従業員エンゲージメントを高めるには?具体的な施策10選と成功事例

「従業員のやる気が感じられない……」
「離職率が上がってきている……」

テレワークやハイブリッドワークを導入する企業にとって、従業員エンゲージメントの低下は深刻な課題です。

社員一人ひとりのやる気や会社への愛着心が低下すると、組織全体の生産性に影響を与えかねません。

そこで本記事では、従業員エンゲージメントを高める具体的な施策や、成功事例をご紹介します。組織力を強化したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の内容

従業員エンゲージメントとは?

従業員エンゲージメントとは、従業員が会社に対してどれだけ愛着を持ち、貢献したいと感じているかを示す指標を指します。簡単に言えば「会社と従業員の心のつながり」と考えると分かりやすいでしょう。

このつながりが強いほど、従業員は仕事に前向きに取り組み、離職率が下がる傾向があります。

たとえば、従業員エンゲージメントが高いと積極的に仕事に取り組み、会社の目標達成に向けて自発的に行動するようになります。

また、離職率の低下業務の生産性向上にもつながるため、多くの企業がこの指標の重要性に注目し、改善に取り組んでいます。

企業の持続的な成長の鍵として、従業員エンゲージメントを高める取り組みは今後ますます求められるでしょう。

従業員エンゲージメントの向上が重要となる背景

現代の企業経営において、従業員エンゲージメントの向上は欠かせない課題です。
その重要性が増している理由を、3つの視点から解説します。

  1. 離職率の増加と人材の確保難が続いている
  2. キャリア自律の重要性が高まっている
  3. テレワークの普及によるコミュニケーション不足が懸念されている

