ABテストは、Webサイトの最適化における重要な施策です。
「ABテストの目的や効果を知りたい」
「ABテストのやり方がわからない……」
自社Webサイトを運営するにあたって、このような悩みを持つマーケティング担当者は多いでしょう。
そこで本記事では、ABテストを実施する目的ややり方について解説します。おすすめツールや注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の内容
ABテストとは?
ABテストは、「A」と「B」の2パターンを用意して、どちらが成果を得られるかを比較する手法です。
例えば、LP(ランディングページ)では、ユーザーにアクションを起こしてもらうために、画層やロゴ、コンテンツなどページのレイアウトを比較して、より良いパターンを見極めます。
なお、比較するパターンは2種類とは限りません。複数パターンを比較検討することも可能です。
ABテストを実施する目的
ABテストを実施する主な目的は、以下の2つです。
- コンバージョン率アップ
- クリック率アップ
コンバージョン率は、自社サイトにアクセスしたユーザーのうち、問い合わせフォーム送信や商品の購入決済など、成果につながる行動を取ったかを表します。
コンバージョン率を高めるには、商品購入や資料請求などのCTAボタンを、ユーザーにクリックしてもらわなければなりません。
クリック率を高めるためには、CTAボタンの位置やデザインなども意識する必要があります。
ABテストによって最適パターンを見つけることで、コンバージョン率やクリック率アップにつながります。
ABテストの基本的なやり方5ステップ
それでは、ABテストの基本的なやり方を5つのステップに分けて紹介します。
- 目的を整理する
- データに基づく仮説を立てる
- 影響範囲を予測する
- テスト検証を実施する
- 効果検証と次の仮説を考える
目的を整理する
ABテストを実施する前に、目標を整理します。
目標が曖昧なままABテストを実施しても、ページの最適化は叶いません。
- 会員登録数や資料請求数を2倍に増やしたい
- 直帰率を改善したい
先程紹介したABテストの主な目的以外にも、上記のようにより具体的な目的を整理してください。
データに基づく仮説を立てる
目的を明確化したら、次はデータに基づく仮説を立てます。
例えば、直帰率の改善を目的としている場合、どこでユーザーが離脱するのかを分析するにはヒートマップを活用するといいでしょう。
ユーザーの行動を色分けして表示するので、離脱する箇所を特定できます。
後はデータに基づき、どうすれば直帰率を改善できるのかを仮説立てしていきましょう。
影響範囲を予測する
影響範囲を予測することも大切です。
仮説を立てABテストを実施しても、思うような成果を上げられない可能性があります。
事前に影響範囲を予測し、別の対策を用意すれば、ABテストの結果が悪かったときもすぐに対処できるでしょう。
テスト検証を実施する
次にテスト検証を実施します。
ABテストは複数パターンを比較検証しますが、1つのテストが終わったら必ずテスト検証を実施してください。
なお、異なる条件でテストを実施すると、正確な結果を得られない可能性があります。ABテストは、同じ条件で行い比較するのがポイントです。
効果検証と次の仮説を考える
ABテストを実施したら、効果検証と次の仮説を考えます。
ABテストは1度実施したら終わりではありません。
1度目のテストでは、仮説が間違っていることもあるでしょう。2度目のテストでは、別の仮説を立てそれを繰り返すことで、徐々に課題が明確化してきます。
ABテストテストは回数を重ねるほど精度が上がるので、継続しながらその都度効果検証と仮説立てを繰り返してください。
ABテストツールのおすすめ8選
ABテストを実施する際に役立つツールを8つ紹介します。
- Optimize Next
- Juicer
- Ptengine
- Optimizely X
- DLPO
- SiTest
- KAIZEN UX
- Adobe Target
Optimize Next
運営会社 | PROJECT GROUP株式会社 |
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料金 | 無料 |
主な機能 | ABテスト |
無料トライアル | – |
Optimize Nextは、Google オプティマイズに代わって新たにリリースされる、ABテストツールです。
Google オプティマイズは、無料で利用できるABツールとして長年親しまれてきましたが、2023年9月30日でサポートを終了します。
Optimize Nextはは、GoogleオプティマイズのUIを再現しているので使い勝手もよく、無料で利用できます。
Juicer
運営会社 | ログリー株式会社 |
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料金 | 基本プラン:0円 オプション:有料(要問い合わせ) |
主な機能 | ペルソナ分析 NPS ABテスト BtoB分析 リードスコアリングなど |
無料トライアル | ◯(要問い合わせ) |
Juicerは、ABテストの他にも、ペルソナ分析やBtoB分析など幅広い用途に対応するツールです。
ABテストでは、ソースコードを触らず簡単な操作で実施できます。
成果が悪いと判断したページを非表示にして、成果が良いと判断されたページを自動で表示するので最適化にも役立つでしょう。
基本機能は全て無料で利用できるのも嬉しいポイントです。
Ptengine
運営会社 | 株式会社Ptmind |
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料金(税込) | 無料プラン:0円 Growtt:5,488円 Premium:98,780円 |
主な機能 | ヒートマップ・アクセス解析 ABテスト Web接客など |
無料トライアル | – |
Ptengineは、1つのタグを設置するだけで使える簡単なツールです。
ABテストの他にも、サイト分析やヒートマップなど全ての機能をノーコードで使用できます。
直感的操作が可能なエディターを使い、URLの設定のみのリダイレクトテストや、コードモードによる高度なテストも可能です。
無料プランから試せるので、コストをおさえたいときにも役立つでしょう。
Optimizely X
運営会社 | 株式会社ギャプライズ |
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料金 | 要問い合わせ |
主な機能 | ABテスト |
