦で決まるケースがある

多くの大学では、教授や研究指導者からの推薦により就職先が決定するケースがあります。

特に、研究室が企業と強い連携を持っている場合、その推薦ルートを通じて直接企業に採用される可能性があるでしょう。

このような状況では、一般的な採用プロセスを経ても優秀な学生が集まりません。一般応募する学生の母数が少なくなるため、採用活動が一層難しくなっています。

ジョブ型雇用に対応できていない

理系学生の採用が難しくなっているのは、企業側の事情も関係しています。
それが「ジョブ型雇用」に対応できていないという点です。

「ジョブ型雇用」とは、企業が特定のスキルや経験を持つ人材を限定的な職務内容で採用する雇用方法のこと。日本では従来「メンバーシップ型雇用」が一般的で、人材を先に確保し、後から職務を割り当てるのが一般的でした。最近では、経団連の推進により、日本でもジョブ型雇用を採用する企業が増加しています。

しかし、株式会社学情の調査(※1)によると、ジョブ型雇用を導入済みの企業は24.1%「導入予定がない」と回答した企業は、70%を超えている結果となりました。

(※1)参照:2025年卒学生の就職意識調査(ジョブ型) 2023年5月版 – 学情

4社に1社が、新卒採用に「ジョブ型」を導入。導入企業の半数以上が「適性のある人材の母
集団形成」に手ごたえをつかむ/採用担当者アンケート – 学情

ジョブ型採用に興味がある学生が半数近くいるという報告(※2)もある中で、企業と学生間でのキャリア意識のギャップが生まれているのです。

(※2)参照:マイナビニュース 25卒学生、「ジョブ型」採用に興味がある割合は?

企業は、こうした学生ニーズを理解し、採用活動に柔軟な姿勢を見せていく必要があるでしょう。

理系学生が持つ特有の強み

理系学生は、専門分野で培った知識やスキルだけでなく、さまざまな場面で活かせる特有の強みを持っています。企業は、その強みを理解して「ここなら自分の能力が活かせる」と、学生に興味を示してもらうことが鍵となります。

具体的に、以下の強みは必ず押さえておいてください。

  1. 数字に強い
  2. 論理的思考力に長けている
  3. 特定分野での専門性がある
  4. 最後までやり抜く力を備えている

数字に強い

理系学生は、数学や統計学などで日頃から数値に触れる機会が多いです。そのため、データ分析や計算が求められる職場でその能力を存分に発揮してくれるでしょう。

企業が大量のデータを扱う場面では、こうしたスキルが非常に有効であり、数値に基づく意思決定を支援する重要な役割を担います。

論理的思考力に長けている

理系の教育課程では、問題に対して論理的かつ系統的にアプローチする方法が求められます。

このトレーニングを日々受けている理系学生は、業務上の問題解決やプロジェクト管理に応用が可能です。複雑な課題に対して、効果的な解決策を提案する人材に成長するでしょう。

特定分野での専門性がある

理系学生は、特定の科学的または技術的分野で深い専門知識を有しています。

この専門性は、技術革新が求められる産業や、研究開発が重要な役割を果たす企業で即戦力となるでしょう。

新しいアイデアや製品の開発を推進する場面においても、有望な人材といえます。

最後までやり抜く力を備えている

理系学生は、長期間にわたる研究やプロジェクトを経験することが多く、困難な状況でも目標を達成する粘り強さを持っています。

こうした継続力は、ビジネスの世界でも高く評価され、プロジェクトを成功に導くための重要な要素です。会社への定着率にも比例するでしょう。

理系学生の採用を強化するアプローチ方法

理系学生の採用を強化するには、適切にアプローチしなければなりません。
代表的な6つの手法を紹介します。

  1. ダイレクトリクルーティングを実施する
  2. 理系学生が興味を持つ求人広告を打つ
  3. 人材紹介サービスを利用する理系対象の採用イベントに参加する
  4. 理系学生に向けたインターンシップを開催する
  5. 採用代行に依頼する