離職率の増加と人材の確保難が続いている

近年、終身雇用の崩壊や転職の一般化により、労働市場は流動化するようになりました。その結果、優秀な人材の離職が増え、人材の定着と確保が大きな課題になっています。

しかし、このような状況下でも、従業員エンゲージメントが高い従業員は会社への愛着や信頼が強く、離職リスクが低い傾向があります。

こうした点から、離職率を抑えて優秀な人材を確保すべく、従業員エンゲージメント向上に注力する企業が増えてきました。

キャリア自律の重要性が高まっている

キャリア自律の変化も、従業員エンゲージメントの重要性を後押しします。

近年、AIの進化や市場のグローバル化、消費者ニーズの多様化など急速な変化が進んできました。

このような環境では、企業だけが変化に対応する力を高めるだけでなく、従業員一人ひとりが主体的にスキルを磨き、自らの成長を追求する「キャリア自律」が欠かせません。

従業員エンゲージメントが高い人材は、仕事への意欲が強く、新しいスキルの習得や自己学習に積極的です。

そのため、キャリア自律を促進する基盤として、従業員エンゲージメントの向上が、企業の成長において重要な役割を果たすと認識されています。

テレワークの普及によるコミュニケーション不足が懸念されている

テレワークの普及によって、コミュニケーション不足が懸念されている点も、従業員エンゲージメントが注目される理由の一つです。

リモート環境では、従業員同士や上司とのつながりが希薄化しやすくなります。

その結果「自分は必要な存在なのか」「正当に評価されているのか」などの不安を抱きやすく、最悪の場合では離職につながりかねません。

このようなリスクを防ぐために、従業員エンゲージメントの見直しが急務とされています。

従業員エンゲージメントにおける日本の現状

日本における従業員エンゲージメントは、残念ながら低い状況です。

実際にどの程度低いのか、世界のデータと比較すると、その現状が浮き彫りになります。

米ギャラップ社が発表した「世界の職場の現状 2024年版レポート」によると、日本の従業員エンゲージメントはわずか6%。調査対象国の中で最低水準に位置しています。

さらにレポートによれば、41%の従業員が日常的に多くのストレスを感じていると回答しており、心身の健康面にも悪影響を及ぼしていることが分かりました。

加えて、従業員のウェルビーイング(心身の健康と幸福)について「成功している」と回答した割合は全体の3分の1以下。これは、世界平均の34%を大きく下回る結果です。

このようなデータから、日本企業では働きがいや健康に対する取り組みが十分に行われておらず、それがエンゲージメント低下につながっていると理解できます。

世界とのギャップを埋め、企業全体の成長力を高めるには、従業員エンゲージメントの向上が不可欠といえるでしょう。

(※)参照:米ギャラップ社世界の職場の現状:2024年版レポート

従業員エンゲージメントの向上を妨げる要因

日本の従業員エンゲージメントが低い理由として、管理型の組織マネジメントや個人への配慮不足が挙げられます。

長らく日本企業では、上意下達の目標管理が中心で、従業員一人ひとりの成長支援や動機づけが不十分な状況が続いてきました。

それを裏付けるものが、株式会社アジャイルHRが調査した、従業員エンゲージメントを妨げる要因です。

調査結果によると、従業員エンゲージメントに影響を与える重要な要素として以下が挙げられます。

  • 役割の明確さ
  • 仕事の意義
  • 同僚のサポート
  • 仕事の適性

日本では、これらの要素において、満足度が高いとはいえないと判断できるでしょう。

特に、評価結果のフィードバック不足や成長支援の欠如は、従業員のモチベーションを下げる大きな要因です。

こうした課題を解決するには、従業員一人ひとりの成長を支援するピープルマネジメントの実践や、公平で透明性のある評価制度の導入が欠かせません。

従業員エンゲージメントの向上に欠かせない3つの要素

従業員エンゲージメントの向上に欠かせない要素は、以下の3つです。

  1. 理解度
  2. 共感度
  3. 行動意欲

理解度

一つは、会社のビジョンや理念への理解度です。

従業員が、これらをどのように理解しているかは、エンゲージメントを高める基盤になります。組織の方向性や目指す姿が従業員に明確に伝わっていれば、仕事の意義を見出しやすくなり、組織とのつながりが深まるでしょう。

理解度を向上させるには、単に理念を掲げるだけではなく、それが日々の業務にどう関係しているかを伝える必要があります。

共感度

従業員が、会社の理念や方針にどれだけ共感できるかも、エンゲージメントに直結します。
共感を得られれば、単なる業務遂行者ではなく、組織の一員として主体的に行動しやすくなるでしょう。

共感度を高めるには、組織の成功事例を共有できる仕組みを作ると有効です。

たとえば、優れた取り組みを表彰する制度や、経営者と従業員が意見交換できるオープンスペースを設置するとよいでしょう。

これにより、従業員が会社の方針を「共感する」機会が増え、エンゲージメント向上につながります。

行動意欲

理解と共感が深まると、従業員の行動意欲が高まります。

この意欲は、従業員の行動が組織の成長や業績向上に与える影響を実感できると、より強まります。

行動意欲を引き出すには、個人が柔軟に働ける環境を提供しなければいけません。

たとえば、仕事内容に応じて働く場所を自由に選べるABW(Activity-Based Working)を導入すると、従業員が効率的に働ける環境が整います。

また、個人の努力によって業績がどう変化しているかをデータで共有すると、自発的な行動を促すきっかけになるでしょう。

従業員エンゲージメントを高める10の施策・取り組み

それでは、従業員エンゲージメントを高める取り組みを、10項目で解説します。

  1. 企業のビジョン・ミッションを従業員に浸透させる
  2. 個々の役割を明確に示す
  3. 適性を考慮して人材配置する
  4. 公平性のある人事評価制度を導入する
  5. 上司から定期的にフィードバックする
  6. 社内コミュニケーションの活性化に努める
  7. キャリア支援やリスキリングを提供する
  8. 健康経営を推進する
  9. 職場の人事課題を定期的に調査して改善する
  10. 採用プロセスにエンゲージメントを組み込む

企業のビジョン・ミッションを従業員に浸透させる

まず、企業のビジョンやミッションを従業員に浸透させましょう。
組織の一体感を高め、従業員エンゲージメントを向上させるうえで重要です。

以下に、具体的な方法をまとめました。

定期的な説明会を実施する 経営者やリーダーが、直接ビジョンやミッションを語る場を設ける
ビジョンに基づく成功事例を共有する ビジョンやミッションが実現されている具体的な事例を共有する
プロジェクト成功の裏側にある従業員の取り組みを紹介する
従業員がビジョンに関与できる機会を作る ディスカッションを通じて、従業員がビジョンについて自分の考えを共有する場を設ける
「自分たちは何ができるか」を考える時間を作ると、当事者意識を高められる
リーダーが率先して体現する リーダーが、その価値観を行動で示す努力をする
日々の意思決定や振る舞いがビジョンと一致していると、従業員の信頼と共感を得られる