無料トライアル | – |
Optimizely Xは、全デジタルチャネルでABテストを実施できるツールです。
ABテストの他に、多変量テストや複数ページテストにも対応しています。
iOSやAndroidのアプリ内でのABテストも可能なので、スマートフォン向けサイトのABテストにも役立つでしょう。
日本語の無償サポートが受けられるので安心です。
DLPO
運営会社 | DLPO株式会社 |
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料金 | 初期費用20万円 月額費用10万円~ |
主な機能 | ABテスト 多変量テスト パーソナライズ配信 AIパーソナライズ 外部連携など |
無料トライアル | – |
DLPOは、国内実績NO.1を謳うLPOツールです。
ABテストを始めとして、多変量テストや設定した条件ごとにテスト結果を分析するパーソナライズ機能も搭載されています。
自社での対応が難しい場合は、ABテスト代行サービスを利用するといいでしょう。
SiTest
運営会社 | 株式会社グラッドキューブ |
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料金 | 要問い合わせ |
主な機能 | ヒートマップ ABテスト アクセス解析 エントリーフォーム最適化など |
無料トライアル | ◯(要問い合わせ) |
SiTestは、ABテストの他にも、ヒートマップツールやアクセス解析アトリビューションなど、コンバージョン率アップに特化したLPOツールです。
Webサイトを解析する機能を網羅しており、ノーコードでWebサイトをカスタマイズできます。
外部ツールとの連携や自動レポーティング機能など、業界トップクラスの機能数で幅広い用途に対応できるのも魅力でしょう。
KAIZEN UX
運営会社 | 株式会社Kaizen Platform |
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料金 | 要問い合わせ |
主な機能 | ABテスト サイトリニューアルなど |
無料トライアル | – |
KAIZEN UXは、システム・ノウハウ・リソースの3つの課題を解決したいときに役立つツールです。
1行のタグを追加するだけでUIの変更ができ、専門人材がチームを組みプロジェクトに伴走します。
さらに1,000社以上、50,000万件にも及ぶ実績で培ったノウハウで、スピーディ且つ高い分析力でのサポートを受けられるのも魅力です。
Adobe Target
運営会社 | アドビ株式会社 |
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料金 | 要問い合わせ |
主な機能 | Webサイト最適化 ルールベースのパーソナライゼーション プロファイルとセグメンテーション 商品レコメンデーション |
無料トライアル | – |
Adobe Targetは、ABテストやパーソナライゼーション、AIによる大規模自動化を実現しています。
複数チャネルをまたいだあらゆる要素でのテストが可能で、ABテストと多変量テストの使い分けも可能です。
クライアント及びサーバーの両面からのABテストが可能で、Webやモバイルなどさまざまなバリエーションでのテストを前提に設計されています。
ABテストを実施するうえでの注意点3つ
続いて、ABテストを実施する際に注意したいポイントを3つ紹介します。
- PV数が少ないと十分な検証結果を得られない
- 複数パターンも同じ時期に検証しなければならない
- 期待した成果が得られるとは限らない
PV数が少ないと十分な検証結果を得られない
ABテストは、PV数が少ないと十分な検証結果を得られません。
PV数が少ない状態でもABテストはできますが、検証に時間がかかります。目的によっても目安は変わりますが、PV数は2,000以上が目安でしょう。
PV数が少ない場合は、まずPV数をアップさせるための対策を優先してください。
複数パターンも同じ時期に検証しなければならない
複数パターンでABテスト実施する場合は、同じ時期に検証するようにしてください。
Webサイトを訪問するユーザー数は日々変化しており、ユーザーの興味も変わる可能性があります。
ABテストの時期がずれると、条件が変わるため正確な検証結果を得られません。
なお、比較する要素が多いと影響する要素の見極めが難しくなる可能性があります。1つのテストで1つの要素を徹底しましょう。
検証したい要素が複数ある場合は、要素ごとにABテストを実施してください。
期待した成果が得られるとは限らない
ABテストを実施しても、必ず期待した成果が得られるとは限りません。
ABテストは中長期的に継続するのが理想ですが、課題を解消する過程でWebサイトの要素が変わり成果が下がるケースがあります。
しかし、課題を放置したままでは本来の目的は果たせないでしょう。
ABテストにはリスクが伴うことを理解しておく必要があります。
ABテストのメリット3つ
では最後に、ABテストのメリットを3つ紹介します。
- 複数パターンの検証を同時並行でできる
- 低コストで検証できる
- 短期間で実行できる
複数パターンの検証を同時並行でできる
ABテストは、複数パターンを同時並行で検証できます。
1度のテストで検証するのは1要素ですが、複数パターンの同時並行ができるので、テスト中もサイト運用を停止する必要はありません。
複数の要素を一度に検証したい場合は、多変量テストという選択肢があります。目的に合わせて使い分けるといいでしょう。
低コストで検証できる
ABテストは低コストで検証できるのがメリットです。
サイト全体をリニューアルする場合、長い時間がかかるため社内リソースの消費により業務に支障が出る恐れがあります。
ABテストは、1度に1要素のみを比較検証するため、低コストでの検証が可能です。継続的な検証が必要でも、ABテストなら業務に支障を与える心配はありません。
短期間で実行できる
ABテストは、少ない工程で検証できるため短期間で実施できます。
テストにはツールを利用しますし、テスト自体もシンプルなので本来の業務に支障が出る事はないでしょう。
検証したい事象が明確でさえあれば、スムーズにPDCAを回せます。
まとめ:ABテストを実施して的確な改善につなげよう
ABテストは、検証内容を設定し、ツールを活用しながら簡単に検証できます。
テストを実施しても成果が出るまでには時間がかかりますが、継続的に実施することで精度が上がり成果が現れやすくなるでしょう。
比較的簡単にできる改善に必要な検証ですので、定期的にABテストを実施して的確な改良につなげてください。