ダイレクトリクルーティングを実施する

理系学生を採用するなら、ダイレクトリクルーティングが非常に有効です。

ダイレクトリクルーティングとは、ターゲットとなる人材に直接アプローチし、直接的なコミュニケーションを図る採用手法を指します。

理系学生を効果的に採用するには、企業から積極的にアプローチしなければ接触する機会が得られません。研究室と企業が連携して就職活動するパターンも多く、応募を待っているだけでは勝ち目がないでしょう。

この状況を打破するには、企業が理系学生を対象にしたスカウトメールの送信やDMを通して積極的に自社をアピールし、関心を引きつけることが重要です。

実際、多くの企業がダイレクトリクルーティングを採用し、求職者への直接アプローチを強化しています。使用するプラットフォームやサービスの選択が、理系学生との接触の成否を分けることになるため、これらのツールを活用して競争から一歩抜け出すことが勝利の鍵となるでしょう。

ダイレクトリクルーティングのおすすめプラットフォームについては、こちらの記事で紹介しています。料金相場についても記載しているので、参考にしてみてください。

ダイレクトリクルーティングで新卒採用!成功の秘訣・サービス13選を徹底比較

理系学生が興味を持つ求人広告を打つ

求人広告を打つ際は、理系学生が興味を持つ内容を提示しましょう。

もし、自社が業界平均を上回る給与や待遇を提供し、安定した業績を維持している場合、これらの情報をアピールしないのは非常に勿体ないことです。採用シーンでは積極的にアピールし、日常の広報活動やブランディング戦略でも発信してみてください。

特にBtoB企業の場合、たとえ世界トップクラスのシェアを誇る製品を持っている、もしくは東証一部に上場しているとしても、その実績を知らない理系学生は少なくありません。

理系学生は、就職活動に多くの時間を割けないことが多く、業界や企業情報を深く追う時間が限られています。

自社の情報を得られるよう、求人広告でしっかり目に留まる機会を増やしましょう。

求人広告の費用は、無料で掲載できるものから有料プランまでさまざまです。選ぶプランによって費用対効果を左右することがあるので工夫が必要です。こちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

求人広告の費用相場!本当におすすめの16社と費用対効果を高める秘訣を紹介

人材紹介サービスを利用する

人材紹介サービスは、特定の専門性を持つ理系学生を効率的に見つけ出す手段として有効です。
紹介会社は広いネットワークを保有しており、通常の採用活動では出会うことのできない優秀な人材と企業を結びつけてくれます。

また、初期段階でのスクリーニングや候補者選定を委託することで、採用にかかる時間とコストの節約にもつながるでしょう。

理系対象の採用イベントに参加する

一度に多くの理系学生と出会うなら、理系対象の採用イベントがおすすめです。

理系学生は、知名度の高い大手企業に集中しがちです。対照的に、知名度が低い中小企業では、同じ手法を採用しても期待したほどの成果が得られないことが多いでしょう。

しかし、理系専門の採用イベントに参加することで、中小企業も理系学生に注目されるチャンスが増えます。企業が自己の強みを効果的にアピールする絶好の機会なので、ぜひ参加してみましょう。

採用イベントには、合同イベントやセミナーなど、さまざまな開催方法があります。各開催方法の特徴と対策は、こちらの記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

採用イベントで求める人材を獲得!種類や手順・面白い事例まで紹介

理系学生に向けたインターンシップを開催する

インターンシップは、理系学生を集めるための非常に有効な手段です。理系学生は特に実務経験を重視し、自分の学んでいる専門知識を実際の業務にどのように活かせるかを常に考えているでしょう。

インターンシップでは、実際のプロジェクトに参加してもらい、それぞれの専門スキルを実世界で試す機会を設けてみてください。学生が自分のキャリアについて具体的なイメージを持てるので、応募率の向上に寄与するかもしれません。

採用代行に依頼する

採用代行サービスへの委託は、理系学生を採用する上で非常に効果的な方法の一つです。

理系学生の採用は、特に専門的な知識や技術が求められるため、適切な候補者を見つける手段としてプロの手を借りるのは有効といえるでしょう。

採用代行の中には、エンジニア特化型やIT人材専門など、理系採用を積極的に進めてくれる会社があります。理系出身者がスタッフに在籍するところも多く、理系学生のニーズを理解して採用活動を実施してくれます。