ビジョンやミッションの浸透は、文字として提示するだけでは十分ではありません。

従業員一人ひとりが「自分の仕事がビジョン達成にどう貢献するのか」を理解し、共感する必要があります。

個々の役割を明確に示す

従業員が、自分の役割や責任を明確に理解することは、エンゲージメント向上の重要なポイントです。

役割の明確化を進めるには、以下の方法が有効です。

職務内容の明確化 必要な業務をリスト化し、目的や成果を整理する
短期・長期目標と照らし合わせ、業務が組織にどう貢献するかを従業員に伝える
ジョブディスクリプションの活用 職務記述書を作成し、業務内容や責任範囲を明確にする
定期的に更新して従業員のキャリアステージや組織の変化に対応する
定期的なフィードバックと確認 上司やリーダーと個別面談し、各従業員の役割や期待される成果について確認する
この場で従業員の不安を引き出す
チーム全体の役割共有 「自分がどの部分を担当しているのか」をチームで共有する
役割分担の透明性を高め、チームの連携をスムーズにする
役割の意義の明確化 各従業員の役割が、組織全体の成果にどのように影響を与えるかを具体的に説明する
「各業務がこのプロジェクトの成功に欠かせない理由」といった形で伝えると、従業員のモチベーションが高まる

役割を明確にする際は、従業員が自信を持って仕事に取り組める環境になるよう、配慮してください。

適性を考慮して人材配置する

従業員のスキルや得意分野を考慮した配置は、能力を最大限に発揮させる鍵になります。

個々の適性を見極め、従業員がやりがいを感じられる環境を整えると、エンゲージメント向上が期待できます。

具体的な方法は、以下にまとめました。

従業員のスキルや強みを把握する スキルマトリクスを作成し、従業員のスキルや経験を可視化する
適性診断ツールで従業員の特性や向き不向きを分析する
業務内容と従業員の特性をマッチングする 得意分野を活かせる業務を任せる
将来を見越した成長機会を提供できるポジションを選ぶ
従業員との対話を通じて意見収集する 定期的なキャリア面談の実施で従業員の希望や意欲を確認する
配置後にフィードバックを収集し、必要に応じて調整する
チームのバランスを考慮する チーム全体の役割分担を明確にし、負担が偏らないようにする
多様性を意識したメンバー構成で新しい視点を取り入れる
配置後にフォローアップする 定期的な進捗確認で状況をモニタリングする
適性が活かされていない場合、柔軟に配置変更する

従業員に不得意な分野があれば、他の従業員がサポートする仕組みを作っておくと安心です。

公平性のある人事評価制度を導入する

公平な人事評価制度は、従業員エンゲージメントの促進に直結します。

不公平な評価は、従業員の不満を生み、生産性や定着率の低下を招きかねません。そのため、以下のように透明性と一貫性を持った制度を導入しましょう。

評価基準を明確に設定する 目標達成度や業務内容、スキル活用など、評価基準を具体的に設定する
部門や役職ごとに異なる基準を設ける場合でも、一貫したルールを適用する
評価プロセスの透明性を確保する 評価項目やプロセスを全従業員に公開する
評価者と被評価者の両者が評価基準を理解し、同じ視点で業務成果を捉えられるよう説明する
360度評価を取り入れる 同僚や部下からもフィードバックを集める仕組みを導入する
客観的なデータを活用する KPIや業績データを評価に活用し、感情や主観を排除する
業務プロセスや成果に基づく数値データを評価材料として活用する

運用後は定期的に見直し、従業員の意見も反映していきましょう。

上司から定期的にフィードバックする

上司からの定期的なフィードバックは、モチベーションや業務スキルの向上、従業員エンゲージメントの促進につながります。

具体的な取り組み例を、以下にまとめました。

フィードバックのタイミングを決める 定期的な面談をスケジュール化(例:月1回、四半期ごと)
フィードバックの内容を具体化する 抽象的な評価ではなく、具体的な事例を挙げてポジティブな点と改善点を伝える
ポジティブなフィードバックを優先する 改善点がある場合も、ポジティブな要素を含めてバランスよく伝える
ゴールや期待値を明確に伝える 目標や期待する成果を共有すると、従業員が次に何をすべきか明確にする
双方向のコミュニケーションを心がける 一方的に評価を伝えるのではなく、従業員の意見や質問を受け入れる
コーチングスタイルを採用する 解決策を押し付けず、従業員自身に考えさせる質問を投げかける