採用代行に委託できる業務に関しては、こちらの記事で紹介しています。料金体系にも触れているので、自社の予算と照らし合わせて検討してみてください。

採用代行会社のおすすめ13社徹底比較!費用相場・メリットを紹介

理系学生の採用を成功させるポイント

理系学生の採用を成功させるためには、彼らの特性を理解し、それに合わせた選考方法やアプローチ方法を検討することが重要です。

理系学生の採用を成功させるためのポイントは、以下の7つです。

  1. 理系学生に配慮した選考スケジュールを組む
  2. 企業から積極的にアプローチする
  3. 研究内容を自由にアピールできる場を設ける
  4. 研究内容との親和性の高さをアピールする
  5. 大学や研究室と関係性を深める
  6. 多種多様な採用アプローチを導入する
  7. 理系に特化した採用サービスを活用する

理系学生に配慮した選考スケジュールを組む

理系学生は、研究活動や実験などに多くの時間を費やしているため、企業説明会や面接の選考日程を、理系学生のスケジュールに合わせることが重要です。

エントリーした学生には、ゼミや研究室の予定をヒアリングし、都合の良い日程で選考スケジュールを組みましょう。こうした柔軟な姿勢によって企業イメージが向上し、学生の応募数が向上する可能性が高まります。

企業から積極的にアプローチする

企業から積極的にアプローチし、自社の魅力を伝えましょう。

ダイレクトリクルーティングや採用イベントの開催など、自社をアピールする方法を試して見てください。大学や研究室を訪問し、教授や学生と直接交流するのもおすすめです。

理系学生が興味を引くような採用ページを作成してもいいでしょう。

研究内容を自由にアピールできる場を設ける

理系学生は、研究活動に強い情熱を持っている学生が非常に多いものです。
研究内容を自由にアピールできる場を設けることで、学生のモチベーションを高められるでしょう。

選考中に、研究内容に関するプレゼンテーションタイムを設けてみるといいかもしれません。

研究内容との親和性の高さをアピールする

研究内容との親和性の高さをアピールすることも、理系学生の獲得に非常に有効です。

理系学生は、専門性が高い分野で学び、その研究分野に情熱を持っています。

企業が学生の研究分野に関連するプロジェクトや技術を持っている場合は、それを積極的にアピールしてみてください。学生の関心を引き、企業への志望度を高められるでしょう。

大学や研究室と関係性を深める

理系学生の採用競争が激化する中、単に学生との接点を持つだけでは優秀な人材を獲得することは難しくなっています。そこで重要となるのが、大学や教授との関係構築です。

関係構築のためにできることは、大学・研究室への訪問や共同研究の実施、講演会への招請などが挙げられるでしょう。

一度関係を構築できれば、OB社員から研究室の学生に魅力を伝えられるので、長期的な視点を持って取り組んでみてください。

多種多様な採用アプローチを導入する

採用活動を成功に導くには、ぜひ複数のアプローチ手法を実施してみてください。

ターゲットとする理系学生の属性や採用市場の動向によって、採用方法の最適解は異なります。

本記事で紹介した手法を組み合わせることで、効率的に理系学生を獲得できるでしょう。

理系に特化した採用サービスを活用する

理系学生の就職活動は、その特性に特化した就活サイトや合同企業セミナーが設けられています。

理系学生向けの合同企業セミナーは、理系専門の人材を探している企業にとって極めて有効なリクルーティング戦略となるでしょう。理系学生という具体的なターゲットに効率的にアプローチできるので、ぜひ活用してみてください。

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最適なアプローチで理系学生の採用を成功させよう

理系学生の需要が増す一方で、学生数は今後も減少することが予想されます。

理系学生の採用は、企業にとって大きな課題ですが、適切にアプローチすることで優秀な人材を獲得することは可能です。

本記事で紹介したポイントを参考に、自社に合った採用活動を実施して理系学生の採用を成功させましょう。