フィードバックする際は、単なる指摘に留まらず、従業員の成長を促す視点で実施しましょう。

社内コミュニケーションの活性化に努める

社内コミュニケーションの活性化は、組織全体の一体感や従業員エンゲージメントを高める重要な取り組みです。

以下は、具体的な施策例です。

意見収集の仕組みを整える 従業員が気兼ねなく意見を出せるよう匿名アンケートを実施する
簡単に送信できるオンライン窓口を設置する
チーム間のコミュニケーションを促進する 異なる部署の従業員が協力する機会を増やす
コミュニケーションツール(例:SlackやTeams)を活用し情報共有を活発化する
上司や経営層との直接対話の場を設ける 上司が気軽に相談を受け付ける姿勢を示し、話しかけやすい環境を整備する
吸い上げた意見を分析・評価する 意見や提案をカテゴライズして、エンゲージメント向上につながる優先順位を決める
提案を反映させた結果を共有する 社内掲示板や社内報で反映事例を具体的に紹介する

従業員の声を吸い上げ、それを組織に反映する取り組みは「自分の意見が尊重されている」と感じるきっかけを生み出します。

キャリア支援やリスキリングを提供する

従業員のキャリア支援や、リスキリングの提供は、個々の成長を促し、組織の競争力を高める重要な取り組みです。

具体的な施策例を、以下にまとめました。

キャリア面談の実施 従業員のキャリア目標や希望を把握する面談を実施する
スキル開発プログラムの提供 社内外の研修プログラムやオンライン学習を活用する
リスキリングプログラムの導入 AIやデジタル技術など、業界で求められる新たなスキルを学べるプログラムを提供する
資格取得の支援 資格取得にかかる費用補助や試験休暇の付与など、従業員の学習意欲をサポートする
取得した資格を業務で活かせる仕組みを整備する

これらを提供する際は、スキルや経験が組織にどう役立っているかを評価する仕組みを作るとよいでしょう。

健康経営を推進する

健康経営の推進は、企業全体の生産性やエンゲージメント向上を目指す経営戦略として有効な手段です。

具体的な取り組み例は、以下のとおりです。

健康診断の充実化 法定の健康診断に加え、ストレスチェックも提供する
福利厚生として健康プログラムを提供 健康的な食事が楽しめる社員食堂の運営やヘルシーな食事を補助する
ヨガや運動教室を開催する
メンタルヘルスケアの強化 社内カウンセラーの配置や外部相談窓口を設置する
職場環境の改善 作業スペースの適切な照明や空調の確保、快適なオフィス家具を導入する
スタンディングデスクを導入する

健康経営を推進する際は、取り組みの成果をデータとして共有すると、参加意欲につながります。

職場の人事課題を定期的に調査して改善する

人事課題を把握し、適切な改善策を講じましょう。
従業員が抱える不満を放置すると、エンゲージメント低下で離職につながりかねません。

具体的な取り組み例を、以下にまとめました。

従業員満足度調査の実施 仕事の満足度、評価制度、職場環境など、複数の観点からヒアリングする
調査形式の工夫 オンラインフォームやアプリを活用して手軽に回答できる仕組みを提供する
データを可視化して分析 調査結果をグラフやダッシュボードで可視化し、傾向を把握する
改善施策の計画・実行 評価制度の見直しや福利厚生の充実、リーダーシップ研修など、具体的な施策を実施する
従業員へのフィードバック 改善策を従業員に共有して透明性を確保する
改善施策の効果を測定 結果をもとに施策を見直して継続的な改善を図る

調査する際は、毎回同じ指標で実施し、改善の進捗を共有しましょう。コミュニケーション強化にもつながり、従業員との信頼関係構築につながります。

採用プロセスにエンゲージメントを組み込む

採用プロセスにも、エンゲージメントの要素を導入しましょう。入社前から企業への共感や信頼を醸成すると、定着率やパフォーマンス向上につながります。

具体的な取り組み例を、以下にまとめました。

企業理念や価値観の共有 採用説明会や募集要項で企業のビジョン・ミッション・バリューを明確に伝える
候補者との双方向コミュニケーション 質疑応答の時間を設け、候補者が企業について深く理解できる場を提供する
面接官トレーニング 面接官が候補者の価値観や適性を見極めるトレーニングを実施する
リアルな職場環境の体験 実際に働くメンバーと交流する機会を設け、文化やチームの雰囲気を共有する
候補者のエンゲージメントを測定 面接後に意見聴取し、候補者が企業にどの程度共感しているか確認する
候補者の声をもとに、採用プロセスを見直して改善を図る
デジタルツールの活用 チャットツールを活用し、気軽にコミュニケーションできる環境を整備する

採用プロセスでは、候補者の価値観やキャリア目標もヒアリングしましょう。双方向の理解を促進すれば、早期離職を軽減できます。

従業員エンゲージメントを高める4つのメリット

従業員エンゲージメントを高めるメリットは、主に以下の4つです。

  1. 離職率が低下し優秀な人材が定着する
  2. 顧客満足度の向上につながる
  3. チームの一体感が強まり組織力が向上する
  4. 採用力の強化につながる

離職率が低下し優秀な人材が定着する

従業員エンゲージメントが高い組織では、従業員が会社への愛着や満足感を持ちやすくなり、離職リスクが大幅に減少します。

特に優秀な人材が定着すれば、組織内にノウハウが蓄積され、業務効率の向上につながるでしょう。

また、新しい人材の採用や教育コストを削減できるため、経営基盤の安定も見込めます。

顧客満足度の向上につながる

エンゲージメントが高い従業員は、自らの業務に誇りを持ち、顧客へのサービスに積極的に取り組みます。その結果、顧客満足度の向上につながるでしょう。

特に、フロントラインの従業員が顧客と直接接する場面では、エンゲージメントの高さが企業のブランド価値に直結します。

チームの一体感が強まり組織力が向上する

エンゲージメントが高い従業員は、チームメンバーと協力しながら目標達成に向けて行動します。これにより、課題が発生した際も、スムーズに解決できる柔軟性のあるチームが形成されます。

一人ひとりが「チームの一員である」という実感を持てる職場づくりは、組織力を底上げし、競争力の基盤になるでしょう。

採用力の強化につながる

従業員エンゲージメントを通じて、満足度が高い職場として外部から評価されやすくなり、採用力の強化にもつながります。

社員の口コミを通じてポジティブな評判が広がると、企業の魅力が伝わり、優秀な人材の応募が期待できます。

また、既存従業員が「この会社で働き続けたい」と感じる姿勢が、採用時の説得力を高める要因になるでしょう。

従業員エンゲージメントを高めた成功事例

ここからは、従業員エンゲージメント向上に成功した事例を3つ紹介します。

  1. 株式会社ハンナ
  2. 名正運輸株式会社
  3. 株式会社LIXIL

株式会社ハンナ

奈良県に本社を置く株式会社ハンナは、社員の世代間ギャップや意思疎通不足が原因で、一時期多くの社員が離職する課題に直面していました。

そこで現社長は「良いワークには良いライフが必要」という理念のもと、社員を大切にする経営を実施。特に採用プロセスを強化し、自社の価値観に共感する人材を集めて、入社後は段階的な面談を通じて企業文化への理解を深めました。

さらに、年に一度の「グッドポイント面談」で社員の長所を引き出し、モチベーションを高める取り組みを継続しています。この結果「社員を大切にする会社」として評判が広がり、採用応募者数の増加にも成功しています。

名正運輸株式会社

設立50年以上の歴史を持つ名正運輸株式会社は、従業員の健康を守る取り組みとして、2021年に「真(シン)健康経営サポート」を実施。翌年より2年連続で「健康経営優良法人」の認定を取得しました。

同社は「健康アプリ」の活用や禁煙サポート、健康測定会の実施など、従業員が自身の健康状態を意識できる環境を整備しました。

これにより、従業員の健康意識が向上し、企業価値や採用力の強化にもつながっています。

株式会社LIXIL

株式会社LIXILは、ウェルビーイングの実現に向けた取り組みを行っています。

同社は、全従業員を対象にした「LIXIL Voice」意識調査を毎年実施し、その結果をもとに施策を策定。リモートワーク推進や多様な働き方支援、キャリア形成プログラムなど、多岐にわたる取り組みを展開しています。

また、社内表彰制度「LIXIL AWARDS」を通じて、従業員同士が成果を称え合う文化を導入しました。2024年の意識調査では、回答率89.4%、エンゲージメントスコア71%と、成果が着実に現れています。

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まとめ:従業員エンゲージメントを高めて組織力を強化しよう

従業員エンゲージメントの向上は、組織全体の生産性や業績向上に直結します。
組織力を強化するには、採用段階から取り組む必要があります。

従業員一人ひとりを大切にし、企業の成長を支える仕組みづくりを進めましょう。